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望月 弘彦先生の胃瘻(PEG)ケアコラム第1回

PEGについて思うこと

PEGについての議論で良く引き合いに出される論文に「To PEG or not to PEG」というものがある1)2)。
シェイクスピアが書いたハムレットの「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」という台詞を基にした物で、はじめて目にしたときはしゃれたタイトルだなと感心した。

それによると、PEG を造れば、
(1)栄養障害を予防することができる
(2)褥瘡を予防することができる
(3)誤嚥性肺炎を予防することができる
(4)QOLを改善する
(5)機能状態や生命予後を改善する
といった5 つの神話には、すべて根拠がなく、PEG を造設しても、
(1)栄養障害を予防するという根拠はなく
(2)褥瘡はむしろ増え
(3)LES 圧(lower esophageal sphincter pressure:下部食道括約筋圧)が下がり、口腔分泌物の誤嚥は予防できず
(4)苦痛や不快感を増す場合もあり
(5)機能状態や生命予後の改善は末期の状況では期待できない
と述べられている。

しかし、日々患者さんに接していると、最終的にPEGでの栄養管理の他にどんな手段があるのだろうと自問自答せざるを得ないことも多い。

 私は中学生ぐらいから視力がどんどん落ちて、眼鏡が手放せない。
大学入学の頃に、すこし色気が出てコンタクトレンズにした時期もあったが、雑な管理をしているうちに破損
してしまい、また眼鏡に戻している。一時はレーシックはどうかなと思い、眼科に行った友人に相談したこともあった。最近、使い捨てのコンタクトレンズを手に入れ、運動の時や旅行に出かけるときなどに使っている。裸眼で暮らせれば一番だが、生活や仕事の上で必要であれば使わざるを得ない。

PEGに関しても眼鏡と同じで、使う必要があるか? 他にもっと良い手段がないか? 
安全に使うことができるか? といったことを確認することが必要だと思っている。最初にあげた論文の様に
二者択一で考えるのは単純明快のように見えるが、多くの問題点を取り落としているような気がしてならない。


1) To PEG or not to PEG, A review of evidence for placing feeding tubes in advanced
dementia and decision-making process, Geriatrics , 2006, 61, 30-35
2) 藤本啓子:胃瘻造設を巡って

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