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薬剤コラム第2回

薬剤コラム第2回 おさえておきたい服薬管理と薬剤師との連携ポイント

皆さんこんにちは。株式会社うさぎ薬局薬剤師の加治です。
第2回は抗認知症薬の使い分け、独居患者や認認介護のケースでの服薬指導等について解説いたします。

現在、アルツハイマー病治療薬のコリンエステラーゼ阻害薬は認知機能低下の進行抑制効果については差がないとされています。
そのため服用回数、合併症、剤形、価格、行動・心理症状(BPSD)などから薬を選択することが一般的ですが、まず認知症レベルの診断が必要になります。

その理由は、アルツハイマー病治療薬それぞれ保険適応が違い、認知症レベルによって使える薬剤が異なるためです。
ドネペジルは軽度から重度のすべての段階のアルツハイマー病に、ガランタミン・リバスチグミンは軽度と中等度に、メマンチンは中等度と重度に適応を有しています。

※軽度認知症レベルとは

夕食の段取り、家計の管理、買い物に支障をきたしたり、自分で衣服を選んで着る・入浴など家庭生活はなんとかなるが、社会生活で困ることがあるなど家庭内の日常生活には支障が生じていない段階です。

※中等度認知症レベルとは

時期や場面にあった服を選べない、毎日の入浴を忘れることがあるが自分で体をきちんと洗う事はできる、家庭生活でいろいろなことを1人でできなくなり始める日常生活にある程度の介護が必要な状態です。

※重度認知症レベルとは

服を着ることができない、入浴に介助が必要、トイレがうまく使えないなど、言葉が途切れ途切れになる、完全な文章を話せなくなる、日常会話ができないなど日常生活に多大な介助が必要な状態です。

アルツハイマー病は各レベルに移行するのが2〜3年とゆっくりと進行していくので、どこからが中等度でどこからが重度かの線引きをすることは困難です。

実際の診療の場面では、患者さんやご家族から日常生活上の障害に関する情報を聴取し、中等度、重度への移行をおおよそ判断しているようです。

その他にBPSDの改善効果も各薬剤によって効果が異なり、ドネペジルは抑うつ、不安の軽減、リバスチグミンは、幻覚・興奮の軽減、ガランタミンは不安の軽減、メマンチンは妄想・興奮の軽減や易刺激性の悪化の抑制をすると言われています

独居の認知症患者さんや認認介護の患者さんは、軽症でも物忘れのために毎日正しく薬を服用することが困難になります。
そのため、患者さん本人に対する服薬指導よりも服薬支援を行う人への指導が重要になります。
独居の場合は家族・ヘルパー・デイケアの職員の協力が必要となると同時に、薬は一包化や服用回数の検討、お薬カレンダーへのセットなどが必要になります。

抗認知症薬の中では、リバスチグミン貼付薬は、独居や認認介護の患者さんにはおすすめです。
支援者が薬に日付を書いたり貼付の確認等は必要ですが、貼られている間は薬を服用しているということになり確認がしやすいからです。

さまざまな解決方法がありますので、服薬が困難な際は早めに医師・薬剤師に相談してみてください。

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