1. ホーム
  2. コラム
  3. 【何ぞやシリーズ2】 PICCって何ぞや?
【何ぞやシリーズ2】 PICCって何ぞや?

【何ぞやシリーズ2】 PICCって何ぞや?

投稿日:2014.11.22

今回は、腕の末梢静脈から中心静脈にカテーテルを留置できるPICC(ピック)(Peripherally Inserted Central venous Catheter :末梢挿入型中心静脈カテーテル)のお話。
患者さんにとっても、ナースの皆さんにとっても、血管確保しづらくなってからの留置針の定期交換は憂鬱の種では? そんなあなたに朗報!
PICC って何ぞや?
作画:上田みう  制作:マンガエッグ・エンターティメント
がん化学療法中の患者さん達に話を聞くと、本当は刺す時の痛みだけじゃなくて、点滴後も腕が痛いという声が多いんだ。
がん化学療法中は、抗がん剤の刺激が避けられないからなあ。

酸性・アルカリ性が強い薬(表1)は血管への刺激が強いから、細い末梢静脈からの投与では静脈炎を起こす可能性が高くなる。
治療のためだからと我慢しているようだが、かなり辛いそうだよ。
そうそう、抗がん剤の副作用として吐き気が強くてご飯が食べられなくなることがあるよね。
そういう時、必要な栄養量を中心静脈栄養から入れるのにPICCを使うこともあるね。栄養状態を維持できるだけの高カロリーを投与するとなると、浸透圧が高いから末梢静脈からの点滴には向かない、これはもう何度も聞かされてるだろ?

治療のためだろうと栄養確保のためだろうと、日常生活に苦痛が伴うと続けられないよなぁ。
この前の勉強会で説明してたけど、一般的な末梢静脈点滴では、静脈炎(表2)が重症化すると、血管がもろくなって血管の外に薬が漏れてしまう(血管外漏出)リスクが高まるのよね。
薬によっては周辺の細胞が壊死して、やけどのような激しい痛みを生じることもあるんだって。
壊死した部分は手術で取り除く治療が必要になるから、患者さんは本来の点滴治療を受けるどころではなくなってしまうわ。静脈炎は何としても防がなくちゃね。
挿入しやすいからといって、肘の静脈からPICCを挿入すると静脈炎(※)が起きることもあるけど、上腕からだと、静脈炎はほとんど起こらないんだって。この違いは大きいってこと、もう随分前からわかっているそうよ。
※静脈炎:カテーテルが留置されたことによって血流が障害されて血栓ができて起こる静脈炎と、カテーテルそのものに対する反応としての静脈炎がある。
正しい管理をすれば長期間使用できるのも、PICCのメリットの一つだよね。
だからこそ、静脈炎やカテーテル詰まりで使用が中断しないように、僕ら看護スタッフは細心の注意を払わないと。
患者さんが口に出さないちょっとした変化も見逃さないで、他のスタッフとの橋渡しにならなくちゃね! 
(つづく)

■監  修/ 井上善文医師
 (大阪大学臨床医工学融合研究教育センター
 栄養ディバイス未来医工学共同研究部門 特任教授)
■資料提供/株式会社メディコン
■参  考/化学療法サポート
参  考/化学療法サポート http://chemo-support.jp/about-chemo/chemotherapy.html

このコンテンツをご覧いただくにはログインが必要です。

会員登録(無料)がお済みでない方は、新規会員登録をお願いします。



他の方が見ているコラム