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第4回 訪問看護ステーション訪問レポート 訪問看護ステーション千代田

その他投稿日時-(2015-07-31)ナースマガジン

千代田区平河町という都心部にあり、千代田区や新宿区、港区というエリアを中心に訪問医療を展開する訪問看護ステーション千代田。

その活動には、他のステーションと異なる特色がある。都市部での訪問看護のあり方の一例となるであろう、同所のサービスの中身について話を聞いた。

子育て中のお母さんが抱える深刻な問題…

訪問看護ステーションがもつ役割とはなにか。
「訪問看護ステーション千代田」のパンフレットの中には、そのことを示す一文が記されている。

「赤ちゃんからお年寄りまで、訪問看護ステーションはさまざまな方がご利用になれます」
介護が必要な高齢者に対するケアの一方で、同ステーションでは育児に悩みを抱える母親への看護サポートを積極的に実施し、特色ある訪問看護サービスを行っている。

所長の中村洋子さんが、現在の訪問看護ステーション千代田を立ち上げたのが昨年。それまで近隣のステーションで訪問看護を行っていたが、その施設が廃止となり、自らステーションを立ち上げることにした。
「利用者さんを最後まで看ることができなかったのが心残りで。
やり残したまま終わりにしたくないという思いだけで立ち上げました」と振り返る。

そして、新たにスタートした訪問看護ステーション千代田で、お母さん方に対する育児支援を併せて行いたいと考えたという。
それは、地域のつながりが希薄な都市部で仕事をする同ステーションならではのテーマでもあった。

「都心部では核家族化が進み、親に子育てを頼ることが難しい場合が多く、育児に対する悩みを1人で抱え込んでしまって、精神的な病に見舞われるお母さんが多くいます。私自身も都市部での子育ての大変さを痛感したこともあり、そうした方々に対して看護の専門職としてのサポートが少しでもできればいいと考えました。
たまたま助産師や小児看護の経験のあるスタッフが当所に集まってくれたことも幸いでした」

現在の訪問看護ステーションで、育児支援という観点で母子のケアを積極的に行う施設はほとんどない。地域の産科の病院やクリニックからも、「訪問看護でケアしてくれるの?」と意外そうな反応をされることが多いという。
だが、孤独な子育てを強いられ助けを求めるお母さん方は特に都市部では増えており、訪問看護の必要性を感じた医療機関から、支援依頼の声をもらうことが少しずつ増えているという。

病院・クリニックの看護師との連携を深めたい

育児に際して心身ともに疲れ、いわゆる産後うつの状態になってしまった母親が、千代田の訪問看護によって笑顔と前向きな心を取り戻した例はすでに数例ある。

「奥様の状態をご主人が心配されて病院の産科に相談され、産科の医師が専門的な治療のために心療内科を紹介し、同科の医師の指示書にもとづいて私たちが訪問看護にあたった例があります。
間に入って医師と私たちを繋いでくれたのは地域の保健師さんでした。1人で苦しむお母さん方を見逃さない、こうした地域での連携が今後はさらに重要になってくると感じます」(中村さん)

育児中の母親への訪問看護の場合、当然ながら本人は65歳以上ではなく、介護保険でなく医療保険の適用となる。
医療保険での訪問看護は週3回までと決まっており、在宅の時間は長くても1時間半まで。訪問回数や時間は保健師や担当の医師とも相談しながら、最もふさわしい頻度を決めている。
同ステーションの訪問看護師として現場に出る岡部紀代子さんは、実際に産後うつで自分を見失ってしまったお母さんのもとを訪ねてケアを行ったときのことをこう話す。

「最初は子供とどう接すればいいのか分からない、という状態だったお母さまが、訪問を始めてから、次第に表情にも明るさを取り戻してこられました。
育児技術を少しずつ教えながら、自信をもってもらえるようにサポートしていき、私たちが子どもにかける言葉と同じようにするなど、人と関わることで状態が良くなってきたように思います。
お子さまとしっかりと向き合えるようになりましたね」
孤独になりがちな育児について、親身になって相談に乗ってくれる存在があると知るだけで、お母さんは勇気をもらえるということだ。
「産後のお母さんで心療内科などの医療的な支援が必要な方には、医師の指示のもとで訪問看護ステーションが支援者となれることを周知していかなくてはいけないと思います。そして私たちも、支援結果を医療機関の連携室や退院調整室などの看護師に知らせていくなど、医療者の相互の意思疎通を密にしていくことがいっそう大切になっていくのではないでしょうか」
と中村所長は今後を見据えている。

地域に必要とされる新しい形の医療拠点として

中村所長が、地域のそうしたニーズに応え、幅広い看護やケアの実践に取り組もうと考えたのは、信頼できる頼れるスタッフの存在があったからだ。
理学療法士として在籍する五十嵐潔さんは、千葉のリハビリ専門病院でキャリアを積み、訪問ステーションでの経験を経て千代田に加わったリハビリのプロフェッショナル。
「中村施設長の『地域に密着する中で、看護のみならずリハビリも併せた広範囲なケアをすることで、より多くの在宅患者の思いに応えたい』という考えに共感しました」
と千代田に加わった理由を説明する。
そして、「私は何よりも、どうやったら自宅で楽に過ごせるか、症状の進行を止めることができるかに主眼を置いてリハビリを行い、それを看護師との協働によって地域密着で行えることに意味があると考えています。高齢者の方の看護はもちろん、発達障害など乳幼児から大人までリハビリの必要な在宅患者さんにそうしたケアを提供していきたいですね」と意欲を見せている。
地域に根ざした訪問看護ステーションとして、サービスの中心となる高齢者への看護・介護のほかに、育児支援などのニーズもくみ取り、都心部での訪問看護のあり方を問いかける千代田の取り組み。
その広がりに今後への期待は高まる。

「子どもへの虐待の問題も、お母さん自身の孤独感が原因になるものも中にはあるんです。だからこそ、そうしたお母さんの育児をサポートすることも訪問看護ステーションの役割だと思いますし、それを行える施設がもっと増えてほしいという思いはあります。ただそこには報酬の面でも未整備の部分が多く、まだまだ課題は多いのが事実です。
でも、産後うつに悩むお母さんの問題は放ってはおけない問題。なかなか母子のほうまで手が回らないのも現実と思いますが、訪問看護ステーションは高齢者だけが対象ではないということをぜひ知ってもらいたいですね」
と中村さんは話す。

在宅医療が果たす役割は、近年の厚労省の施策を見ても分かるように、その期待とともに年々増えつつある。
訪問看護ステーション千代田のプロデュースを手掛けるジョインハンズ株式会社の輿石光希さんは、そうした背景を踏まえて、これからの運営ビジョンについて次のように説明する。
「当ステーションは新宿区の南側から港区、千代田区までをすべてフォローしていますが、今後も訪問看護によっていっそう地域密着の度合いを高めていきたいと思います。
一方で、どなたでも心配事を相談しにお茶を飲みに来ていただける、まちの保健室のようなステーションになれるといいなとも考えています」

地域に必要とされる新しい形の医療拠点に。
訪問看護ステーション千代田が果たす役割は、これからいっそう大きくなりそうだ。

訪問看護ステーション千代田

〒102ー0093
東京都千代田区平河町1ー6ー11
エクシール平河町504
TEL 050ー5533ー5885
http://chiyoda-nurse.com/


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