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【患者さんの真のプロフィールを知るために】 第4回 事例紹介②その人の今の状態から 答えを導く手がかりを得る

その他投稿日時-(2015-09-23)ナースマガジン

遥か昔、私が現場の看護師だったころ、乳がん患者のAさんに言われました。
「私達患者は大抵のことは一人でできるの。でも看護師さんのちょっとしたヒントを貰えると助かるの」。私は「患者さんは看護者の知識や技術的なアドバイスを求めている」と解釈しました。
数年後、自らの入院中にこの言葉がよみがえり、そのときの解釈は間違っていたと感じました。
今回は、自らの入院生活を振り返り、患者が求めている“ちょっとしたヒント”って何かを考えてみたいと思います。

私の気持ちに気づいてほしい

全身麻酔による手術後、病室へ戻った私は、いわゆる術後の身の置き所のない状況で、酸素マスクを装着しているとベッドにじっとしていられない、そんな最悪の気分でした。
病棟看護師はラウンドの度、酸素マスクを勝手に外していた私に「マスクは朝までですよ」と優しく促し、再装着していきました。
今思うと、「何故、酸素マスクを外してしまうのですか」と私の気持ちを聴いてくれる人がいたら、多少は落ち着いたのかもしれませんが、看護師の数が少なくなる真夜中のこと、ゆっくりと話を聴いてもらうことは躊躇し、悶々と長い一夜を過ごしました。

翌朝の回診では「おしっこの管、気持ち悪いでしょう?」と言われました。
実は、尿管カテーテルは全く気持ち悪くなかったのです。尿管カテーテルをすぐ抜くことのメリットも承知していましたが、理屈はさておき自分は感じていなかったことなので、少し戸惑いを覚えました。

術後1日目は、トイレ歩行許可、昼から全粥食開始と、術後の経過は順調そのものに見えましたが、自分の気持ちに陰りが出たのは昼食時のことです。
待ちに待ったご飯が、ほとんど食べられなかったのです。
心の中では「あれ、どうして食べられないの? この手術って食欲に影響するんだっけ? お腹も張ってる!」と、
過去に看護師として働いた経験から食欲不振の理由を見つけようと必死でした。

このとき私の気持ちを慰めてくれたのは、鎮痛剤を持ってきてくれた薬剤師さん。
「今日のお昼のメニュー、術後のお食事としては、ちょっと食べられなかったですね」
と、声をかけてくれたのです。

患者は今、何に困っているのか

翌日になっても、やはり食欲は出ません。
看護師は食事摂取量の書かれた表をのぞき込み転記していきます。
半分しか食べられない私は、
食欲が出ない→身体がしゃきっとしない→活力が出ない→気分が暗くなる、
という負の循環の中におり、腹部の張りも強く感じ、困っていました。

そこで、持参のi Pad でこの症状を調べてみると、なんと、同じような体験を持つ方がたくさんいるではありませんか!
「お腹の張り感でご飯が食べられない」「ワンピースが入らない」「いつお腹の張りは取れますか」等、ネットでは同病者の疑問や心配、アドバイスが飛び交っていたのです。
これらは医療の現場には全くない情報、つまり、患者自身が1 人でも問題解決できることなのでしょう。
Aさんの“大抵のことは一人でできるの”という発言、まさに私も同じ心境でした。

では、“ちょっとしたヒント”とは何を意味するのでしょう。
かつての私は、予想できる困りごとに対し、自身の培ってきた知識や技術を提供することだと思い込んでいました。
しかし中島※は、患者に何が起こっているのかを見抜くのに、「傾聴することに努めるのならば得ることばかりである。援助者として常に、事前の答えをもつ必要はない」
と言います。
患者の抱える問題への“ちょっとしたヒント”とは、その人の今の状態から何が問題かを感じとり、解決の手がかりを掴もうと努めることの中にあるのではないでしょうか。

今回は自分の入院体験を事例として取り上げてみました。
入院中お世話になった医療者の皆様、私自身が看護を考える貴重なきっかけを与えて頂き、ありがとうございました。(つづく)

※中島紀恵子:生活の場から看護を考える―看護概念の転換への提起―.p.9 ~ 11.医学書院. 2003

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