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ニュートリション・ジャーナル NUTRITION JOURNAL ” 理解なき支援が「溝」を生む” Vol.01_その3

その他投稿日時-(2017-04-09)ナースの星編集部

取材協力:医療法人社団隆靖会 墨田中央訪問看護ステーショ


看護師の予測力が発揮できるコミュニケーションツール

         『食事の記録』

廣瀬さんがコミュニケーションツールとして、また観察の基礎データとして活用しているのが『食事の記録』である。
「訪問看護に行けない日に何を食べられているかを把握するため、食べた物・飲んだ物を記録してもらいます。そこに、体重変化や排泄の様子が加われば、私たちナースは全身状態の予測がつきます。
『3食、規則正しく食べましょう!水分も何mL不足しています』というのではなく、一緒に食事記録を見ながら『これが足りないからもう1品こういう物を増やしましょう。水分は、どのコップで何杯くらい飲みます?じゃあ、あと1~2杯増やしましょう』
 と負担にならない現実的な指導ができるようになるんです」

食事記録のメリット
・患者・家族は生活の延長として、実践しやすい
・患者・家族が「食べること(栄養)」に意諜が向く
・実践と成功体験が患者・家族の自信につながる
・量の数値化=栄養の見える化により客観的な分析ができる
・トータルの栄養摂取量・水分摂取量を把握することで、1日3食にこだわらず柔軟な提案ができる

訪問看護の現場で『食』や『栄養』の力が患者の治癒する力を支えていく機会は多いという。
一方で、あまりにも日常に入り込んでいるため『食』は意識されにくく、おざなりにされることもある。患者、家族に、体の状態と食をリンクさせる上でも『食事の記録』は役に立つ。

実際、Cさんは食事摂取量が増えるに従い、嚥下機能だけでなく、寝返り困難から、ベッド上端座位が可能になり、筋力アップで手すりにっかまれるようになるなど、徐々に身体機能の改善も見られている。

「基礎データがあると、患者・家族も現状の課題を意識しやすくなり、自らの気づきが自発的な行動につながっていきます。
また食事と全身状態が結びつくと、患者、家族は『栄養』の大切さを認識するようです」。


原疾患の影響で食事ができにくかったり、制限があったりする場合もあるため、病状悪化による全身状態の低下を防ぐ工夫も必要だ。

「抗がん剤の副作用による味覚障害心臓病、腎臓病の方の塩分制限などに対しては、調理の味の工夫、調味料の選択、市販製品の紹介をしています。
なかなかフィットせず、低栄養が改善されない場合は、主治医と相談の上、短期間の入院でCV導入、経管栄養の選択もあります。
まずカロリーを補充してから、摂食回復のリハビリへつなげていく場合もあります」。

在宅現場は、その人が好きなように生きる生活の場。環境にバラツキがあり、病院と同じような看護・介護が行えない。
しかし、慣れ親しんだ生活の場で好きなように過ごせることで発揮する『在宅パワー』なるものを、廣瀬さんは感じる時もあるという。

「精神的なストレスから解放されるのと、自宅の安心感からでしょうか。病院より在宅の方が、食が進む場合が多いです」。
時にはお菓子を食べながら話を聞き、その後で一緒に調理をすることもあるという。
「体の栄養だけでなく、心の栄養もお届けしたいですね」
と語る廣瀬さん。

人それぞれの歴史、価値観、時には地域性や食文化といった、その方が何を大切に考えているのかをくみ取れないと、心に響く指導はできず実行もされない。

病院の『統一』や『管理』とはギャップの大きい在宅現場では、『理解力、介護力、経済力の見極め』『コミュニケーションツール、そして『オーダーメイド』がキーワードなのかもしれない。

栄養食事指導の対象及び指導内容の拡充
(平成28年4月診療報酬改定により見直し) 

「がん、低栄養、摂食・嚥下障害の方への栄養指導まで対象が広がり、入院、外来での指導時間が延長された分、内容が充実されることを願っています。
一番期待したいのは、在宅患者への訪問栄養指導です。
入院から関わっていて退院後も心配なケースをフォローしていくために、管理栄養士さんに、もっと在宅に出てきてほしいですね」。

訪問で在宅の現場を知ると、病院での指導に不足していること、病院の指導では伝わらないことが見えてくると廣瀬さんは語る。

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廣瀬 祐子(ひろせ ・ゆうこ)
医療法人社団隆靖会墨田中央病院を母体とし、急性期・回復期・ 維持期と連動できるように設けられた在宅部門、墨田中央訪問看謹ステーションの3代目所長。
病院スタッフへの研修のみならず、「医療と介護の連携推進協議会」の委員も務め、多職種による地域包括ケアの実践に向けた研修にもカを入れている.

その他・透析ケア・透析ケアナースの星編集部

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