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患者・同僚・管理者に好かれるデキるナースになるシリーズ―番外編

褥瘡ケア投稿日時-(2017-12-12)ナースマガジン

        これからのナースに求められるケアの質とは ~効率的で効果的な質の高い医療的ケアを知る~
        第19回日本褥瘡学会学術集会 ランチョンセミナー
           褥瘡の栄養~サルコペニアを踏まえて~

共催:株式会社大塚製薬工場
2017年9月14日・盛岡市

褥瘡の栄養

~サルコペニアを踏まえて~

褥瘡の発症、治癒には栄養が深く関わっている。
創傷治癒におけるコラーゲンペプチド、
大豆ペプチドの有用性が報告され、
褥瘡管理に際してこれらを使用することは
費用対効果の面でもメリットがあると思われる。

各学会ガイドラインにおける褥瘡の栄養療法

日本褥瘡学会の「褥瘡予防・管理ガイドライン第4版」では、褥瘡治療において適切なエネルギー、タンパク質の投与が推奨されている。
褥瘡発生後の全身管理では、亜鉛、アスコルビン酸等と並んでコラーゲン加水分解物の補給が推奨されている。
また日本静脈経腸栄養学会のガイドライン第3版でも、エネルギー、タンパク質等の投与が推奨されている。

高齢者の褥瘡と栄養状態

寝たきり高齢患者の褥瘡相対危険率をみると、自力体位変更可能で血清lb3.5g/dl以上を1.0とすると、血清Alb3.5g/dl未満で自力体位変換不能の場合は14.0であった(約1000人の自験,Mino et al,2001,図1)。

褥瘡発生後の栄養療法のポイント

栄養摂取不良状態に陥ると、脂質分解、タンパク分解が進み、筋肉量・内臓タンパクの減少、免疫能低下、創傷治癒遅延などが起こる。
筋肉は身体を動かす、骨突出部のクッションとしての役割のほか、タンパク質・糖質、水分の貯蔵場所としての機能をもっている。

サルコペニア(sarcopenia)はギリシア語のsarx(筋肉)とpenia(喪失)を合わせた造語で、進行性・全身性の骨格筋量・骨格筋力の低下を特徴とする症候群である。
身体的な障害や生活の質の低下をもたらし、進行すると死に至る。サルコペニアのメカニズムは褥瘡の発生要因と重複している(図2)
また、フレイル(frailty;虚弱)は健常と身体機能障害の間にある状態で、要支援・要介護となる危険性がある状態とされる。

サルコペニアの診断にはヨーロッパ老年医学会の診断コンセンサス、AWGS基準(アジア人の基準)などがあり、簡易診断法として椅子からの立ち上がりテスト(チェアスタンド)などがある。血清アルブミン低下とともに下腿周囲長が減少する。サルコペニアのセルフチェック法として飯島らが開発した「指輪っかテスト」があり、下腿周囲を指で囲んで隙間ができる場合は、囲めない群に対してサルコペニアの危険度が6.8倍、サルコペニア新規発症が3.6倍になることが報告されている。2016年のICD-10(国際疾病分類第10版)ではサルコペニアが採択された。

タンパク質・ペプチド・アミノ酸の吸収機構

タンパク質が分解されるとペプチドになる。ペプチドはアミノ酸より吸収が速く、小腸粘膜の吸収能が低下している状態でも吸収される。 タンパク質・ペプチド・アミノ酸の吸収機構タンパク質が分解されるとペプチドになる。ペプチドはアミノ酸より吸収が速く、小腸粘膜の吸収能が低下している状態でも吸収される。

コラーゲンペプチドと創傷治癒

創傷治癒には炎症期、増殖期、組織再構築期があり、コラーゲンペプチドは増殖期から線維芽細胞を刺激しコラーゲン合成を促進するとされる(図3)

褥瘡に対するコラーゲンペプチドの効果をみた報告がある。16週にわたりコラーゲンペプチドを投与しPUSHスコアで評価すると、コラーゲンペプチド群では3ポイント以上の改善が72%であるのに対し、対照群では21%であった。(杉原ら、2011)
また、褥瘡患者に8週間にわたり15g/日の水溶性コラーゲンペプチドを投与しPUSHスコアで評価したところ、コラーゲンペプチド投与群のほうが改善度が大きかった(Lee et al,2006,図4)。

Leeの論文は、日本褥瘡学会の「褥瘡予防・管理ガイドライン第4版」でコラーゲン加水分解物が記載されたエビデンスとなっている。

大豆ペプチドとコラーゲンペプチド

コラーゲンペプチドは分子量が小さいほうが吸収がよい。コラーゲン・コラーゲンペプチドに含まれるアミノ酸は非必須アミノ酸が多いため、他の必須アミノ酸を含むタンパク質とともに摂取する必要がある。

大豆ペプチドがコラーゲン産生を促進することが報告されている。
健常女性対象の実験では、大豆ペプチド+コラーゲンペプチドのほうがコラーゲンペプチド単独より皮膚の粘弾性が大きくなったことが報告されている。また虚弱高齢者対象のリハビリ効果についての研究では、運動単独群より大豆ペプチド+運動群でより大きな効果があった。

食事摂取量が少ない人、嚥下機能に問題がある人、創傷治癒の促進が必要な人に対して何種類もの栄養補助食品を出すことはできないので、これらをバランスよく配合されたものを選ぶことが必要である。

    コラーゲンペプチドの費用対効果について    

褥瘡治療とコラーゲンペプチドの費用対効果

看護師の平均年収から時給を算出し、Leeの試験でPUSHスコア1点を下げるのに要した費用を人件費、物材費に分けて計算すると、経口投与で液体と粉末のコラーゲンペプチドを用いると(図5)のようになる。
また、この試験にならい、ハイネイーゲル1381kca(l コラーゲンペプチド19.9g含有)、対照群(半消化態栄養剤1279kcal)で計算すると(図6)のようになり、人件費、物材費を合わせた総合計では、対照群67,495円に対してコラーゲンペプチド群34,597円となり、大幅な費用削減となる。

コラーゲンペプチド、大豆ペプチドを適切に使うことは褥瘡治癒促進、サルコペニア対策に有効であり、費用対効果の点からも良い結果が得られる。

   [ コラーゲンペプチドの活用におけるコストメリットの検討 ]

前提
コラーゲンペプチドは1日15g以上摂取/PUSHスコア 1点を下げるコストを比較

物材費用
褥瘡治療ガイドラインに基づいた創傷治療に用いた製品(創傷被覆材、薬剤、ガーゼ等)に栄養剤の費用を合算し算出。


  [ PUSHスコア 1点を下げるのに要したコストの比較 ]

①経管栄養でのコラーゲンペプチド摂取は、費用対効果が大きい。
PUSHスコア1点を下げるのに要した費用を比較すると、ハイネイーゲル摂取群のほうが32,898円少なくてすむ。

③コラーゲンペプチドを活用することは創傷治癒を促し、治療における費用対効果を高める。
より良い治療効果をもたらし、患者のための医療にもつながる。

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