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患者・同僚・管理者に好かれるデキるナースになるシリーズ第8回

その他投稿日時-(2018-03-07)ナースマガジン

        これからのナースに求められるケアの質とは ~効率的で効果的な質の高い医療的ケアを知る~
        第8回 在宅におけるスキントラブル対策のポイント
   ~スキントラブルが起きやすい、おむつ患者のスキンケア~

スキントラブルを軽減させることは、訪問看護利用者のQOL 向上や家族の負担減につながります。 そのために必要なスキンケアを在宅看護で行うには、利用者家族の理解が得られ、長く継続できることが大切です。今回は、あすか山訪問看護ステ ションの副所長であり、皮膚・排泄ケア 認定看護師の瀧井望先生にお話を伺い、スキントラブル対策のポイントと費用対効果の試算を行いました。

-スキンケアに関して、どのような取り組みを行っていますか?

よくあるスキントラブルに、ドライスキンがベースにある湿疹や皮膚炎、真菌感染症、IAD(失禁関連皮膚障害)、スキンテア(皮膚裂傷)、褥癒、下腿潰瘍、爪白癬などがよ<みられます。利用者全体の7割以上(図1)が、これらのトラブルを抱えているといわれています。

小児ではさまざまな医療デバイスの使用による医療関連機器による圧迫創傷や、下痢によるIAD、変形や痙性による圧迫、また唾液の湿潤で耳介に褥癒が発生することがよくあります。

高齢者では加齢による皮膚や軟部組織の変化に加え、低栄養状態や介護力の低下、フレイル(虚弱)やサルコペニア(筋肉量減少)などがあり、局所のスキンケアだけでなく栄養管理や療養環境の調整など、多角的な介入が必要となります。

 入浴介助で介入している利用者の場合、全身の皮膚観察が行いやすいため、スキントラブルの有無を確認することができます。ドライスキンや皮膚の掻痒感があれば、入浴法としてこ本人やご家族、ヘルパ—などに 図2のような指導を行います。自宅療養中はどうしても入浴や洗髪の回数が減りがちですが、皮膚を清潔にするには洗浄が大事です。その方に見合った入浴回数や入浴法を実施して、皮膚を健やかに保つようにしましょう。

 皮膚の浸軟はおむつ内や不適切な創傷管理において発生することがあり、皮膚の湿潤をできるだけ回避する方法をケースに合わせて考えます。また、発汗による湿潤や皮膚温上昇を予防するための環境調整として、通気性のよいマットレスやシーツ、エアコンマットなどを使用することがあります。

皮膚の非薄化で注意するのは、スキンテア(皮膚裂傷)です。保湿を十分に行い、両上下肢が露出しないように、タオル地タイプの筒状包帯やレッグウォ—マーなどでカバーします。浮腫に対しては原因をアセスメントし、可能な治療を行った上で、保湿と筒状包帯などによるソフトな圧迫療法を行います。

-スキンケアを充足させるために心がけていることはありますか?

訪問看護のすべての利用者に、スキンケアが必要だと考えています。そのため、初回の介入の際に皮膚を健やかに保つことの大切さを説明し、スキンケアを日々の生活支援の中に組み込んでいます。

皮膚のトラブルを起こす前と起こした後では、利用者のQOLや家族の負担に大きな差があります。また間違ったケア方法を継続すると、スキントラブルの改善が遅れてしまいますが、皮膚の状態に合ったスキンケア用品を使用し、早期にトラブル回避ができれば、利用者のQOLを向上させ、家族負担を減らせます。

スキンケア用品については、使ったほうがよい理由を説明し、まず試供品で効果や使用感を実感してもらっています゜すると、それを購入して、スキンケアを継続してもらいやすくなります。

-おむつを着用しているケース、便失禁があるケースなどのスキンケア方法を教えてください。

要介護4・5、医療依存度の高い利用者などで、おむつを着用しているケースは多いです。当然のことながら、排泄物を放置しておくと、スキントラブルが起こりやすくなります。皮膚が湿りやす<なる環境を避け、排泄物の汚れをきれいに取り除くための洗浄と撥水ケアが予防につながります。おむつ内のスキンケアについては、石鹸を使用した洗浄は1日1回までとし、擦らず愛護的に洗うよう指導しています。洗浄剤は弱酸性で抗真菌成分配合の泡タイプをおススメしています。保湿には、セラミドなど保湿成分が配合された保湿剤を塗り、保護は、撥水効果のあるクリ—ムの塗布、皮膚障害がなく浸軟していなければ、ヘパリン類似物質を含む保湿剤とワセリンの重ね塗りが効果的です。

便失禁がみられる場合は、医師と連携しながら原因の排除をできるだけ行っていきます。水溶性食物繊維や整腸剤で腸の運動を整え、経管栄養患者の場合は栄養剤の粘度調節や半固形化栄養材を使用すると改善することもあります。便失禁発生時にはスキントラブルが起きないように、亜鉛華軟膏を肛門周囲にたっぷり塗布し、ストーマ用皮膚保護パウダ—を塗布することもあります。

 利用者のご家族などで尿とりパッドの重ね使いをされる方がいますが、間違った使い方をするとおむつ内部のムレを引き起こしてしまいます(図3)。最近では、尿便の漏れや広がりを防ぐシートも市販されており、尿便が肌表面に触れにくいため、スキントラブルの予防効果を感じています。

-今後の課題として、どのようなことをお考えですか?

療養者は家族に対して気兼ねし、家族間の関係悪化など強いストレスを抱えていることがあり、家族ケアなど多面的に寄り添った支援が求められます。最近の研究では、皮膚と脳は密接な関係にあり、皮膚を健やかに保つことは皮膚トラブルの回避だけでなく、心身の健康の維持促進にもつながるといわれています。

スキンケアについて、在宅では生活の場の中で家にある物品を使用し、物品の準備も実際のケアも家族やヘルパ—などの介護者が行うことになります。一回では理解してもらえないことも多いので、ケアの必要性や方法について、根拠を持って利用者家族の理解が得られるまで繰り返し、根気強く伝えていかなければなりません。また、家族やヘルパ—でも継続できる統一したケア方法を伝え、実施してもらうことが必要です。そのためには日々の信頼関係を構築し、家族やヘルパーと一緒にケアを行い、起こりうるトラブルや対処方法についても話す機会を持つこと、研修会などの取り組みへの積極的な参加を促すことなどが大切だと思います。

病状の進行で食事が摂れなくなると低栄養や脱水症状を引き起こし、ますますスキントラブルが起きやすくなります。スキントラブルは在宅療養者のQOLを低下させ、処置に労力を要し、コストを増大させるといった悪循環を招きます。 

限られた訪問看護の時間のうち、スキントラブルのケアに多くが費やされ、その他の十分なケアができなくなる、というようなことが無いよう日々スキンケアに取り組む必要があります。 

少し高価ではあっても、スキンケアの一っとして、洗浄には抗真菌成分配合洗浄剤の使用をおすすめする等、症状に応じてスキンケア用品を選択し、継続してスキンケアできるよう支援してい<ことが必要です。

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