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ニュートリション・ジャーナル NUTRITION JOURNAL " 理解なき支援が「溝」を生む" Vol.04_その4

その他投稿日時-(2019-02-20)ナースの星編集部

在宅食支援は究極の多職種連携

「ラーメンが食べたい」

「食支援は、究極の多職種連携です」と語る渡辺先生が、ご自身が関わった食道がんターミナル期の44歳女性の症例を紹介してくれた。

「病状進行により、経口摂取困難、中心静脈で栄養管理。食事動作に問題はないが食欲がわかないと言っていました。入院時は、医師からプリンやゼリーは摂取可能といわれていました。
『家に帰って娘と暮らしたい』という希望があり、訪問診療を開始することになりました。本人の希望を訊いてみると『とんこつラーメンが食べたい』でした。

そこで、まずICF(国際機能生活分類)に当てはめ、6つの概念に分類して全人的に評価し、個人の要望に応えることにしました(図7)」。
渡辺先生の指導のもと、訪問管理栄養士が患者指名のラーメン屋にメールで事情を説明する。
すぐに、ラーメン屋より快諾の返事が届き、ラーメン1食分とラーメンどんぶりまで用意してくれた。本人の抗がん剤治療の合間を縫って、自宅で訪問管理栄養士がラーメンを準備。
言語聴覚士の立会いのもと、本人は喜んで取り分けた麺とチャーシューを平らげた。
「経口摂取ができなくなっていたんですが、今回の希望が叶ったことで、楽しみが増えたようです」と渡辺先生は振り返る。
安全性と満足感の両立を実現できた食支援症例である。

これからの在宅食支援における多職種連携は、「在宅患者に対し、食による加療ができること、食による満足を提供できることは当たり前」と渡辺先生は言う。
連携の輪が地域で幾重にも重なり、「在宅患者のADL・QOL・QODを上げることができ、家族には喜びを施設には安心を提供でき、在宅医療に関わる職員のテンションを上げ、みんながHappyになるはずです」。

また食べられる! 気力・活力アップにも。
栄養療法の底力

食べられなかった食事が、適切な量・質・形状を工夫することで、再び楽に食べられるようになると、エネルギーや栄養素の確保、免疫力の向上といったメリットだけでなく、味わいやのど越しを感じ、「食の楽しみ」を取り戻すことができるようになる。

食事には思い出やその人の歴史がつきものだ。五感をフル活用して楽しむことで、脳細胞へも良い刺激となる。
QOLの向上をもたらし、気力・活力のアップにもつながっていく。これは薬物療法では得られない、栄養療法の底力といえるだろう。

「食事の問題が何かを絞り込むこと」は、ここで活かされる。味覚が合わなければ、それとは違う味やのど越しのものを試してみる。食べることが苦しいのであれば、苦しくなる前に好きなものでエネルギーを取り込む。食べることで苦しくならないような食事形態や栄養素を選択する。
嚥下機能の低下で誤嚥しやすいのであれば、誤嚥しにくい食品を選んだり、調理時に食べ物をまとめたり、工夫をする。それでも.誤嚥する場合は、多少の誤嚥は受け入れつつ、食べることを続けても良い。それは本人と家族の判断になる。

食べることは生きること。それは生きるために必要な計算上のエネルギーを満たすことだけではなく、生きる気力を引き出すことでもある。

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発行: メディバンクス株式会社 ニュートリション・ジャーナル編集部
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ニュートリション・ジャーナル
理解なき支援が「溝」を生むVol.04
その1『高齢になるほど食事が大切』
その2『気づきのポイント』
その3『鷲澤尚宏先生に聞く』
その4『栄養療法の底力』


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