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教えてっ!退院支援の 5つのこと シリーズ第10回

その他投稿日時-(2019-07-19)ナースマガジン

退院支援に関する課題や思いなどを毎号お話ししていただくシリーズ企画。

今回は従来の薬局とは違うユニークな取り組みを行っているうさぎ薬局の加治亜世さんにお聞きしました。

地域における薬局・薬剤師の役割

当薬局は、スタッフ全員で地域活動・健康サポート活動を企画・検討しながら、真の地域密着型の薬局を目指して営業しています。
調剤薬局は地域の皆様が薬局に入りづらいとよく言われるので、身近なものとして感じてもらえるように、地域のイベントへの参加、講演会の実施など活動の幅を薬局の外に広げると同時に、処方箋を持っていなくても薬局に入りやすく、相談しやすい雰囲気づくりや仕組みづくりを行いました。
現在は、薬局内に骨密度測定器や血管年齢・ストレス測定器を設置して気軽に測定をしてもらい、骨粗鬆症マネージャーの資格を持つスタッフが、近隣の医療従事者と連携して食・運動・薬などの提案を行っています。
子どもが安心して遊べるキッズコーナーや、地域イベントの告知ポスターを貼るスペースも作りました。そのほかには、市の社会福祉大会や各種のお祭り・認知症力フェ・居場所などにも参加・協力、児童養護施設やこども食堂を支援するなど地域を盛り上げ、見守りをする活動を続けています。それらが次第にロコミで広がり、新聞社の取材を受けたり、行政からアプローチをいただいたり、多職種・多業種の人たちと連携することが増えてきました。
多職種連携をすることで地域の活性化にもつながり、よい成果を生んでいると思います。このような活動はボランティアとはなりますが、スタッフのやりがいとなっています。損得ではなく、とにかく多くの人に役立つことを考えて活動していくことが大切だと感じています。

在宅訪問が必要な患者様の中には、薬局から何十㎞も離れたところで暮らしている人もいます。地域にいる薬剤師の人数も限られているので、依頼があってもすぐに対応できない場合もあります。今後、どのような範囲で在宅訪問をやっていくかは地域医療の課題の一つです。


病院から在宅に移るときに行っていること

患者様が退院するときには、退院時に処方された薬のほか、入院前の処方薬が残っている場合があります。注意しなければ、退院薬と自宅の残薬を合わせて飲んでしまう危険があります。そのため患者様からの依頼があれば、服用しているすべての薬を確認して、分包したり、処方医にフィードバックしたりする活動も行っています。
在宅訪問に関わる場合、2週間に1回、ーカ月に1回など定期的に訪問する体制を取っています。独居の方や家族がいても薬の管理が難しい方は、服薬力レンダーを活用しつつ、訪問看護師やヘルパーと連携して服薬管理や見守りをお願いしています。
いちばん大切なのは、処方された薬をきちんと飲んでもらうことです。そのためにはどのように分包したほうがよいか、印字する文字の大きさ選択や用法ごとに色分けすべきかなど細かいところまでオーダーメイドで対応しています。
初めは大変な作業ですが、しっかりと服用を継続してもらうことが、よい結果につながります。それと並行して、薬が余らないよう自宅の残薬をゼロの状態に保つことも医療経済的な視点からも大切なことになります。


退院後の支援における多職種との連携

薬剤師が薬局の外に出なければ、情報も入ってきません。そのため、積極的に多職種の方と話をする場を作り、調剤だけではない調剤薬局の活動内容を知ってもらうようにしました。
その結果、多くの職種の方から連絡をいただけるようになりました。また、施設などへの往診の際、薬剤師が同行させてもらうようにしました。医師と看護師、薬剤師の3者で往診をすることで、減薬や重複投与防止などを含め、リアルタイムにその場で物事を決めることができるなど、メリットがたくさんあります。同行を重ねるごとに薬剤師側から提案することも増えてきました。当局のスタッフたちも、多職種と連携することでよい刺激を受けています。

地域の中では、高齢者の方が暮らしやすい地域包括ケアシステムを構築するための「地域ケア会議」にも参加しており、患者様と接する中で気づいたこと・今後の課題などを伝えています。


退院支援において病院に求めること

平成30年度の診療報酬・介護報酬改定で、入院時支援加算が新設され、入院時にも薬剤師の関わりが重要視されるようになりました。薬剤師の在宅訪問「居宅療養管理指導」は、自薬局で調剤した薬を管理することが一つの算定要件となっています。ところが、退院時の薬は院内処方となり算定できないため、連携の切れ目が生まれてしまい今後の課題となっています。

在宅訪問服薬指導の指示は、急な場合も少なくなく、病院から在宅への移行が決まった段階から情報を伝えてもらえると非常に助かります。

現在の「退院時共同指導料」は、退院前に多職種と一緒に退院支援力ンファレンスに参加して服薬指導を行い、在宅療養につなげるものです。患者様の情報をしっかり聞いて取り組んでいこうと思っています。


よくあるケースと困難ケースの対応

よくあるのは、複数の病院にかかっていて作用が重複している薬を服用しているケースや、飲みきれないまま薬を溜め込んでいるケースです。
そのような場合、退院時に限らず、いつでも持ってきてもらえば整理対応をするのも薬局の仕事です。今まで、余った薬を捨てていたケースも多かったですが、薬局で整理、申し送りをすることで薬を捨てる方は、ほぼいなくなりました。とくかく残薬がある場合は薬剤師に相談してほしいと思います。

患者さまに対して気を付けていることは、薬が飲めなくてもそれを責めないことです。どうして飲めなかったのか原因を探り、飲みやすくする工夫をしていきます。
たとえば、デイサービスやショートステイを利用する人に飲み忘れがあれば、施設の人とも連携し、その場所に持っていくバッグの中に予め薬を入れておき、管理してもらうようにしています。

これまでで一番大変だったのは、アルコール中毒の方のケースです。担当者会議に近所の酒屋の店長さんも来ていただき、お酒を売らないでもらえるかどうかを相談し、その結果現在は断酒できています。
また、認知症の方の場合、きちんと薬が服用できているかを確認して、見守っていきます。来局されたとき、飲み忘れが多かったり、飲みすぎて足りなくなったり、会計時に小銭が出せないといった様子を見て、おかしいなと気づくときも多々あります。
在宅訪問の患者様の部屋を訪問した時には、本人に不要で高額な健康食品を通販で継続購入していたこともあり、その際は担当ケアマネに伝え、継続購入を中止してもらいました。
今後、地域活動の中に認知症診断ソフトを導入し、気になる方は専門医につなげていくことも考えています。
これからもさまざまな職種の方と信頼関係を築き、いつでも気軽に相談していただき、調剤薬局が地域医療の一端を担えるように努力していきたいと思います。
(2018年10月22日取材)

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