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何ぞやシリーズ第23回 「AHN導入をめぐる意思決定支援」って何ぞや?

何ぞやシリーズ第23回 「AHN導入をめぐる意思決定支援」って何ぞや?

投稿日:2020.03.01

医療現場で患者・家族が選択や判断を迫られることは多々あります。命に直結する「水分・栄養補給法」であるAHNの導入となれば尚のこと、家族間の意思決定や医療者側との合意にいたるプロセスで伴走する看護師の役割は重要です。AHN導入をめぐる「意思決定支援」って何ぞや?
AHNが視野に入るということは、このままでは命に直結する水分・栄養を自力で必要三里摂れないということだから、患者・家族は不安や絶望を感じているかもしれない。その上「説明はしましたから、あとは話し合って決めてください」という不十分なインフォームドコンセント(IC)しかされなかったら、患者・家族は戸惑うよね。
意思決定のために必要な情報を共有するには、医学面からの解説や選択肢の提示だけでなく、患者・家族の気持ちをくみとって一緒に最善の道を考えていくプロセスとしてのICの在り方が問われると思うんだ。当事者である患者・家族が置いてぎぼりにならないように、ナース諸君はぜひ同席してフォローしてほしい。
家族の気持ち・都合や住まいの環境(居宅の条件、入居先の介護施設の方針など)、主な介護者となる家族の負担などが、判断に影響を与えることを考えると、常吉さんの最善とは何なのか、トメさんの負担にはどんな配慮が必要か、そういう当事者側の視点を大切にして話し合うプロセスに乗せていくことが、私たちナースに求められているんですね。

理解を助けるための工夫を

常吉さんのような胃瘻の適応ケースでは、ICで胃瘻と経口の併用を薦める理由も医師は説明したと思うんだけれど、それを正しく理解できたかどうか確認する必要があるよね。
じいちゃんたら、「先生の説明はようわからん。わからんものは受け入れられん」って言うんです。先生の前では特に質問もないって言ってたし、うなづいていたからわかってると思ってたんだけど、僕の思い込みでした。
だから、説明用のパンフレットを作ったり検索して紹介したり、カテーテルの実物を見せたりしてイメージしやすい工夫をしてみました。それを見た病棟師長が「わたしが入職したころは、もっといろいろなパンフレットがあったのよ」って持ってきてくれて。ボタン型胃痩カテーテルをつけたぬいぐるみもあったみたいだよ。
じいちゃん、胃痩がわかってきたら経口摂取との併用にも関心を示し始めて、「食べられるのはどんなものか」ってNSTに質問してきたんです。摂食嚥下障害看護の認定ナースと食支援に力を入れている管理栄養士がサンプルをもって説明に来てくれたので、じいちゃんだけじゃなくて、ばあちゃんも自宅でできそうだって喜んでました。

生活に目的が生まれる支援とは

さて、理解が得られたら、次に考えることは何だと思う?
AHNの使いこなし方を伝えることです!トラブルシューティングも用意して、サポート体制ばっちりにしておこうと思います。体の機能が低下してAHNによるメリットが得られなくなってきたときのこともあらかじめ共有できていれば、尊厳を傷つけると言われることもないんじゃないでしょうか。

私はAHNで体調を整えたら何がしたいか、何ができるか、前向きな提案をしたいと思います。入院中に弱ってしまった足腰のリハビリテーションや、安全に一口を楽しめるための摂食嚥下リハビリテーションなどに取り組むことは、その次の行動への可能性につながるのではないかしら。
いいねえ。一つひとつの理解という点をつなげて線や面に広げていくと、生活に目的が生まれる。そこまでイメージできたら、患者・家族の意思決定にとって、大きな助けになるはずだ。これからも、みんなでしっかり支援していこうね!
(つづく)
■監修:医療法人西山医院 理事長・院長 西山 順博 先生

■参考:公益社団法人日本看護協会ホームページ 
    看護実践情報:インフォームドコンセントと倫理
日本看護協会ホームページはこちらから

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