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ナースマガジン

特集!「トータルケアを支えるスキンケアQ&A」

投稿日:2020.04.28

アセスメントに基づくケアはもちろん大切ですが、評価スケールや記録をつけることに一生懸命になりすぎて、本来の「患者を看る」という視点を忘れていることはありませんか?
スキントラブルは様々な要因が影響し合って生じることが多く、一時的に皮膚症状が改善しても患者のQOLやメンタルヘルスが低下してしまっては、トータルケアの視点からは不十分なのではないでしようか。
今回は、皮膚・排泄ケァ認定看護師の政田美喜先生をお訪ねし、患者のトータルケアの視点からスキンケァについてお話を伺いしました。(編集部)

予防的スキンケアの基本

自分の行っている予防的スキンケアやケア裂品の選び方・使い方が、説明書や書籍を読んでもこれで正しいのか自信が持てません。いまさら聞けない基本的なポイントを教えてください。
予防的スキンケアの基本は、まず現在の皮膚の状態を悪化させないようトラブル発生要因を冒すことです。ケアの基本である「保清・保湿・保護」の3保を、個々の患者の状態に合わせて行っていきましょう(表1)
病院ごとに製品の導入にはいろいろな制限があると思います。患者の状態に適したものを利用できるように、製品に関する知識を深めることも大切です。また、予防にあたるべき看護師が感染の媒介者にならないよう、頻回の手洗いによる手荒れにも気を付けましょう。

真菌処置オムツ

使用患者の腎部が赤くなっています。カビ(真菌)によるものかIADか、判断するポイントとケアの方法を教えてください。
オムツを着用していると皮膚が蒸れて浸軟しIAD”incontinence-associated dermatitis)も真菌感染も生じやすい状況にあります、。鑑別をするには、検体を取り、顕微鏡検査や培養の結果から判断しましょう。真菌は顕微鏡検査で直ぐに分かります。処置の方法も変わってくるので見極めは大切です。
真菌の一種である皮膚糸状菌やカンジダ菌が皮膚に寄生して、皮膚真菌感染症を発症する場合があります。陰部や腎部、鼠径部に発疹と痒みを生じ、治療には抗真菌薬が用いられます。ステロイド薬は真菌のエサになって悪化させる要因になるので、使用してはいけません。十分に洗浄することも大事で、抗真菌成分配合の洗浄剤などを使ってよく洗い、真菌除去に取り組むましょう。

皮膚剝離(スキン-テア)の処置

体位変換の時、手首の皮膚が剥離してしまいました。どのように処置したら良いですか?今後のケアで気をつけることは?

STARスキンテア分類システムガイドラインに沿って処置し、継続的に観察して状況を評価します。
スキンーテアは「主要高齢者の四肢に発生する外傷性創傷であり、摩擦単独あるいは摩擦・ずれなどの外力によって、表皮が真皮から分離(部分層創傷)または表皮および真皮が下層構造から分離(全層創傷)して生じる」と定義されています(Payne R.&Martin M.1993)
例えば転倒して壁に腕をぶつけたり、ネームバンドがこすれたりして皮膚が割けてしまった状態や、固定テープ類を剥がす時に一緒に皮膚が剥がれてしまったりするのがこのスキン-テアです。日本語版STARスキンテア分類システムガイドラインに基づいた観察をし、状態に合わせた処置を行っていきます(表2)。
評価時の状態は写真撮影などの記録を残し、次の処置者がわかるようにしておくことが大切です。いくつか細な摩擦やずれでも簡単に裂けたり剥がれたりする高齢者の皮膚を「高齢だから仕方がない」と考えるのではなく、抗凝固剤やステロイド剤など特殊薬剤をはじめ、栄養障害等が影響していないかという視点でのアセスメントとケアアプローチも忘れないようにしましょう。
【参考】一般社団法人 日本創傷オストミー・失禁管理学会:
IADベストプラクティス(照林社)第1版第1刷
    日本語版S丁ARスキンテア分類システムガイドライン

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