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東北から発信!A-CNDnet 最終回

認知症ケア投稿日時-(2020-04-20)ナースマガジン


~~~最終回A-CNDnetに託したい思い~~~

連載もいよいよ最終回となりました。当初は東北の地で頑張っている認知症看護認定看護師の活躍を世に知らしめたいという思いでしたが、毎回の掲載記事を拝見し、秋田の地に根付きつつある認定看護師のチカラを強く感じました。
今後、これらの活動の芽が出て花が咲き続けるのを祈るばかりです。

いま改めて問う「その人らしさ」

最終回は、読者の皆さまと共に「その人らしさ」とは何かを考えていきます。近頃は臨床場面だけでなく、教育の場面でも「その人らしさ」というキーワードが使われるようになってきました。
ここでは、認知症の父親を看取った経験のあるBさんの手紙から、「その人らしさ」とは何かを考える手がかりを探りたいと思います。

周囲の人たちを含めた「その人らしさ」への配慮

私たちは、毎日接触をすることで「その人」の記億は変わっていくといわれています。脳科学者の恩蔵(*1)は「いつでも鮮明に蘇る記憶でも、実は新しい経験と共にまた再び思い出すと共に、変化を受けている」と述べています。Bさんは施設で父親と会うたびに、昔の記憶は変化を受け思い出せなくなったと考えられます。本来のその人の姿との乖離が大きくなるほど、家族の喪失感や苦痛は強くなると推測できます。
私たちは、認知能力が喪われた肉親を家族がどのように受けとめているのか、その思いを勘酌した対応をしているでしょうか。中川ら(*2)は、その人らしさを尊重するケアとして、文献レビューから【人や物との繋がりのケア】を見いだしています。具体的には、《他者との関り方に関するアセスメント》や《孤立化の防止》などです。認知症の方だけでなく、周囲の家族や友人など相互の関係性に変化はないか、家族から孤立した状態になっていないかについても目を向けられるとよいのではないでしょうか。
一方Bさんのようなケースでは、過去のご本人の生活背景を伺うことが家族にとって酷となることもあり得ます。恩蔵は「その人らしさ」とは認知機能が作るものと、もっと根本的な感情の作るものに分けられるのではないかと述ぺています。つまり、認知能力が喪われても、その人自身の核として残り続ける何かはあるわけです。
看護師は、日々のケアを通し認知症の方の価値観や嗜好の一端を垣間みることが可能な立場だと思います。この立場を活かし、微細なしぐさや表情の観察から、今ある「その人らしさ」に向き合い、家族と情報共有することを提案します。喪失感を伴った家族にとって、認知症の方の変わらない証に気づかされることは、心の癒しとなるでしょう。

普段の「その人らしさ」を発揮してもらうには

「その人らしさ」とは第三者が対象となる方を見てイメージするものであり、その人自身の真の姿と一致することはないという限界があります。また、一般的に身体的な不快などは、普段のその人らしさの発揮を妨げる要因となります。認知症の方は、これらの不快をうまく表現できない場合も少なくありません。

それらの要因を取り除いた上で、その方の言動はもとより、身のまわりの私物や寝衣、履物、ケアの後の反応、食事の時の様子(何から口にするか)等のつぶさな観察を積み重ねることで、見えづらかった「その人らしさ」の輪郭に近づいていけるのだと思います。
(終わり)

*1恩蔵絢子:.脳科学者の母が認知症になる。河出書房出版,2018:98~99.
*2中川孝子,藤田あけみ、西沢義子:「その人らしさを尊重したケア」に関する文献検討一認知症高齢者への実践に向けて一。青森中央学院大学研究紀要(27) 2017:141-151

A-CNDnet連絡先 Email:acnd.net@gmail.com


今号をもちまして、本連載を終了いたします。ご愛読いただきありがとうございました。

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