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教えてっ!退院支援の5つのことシリーズ第15回

その他投稿日時-(2020-06-05)ナースマガジン

教えてっ!退院支援の5つのこと
第15回

 丹波 光子 さん
  皮膚・排泄ケア認定看護師 師長

 木下 ゆみ さん
  
退院調整看護師・訪問看護認定看護師 副師長

 急性期病院杏林大学医学部付属病院

地域医療の最前線である急性期病院杏林大学医学部付属病院は、急性期を乗り越え退院・転院する患者さんのこれからを考え退院調整を行っています。退院支援に熱い思いを持って日々奮闘されている木下さんと丹波さんお2人にお話しを伺いました。

急性期だからこそ、
地域背景をふまえた支援を

当院は、東京西部多摩地域の急性期・高度急性期医療を担っています。緊急度が高い方の搬送も多く、三次救急では身元不明のケースも珍しくありません。高度救命救急センターでは、まず専従のSW(ソーシャルワーカー)により、どのような状況での搬送か、患者さんやご家族に確認。必要に応じて地域包括支援センターの方や行政と連絡をとりあうことからスタートします。
退院後、地域での生活に困難が予想される患者さんも中にはいらっしゃいます。そのようなケースは入院中なるべく早期に発見できるよう努め、地域でどのような生活が待っているのかを把握した上で、ご本人の希望を踏まえた退院支援を行います。
当院のような急性期病院では、急性期治療を終えた患者さんが安心して次のステップに進めるよう、地域や家庭の状況をふまえた退院(在宅・転院)支援が必要と考えます。

入院時のスクリーニング、
退院時の地域連携

当院では、スムーズに入退院が行えるよう「入退院支援システム」を設けています。予約入院時は外来の情報を病棟と共有、退院支援のスクリーニングを行い、重ねて入院後は病棟看護師が確認します。
緊急入院のケースも基本は同じです。スクリーニングで専門的な介入が必要と判断すれば、退院支援部門が介入します。
また、各部署には「退院支援リンクナース」を配置しています。院内外の研修を受け、退院支援部門の退院調整看護師やSWと連携し、退院支援の役割を担っています。
「退院支援リンクナース」は患者さんが、地域での暮らしの中で充分な治療やケアを受けられるように活動しています。

急性期医療から浮かび上がる、
地域で必要とされる支援

自宅で生活ができている高齢者であっても、ちょっとした怪我や病気をきっかけに生活が成り立たなくなることがあります。当院に搬送され、初めて生活が破綻寸前だったとわかることもあります。既に生活が破綻していたとしても、ご本人や家族が声をあげなければ支援や介護の必要性を地域がキャッチするのは難しい状況もあります。
そのような患者さんの多くは、退院後のサポートが必要なため、退院前力ンファレンスで今後の支援方法を探ります。
このカンファレンスには、訪問医・訪問看護師・ケアマネジャー・地域包括支援センターの職員の他、必要に応じて訪問介護事業所のヘルパー・薬剤師も参加します。患者さんの病態によっては、より規模が大きいカンファレンスとなります。
急性期医療という視点から、必要な支援が見えてくることもあります。地域全体の支援底上げのヒントとなるような、そんな退院支援が当院に期待されていると感じます。

形成の専門診療所と
WOCNによる取り組み

当地域では、数年前に在宅療養支援・訪問診療を担う診療所が開院しました。
形成外科専門医が診察にあたり、褥瘡や下腿潰瘍などを、地域で専門的に治療する体制が整ってきました。
外来受診後、褥瘡や下腿潰瘍患者が高齢や視力の低下など自分で処理ができない患者に、訪問診療を利用しています。状態が悪化する場合や植皮など手術ができるような状態になると入院、手術など慢性創傷患者を地域と連携して治療・ケアを行なっています。早期に専門的な診療が行われれば、病院に入院した場合、入院期間の短縮に繋がります。高齢者は入院が長いと歩けなくなり生活レベルが低下してしまうので、入院の短縮はADLの維持につながります。

褥瘡が治癒遅延している患者では、実際自宅に訪問することで生活を理解し修正することが必要です。その場合はW O C N (皮膚・排泄ケア認定看護師)が訪問し、何が足りないか、何をすべきかを確認します。その後の対応として患部をガーゼで擦るといい等の実践的なアドバイスも含め、訪問看護ステーション等にケア方法を共有します。
あるご利用者の方は、布おむつ使用による蒸れから創傷が悪化していました。
布おむつはご本人の希望で、介助者は紙おむつを使いたくても使えない状況にあったため、W O C N の立場から現在の失禁レベルでの布おむつ使用は悪化に繋がること、紙おむつの利便性や快適さなどをご本人・介助者に説明することで改善できました。W O C Nの専門性によるケア方法を看護者・介護者の方々にその場で確認・説明し、時には訪問看護ステーションに向けてカンファレンスすることもあります。ある消化器ストーマの在宅患者さんは、独居の高齢者でストーマの漏れを頻繁に起こしていました。酸素ボンベを使用をしていることもあり外来通院は難しく、その都度訪問看護ステーションに連絡する状況です。漏れを繰り返すと皮膚が荒れ益々装着し難くなるという悪循環に陥り、昼夜問わず頻繁に連絡があったそうです。担当の訪問医からW O C N へ依頼がありケアを担当しました。訪問看護の方には、このような状態で漏れているからこういう装着がいい等とケアしながら指導します。座位のときの腹部のシワ等皮膚の状態、生活の中で長時間とっている姿勢を考え、装着します。W O C Nが一度指導すれば、ほぼ解決! その後は訪問看護の方がしっかリケアしてくださいました。長年問題なくストーマを使えていても、加齢や他の疾患の治療による体重減少などでストーマがずれたりあわなくなったりして急に漏れやすくなることもあります。状況の変化を感じたらいつでも連絡してください、と訪問医の先生に伝えています。

「退院をさせるための 退院支援」ではない

当院では、地域連携のためのフォーラムを年1 回開催しています。
当院と連携が多い医療機関の方々に参加いただいている「連携の会」という取り組みです。地域医療に携っている医師や当院医師から事例等を紹介していただき、その後の懇親会でざっくばらんに話し合います。
当院は地域医療を担う医療機関の一員として、必要とされる方に適切な治療を行う立場であると考えます。ただし、急性期病院としての使命があり、そのための病床を確保しなければならない状況にもあります。
円滑な退院支援は、退院支援に関わるスタッフ誰もが常に考えていることです。退院支援に関わる看護師には「退院をさせるための退院支援ではない」とよく伝えています。退院支援の目的は、当院での急性期治療を終えた患者さんが安心して次の療養先に移っていけるよう、支援することです。患者さんの退院後の療養に携わる方々に的確に情報提供すること、それをできるだけスピーディに行うこと、それが私たち急性期医療に従事する看護師が担う退院支援と考えています。
(20 2 0年2月5日取材、編集部まとめ)

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