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長岐 祐子先生の口腔ケアコラム第5回

第5回 身体に障害のある患者への口腔ケア

1.姿勢への配慮

身体障害の代表的なものとして「脳性麻痺」があげられます。脳の障害により、運動機能の発達の遅れから、自分で座ることができない、首が座らない、といったケースが多いと思います。


このよう場合、小児であれば介護者があぐら座りで、あぐらの中に患児の頭を置いて、固定して口腔ケアができます。


年齢の高い患者に対しては、車椅子に座らせたままでももう一人の介助者のサポートで、頭を固定させる、クッションや改良チェアーを使用するなどして、頭の固定をしっかりすることで口腔ケアがし易くなります。


しかし、ここで無理な体勢や無理強いすると返って患者が緊張してしまい、口腔ケアがし難くなるので注意が必要です。

2.心理面での配慮

障害のある患者さんに限ったことではありませんが、相手の気持ちになって口腔ケアをすることを忘れてはいけません。


介助者にとっては口腔ケアをすることで患者の口の中がさっぱりして気持ちいいものであり、そこについている汚れをついついゴシゴシ取りたくなってしまうのですが、ここはちょっと我慢です。


一番はケアを受ける患者が、リラックスした状態であるかどうかで、汚れを落とすことは二の次です。患者さんがリラックスできる場所が決まったら、毎回その場所で同じ時間に同じ人が口腔ケアをすることが理想です。


また使用するものも、患者が納得したもの、好きな歯ブラシを毎回使うようにします。それでも本人の機嫌が悪かったり、ちょっと頑張り過ぎたケアをして咽させてしまうだけでも、一瞬に心が閉じてしまうので、慎重でありながらリラックス感が必要となります。

3.口腔ケアの実際

咬反射が強い場合は、無理して歯ブラシを使わず、湿らせたガーゼを指に巻きつけ、ポイント定めてすばやく清拭をします。


歯肉増殖がる場合、この場合、薬の副作用もあるため、かなり歯肉が腫れ上がり痛々しいのですが、歯と歯肉の境目の汚れをしっかり取れるようにあまり力を要れずに行います。


うがいができない場合、ケアの後に、お茶などで湿らせたガーゼで口腔内全体を拭いていきます。このような文章での説明ではケアが簡単に表現されてしまいますが、実際は本当に介助やのスキルと判断力が必要となります。介助者同士で口腔ケアをし合うことも、とても重要なトレーニングです。

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