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認定看護師さんインタビュー企画

認定看護師さんインタビュー企画~松村千秋さん(感染管理認定看護師)~

認定看護師インタビュー今回は、
東埼玉総合病院でご活躍されている松村千秋さんにお話を伺いました。

■松村さんの看護師としてのキャリアについて教えて下さい。

看護師になったきっかけとしては、高校3年生の就職時に、求人広告で看護師さんの募集記事をみたのが最初でした。そのときに、「働きながら資格を取れる仕事があるんだ」というイメージをもったことを覚えています。

最初の病院に入職後、脳外科に1年間在籍しました。その後、結婚と同時に地元の病院に移って2年ほど勤務したあと、出産と同時に退職しました。離職したあとはしばらく育児に専念していたのですが、パートで近隣の老健施設に復帰。休職期間は3年くらいに及んだと思います。その後、子供が2人とも小学校に入ってから、現在の勤務先に入職しました。今年で12年目となり、今は内科病棟にて仕事をしています。

■認定看護師の存在を知ったのは、どのようなきっかけからでしたか?

私自身、体の不調に見舞われたことがありまして、病棟勤務は体力的にも厳しいと感じた時期があったのです。病院側の配慮があって、間もなく外来に転科させてもらいました。そのときに自分の時間が比較的もてるようになったこともあって、がんの化学療法についての勉強を始めていました。

そしてある日、某大学病院に在籍していた、がん看護の認定看護師さんによる研修会を受ける機会があったのです。講習を聞いて、大きな衝撃を受けました。講師をしてくださった認定看護師の方が、とても輝いて見えたのです。私と同じ看護師なのに、こんなにも専門的で堂々と講演をしている姿を見て、「凄いな…」と思い、「私にもなれるのだろうか…」と感じながら、憧れを抱くようになりました。それが私にとっての大きな出会いであり、自身のプロセスの転機になりましたね。

その後、病院で感染のICTに入り、感染の勉強を始めました。実は当時、病院の中に、感染の分野を強化していきたいという流れがありました。認定看護師というものに大きな興味をもつようになっていた私は、思い切ってその分野で受験することを決めたのです。

復帰して、4年目くらいの頃だったでしょうか。体の調子が悪くなっていたことで、将来に対する不安や危機感が募っていて、自分のスキルを伸ばしておくことの必要性を感じてもいました。また、管理系の仕事にも興味があったことも受験の動機の一つになりましたね。

■受験勉強は、どのように進めていきましたか?

実は一度目の受験には失敗しているんです。正直あまり勉強をしていなかったのも事実なのですが、とにかく試験は難しかったですね。初回の受験を失敗して、仕切り直しになりました。

勉強をする中では、今まで聞いたことのないようなワードが出てきては、ドクターに聞きながら勉強を重ねていきましたね。覚えることも多く、正直、何度か挫折をしそうにもなりました。くじけそうになったときには看護部長にも相談に乗っていただき、力をもらって再び勉強を頑張る、という毎日でした。

そして再度の受験にトライして、今度はなんとか合格することができたのです。本当に皆さんのお力添えのおかげだと感謝しています。

■養成学校での苦労話や楽しかった思い出を教えていただけますか?

最初は大きな壁を感じました。教えてもらう内容も正直分からないことばかりで、自分がこれまでいかに勉強してきていなかったかを思い知らされることになりました。養成学校に集まってきた人は、みんなプロフェッショナルな人たちばかりです。知識も経験も、私に比べてすごく豊富だったように思います。自分との差を感じるとともに、何とかこの人たちに追いつかなければと、焦りを感じる日々でした。
ただその反面、学生生活そのものは、とても楽しかった思い出として心に残っています。全国から生徒が集まり、さまざまな病院や施設から来ていて、年齢もまちまちでした。下は27歳から、上は48歳くらいまでの学生さんがおられました。そうした仲間たちから入ってくる情報全てが新鮮で鮮やかで、話していると楽しさで苦労も吹き飛んでしまうくらいでした。当時の皆は、同じことを学び、ともに苦しんだ仲間たちです。今でも繋がりがある、大切な友人ですね。

■学生時代が終わり、認定看護師として病院に戻ってきてからはいかがでしたか?

看護部長の理解もあり、「感染管理者として独立して仕事を頑張ってみなさい」という話をいただきました。現在はその言葉通り、独立して管理者としての仕事をさせていただいています。
感染管理は、院内全体を網羅しなければいけません。組織を横断しながら活動することが大きな特徴です。またその分野の看護のスペシャリストというよりは、データの集計なども担当することから、どちらかというとマネージャー的な要素が強いと思います。他の認定看護師がスペシャリスト的な要素があるのに比べて、その点は少し異なる面があるように思いますね。

■現在、認定看護師として病院ではどのような役割を担っているのでしょうか。

教育、実践、指導、サーベイランスが主な仕事になります。午前は院内ラウンドを実施し、感染対策がきちんととられているかの確認を行います。午後は現場ごとの相談に乗る時間に当てています。そして、残りの時間はサーベランスに費やしています。病院で感染がおきていても、それは決して目に見えないものです。それを可視化するためには、データ化しないと周知ができません。
そして、手術部位、血流、呼吸器、尿路、インフル、MRSAなどを感染率として算出するためには莫大なデータが必要になるのです。きちんと感染症として位置づけるには、ドクターとも相談をしなければいけません。ひとつのサーベイランスをするのにも多くの時間がかかりますが、それをしっかりとやらなければ、院内の感染のことが周囲も理解できないのです。

例えば、術後の患者さんが発熱をしても、それが感染によるものかどうかはわからないと思います。そうした事態が、どの程度の頻度において院内で起きているのかなど、データをしっかり検証していかないと正確な現状把握ができません。

その意味でも、日々データと睨めっこすることが大事なのです。他に、ICTの運営などもあります。同時に中央材料室の管理も担当していて、機器や鋼製小物の洗浄などについても管理・指導をしています。同時にさまざまな業務マニュアルについても、日々見直しや改善をしていかなければいけません。

■松村さんが考える、現在の目標について教えてください。

今の時点で定めている、「5か年目標」があります。まずは、感染管理の認定看護師になりたいという後輩が出てきてほしいと願っています。そのためにも、自分自身の背中を見て何かを感じてもらえるように、しっかりしなければいけないですね。

仕事の中では、部下に「任せる」ということも大事だと感じています。感染の後援会などもICTのメンバーが率先して動いてくれたり、どんどんチームの皆が積極的に行動をしてくれている現状もあるので、うれしく思いますね。

■看護師の仕事の中で、いつも心がけていることはありますか?

基本的なことですが、やはり、いつも笑顔でいることかなと思います。決して人に不快感を与えてはいけない、人に見られた時に不快感を与えるようではいけないということを常に心がけていますね。
感染管理は、日頃からの予防に対する意識付けや、防ぐための行動を習慣として根付かせることが大事です。そうしたことをしっかりと伝えていくためにも、相手を緊張させないこと。つまり笑顔で接することが大事なんだと考えています。リラックスした状態で、しっかりと伝えたいことを吸収してもらえるように心がけています。

■認定看護師として仕事をする中で、嬉しかったことはありましたか?

院内で感染に関する取り組みをしたときに、私の発信したことが院内でしっかりと実施されていると感じたときには、嬉しかったですね。感染対策は私一人で頑張っても目標を達成できないものですから、自然に取り組みが浸透して、皆が自ら進んで取り組んでくれたことを嬉しく思いました。それは、スタッフ一人ひとりの協力があって初めて達成できるもの。いつも皆の協力に感謝しています。

■「ナースの星Q&Aオンライン」会員に向けてのメッセージをお願いします。

お仕事をしていく上で、いろいろと難しい部分はどこでも誰にでもあると思います。そうした中で、私がいつも心に刻んでいる言葉があります。

「成せばなる、成さねばならぬ、何事も」

有名な、上杉鷹山の言葉ですね。とにかく何事も、まずやらないと前には進みません。大切なのは、行動してみること。私もこの言葉を胸に日々頑張ります。

<松村さんがご活躍されている病院>

東埼玉総合病院
〒345-0025 埼玉県北葛飾郡杉戸町清地2-2-11 TEL:0480-33-1311 FAX:0480-32-5210 >> http://nurse-saitama.jinai.jp/

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