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坪田 康佑先生のコーチングコラム第9回

第9回 効果的なフィードバックをあなたのチームに根付かせるための第一歩 フィードバックは効果的、でも難しい!?

投稿日:2012.05.18

今日ご紹介する「フィードバック」は企業組織に限らず医療現場においても極めて重要なスキルの1つです。チーム内でフィードバックする文化が築かれることで、申し送りの時間短縮が出来たり、誤薬が減ったりというような成果が見られています。同時にフィードバックは実行するのがなかなか難しいという声も少なくありません。


今回はコーチングにおける「フィードバック」の特徴と実践の第一歩についてご紹介します。

コーチングにおけるフィードバックとは

さて、フィードバックと聞いてあなたはどのようなことを思い浮かべるでしょう?ややもすると人は、フィードバックを忠告や批判、評価と受け止めてしまいがちです。ここにフィードバックをしづらい、受け取りにくいと思わせる理由があるようです。


コーチングにおけるフィードバックは、相手が及ぼしている影響や現在相手の状態を明確に把握し、理想(目標)の実現に向けて軌道修正を行うことやその前進を後押しするために行われます。 同時に「フィードバックされたことをどう受け止め、判断し、どのように次の行動につなげていくかについてはフィードバックを受けた本人が決める」というのがコーチングにおけるフィードバックの大前提です。


以前、私の看護学生時代の同期で、新人ナースになりたての4月頃に患者中心の看護や自分の目指す看護がやっと実践できる。 「処置をみる看護から、人をみる看護に変えていくんだ!」と熱く話していた人がいました。


ところが、1ヶ月して、夜勤デビューした頃になると彼女から聞かれるのは、プリセプターに関する愚痴や、プリセプターの機嫌を見分ける方法などの話が多くなりました。
そこで、私は「最近、プリセプターの話しかしていないね」とフィードバックしました。


フィードバックを伝えただけなのですが、彼女は、無意識にプリセプターのこと、特にプリセプターに怒られないようにするにはどうすればいいのか?という考えばかりになっていた自分に自ら気がついていったことがありました。
・目的に向けて行われること

・活かすかどうかの選択権はフィードバックを受けた側にあること(強制ではないこと)
がコーチングにおけるフィードバックの大きな特徴と言えるでしょう。
このスタンスに立つことでフィードバックをしやすくなった、受け取りやすくなったという方も少なくありません。 そのフィードバックの次の晩、彼女から電話がありました。


「プリセプターに対してビクビクしながら、自分を閉じ込めてしまう感覚で働いていたことに気がついた。 改めて患者さんのことを中心にすえていた自分の初心を思い出したところ、仕事が楽しくなってきた。」ということでした。


その後も彼女と話す度に、「あの一言がなかったら、一年で辞める潜在看護師になってしまっていたかもしれない。」と言われます。

フィードバックを実行するための第一歩

フィードバックを実行するために私がみなさんにオススメしたいのは、まず自分がフィードバックを「受け取る」ことから始めるということです。


フィードバックとは何か、そしてその有効性を周囲に示すことができ、あなた自身も体験を通して、今度はフィードバックするのに有効な視点を得ることができます。


何より、フィードバックは受け身なものではなく、主体的なものだという認識をチーム内で共有できれば、フィードバックが根付くための第一歩となります。


とはいえ、急に「私にフィードバックをしてください」と言っても相手は答えづらいでしょう。以下にフィードバックを自分からとりにいく際のポイントとフローをお伝えしますので、ぜひ試してみて下さい。

1:事前に次のことを自分で認識する

良いこと/悪いことという2極的な考え方を脇におき、フィードバックされる内容は目標に向けての大切な情報だということ
そして、場合によってはショックや抵抗が自分の中に起こることを踏まえた上で「目標達成に一歩近づくために、この人の言葉を全部そのまま聞いてみよう」という認識を持ってください。

2:フィードバックをリクエストする

フィードバックをもらいに行く際には「私が手に入れたい目標(理想の状態)に照らし合わせて、今どう見えるのか、どう感じるのか教えて欲しい」という観点でリクエストすると、相手も答えやすく、また目標達成につながる有効なメッセージが返ってくるでしょう。

【フィードバックをリクエストする際の例】

・今日の朝の申し送りではみんなの意欲を高めるような言い方をこころがけたのですが、あなたにはどう見えましたか?
・患者さんが、安心できるような説明を心がけたのですが、どう聞こえましたか?
・できるだけ読みやすいように、カルテを書いてみたのですが、ここからどんなことが読み取れますか?とか

3:受け取り、感謝を伝える

相手からフィードバックを受け取る際には、言い訳や解説をせず、ただ「正直に言ってくれてありがとう」と感謝を伝えることが基本です。また、合わせて、「もう少し具体的にいってくれませんか?」と深めたり、「正直ショックはありますが、役に立ちました」と正直な感想を伝えることも有効でしょう。

こうしたやりとりを通じて、次にまたフィードバックをもらえる関係・環境づくりができます
そして、同時にフィードバックに対する興味や親近感を、組織内に醸成することもできるでしょう。


▼フィードバック関連記事(コーチ・エィ メールマガジン“WEEKLY COACH”バックナンバーより) 
フィードバック(コーチ・エィ専務取締役 桜井一紀)
http://www.coacha.com/view/sakurai/post-54.html

相手の思っている私(コーチ・エィ専務取締役 桜井一紀)
http://www.coacha.com/view/sakurai/20111026.html

フィードバック(コーチ・エィ 代表取締役会長 伊藤守)
http://www.coacha.com/view/itoh/post-73.html
——————————— ◇◇ イベントのお知らせ ◇◇  ——————————— …………………………………………………………………………………  
■□  日本コーチ協会 第14回年次大会 
□■ ~医療におけるコーチングの展望 日米の視点から~(メディカルコーチング研究会 共催/株式会社 コーチ・エィ 後援)
…………………………………………………………………………………

コーチ・エィが後援する日本コーチ協会による「第14回年次大会」が6月23日(土)開催されます。
今年は、「医療におけるコーチングの展望」をテーマに、ウェルネス・コーチングに力を入れる、米国ハーバード大学 医学生教育部長の エリザベス・フレイツ准教授をお招きする他 日本国内で最先端のメディカルコーチングの実践・研究をされている方々にご講演頂きます。

●国内外の院内マネジメントに活用するコーチング事例
●臨床現場における対患者コーチング事例
●コーチングの研究設計など、メディカルコーチングの最先端に触れられる機会となります。ぜひご参加ください。また、お知り合いの方にもご案内ください。

■日時: 2012年6月23日(土)12:30~18:00
■場所: 日本橋三井ホール      
東京都中央区日本橋室町2-2-1 COREDO室町 5F
■講演者:ハーバード大学 医学生教育部長 准教授 Elizabeth Pegg Frates氏、
東北大学大学院医工学研究科リハビリテーション医工学教授 出江 紳一氏、東海大学医学部血液・腫瘍内科学室教授 安藤 潔氏
三番町ごきげんクリニック院長 澤登雅一 氏

■参加費:日本コーチ協会 会員   10,000円日本コーチ協会 非会員 18,000円
▼詳細・お申込みはこちらhttp://www.coach.or.jp/2012/

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