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専門家Q&A

膀胱留置カテーテルの管理について

ご質問

私はADL低下、長期臥床患者の多い病棟で働いており、長期間(2週間以上)閉鎖式膀胱留置カテーテルを挿入している患者が多いです。
尿閉や重度の褥瘡など抜去できない患者で、尿漏れを起こした場合固定水の量を確認し、減少している場合増加するのですがどのように対処するのが適切ですか?
また、カテーテル交換時膀胱洗浄は必要か、交換頻度を教えてください。

専門家の見解

早速ですが、ご質問に対する回答です。
質問者さんのご施設では尿道留置カテーテルを挿入されている患者さんが多いようですね。

1.バルンカフの対処について
カフの水は一定期間で減少しますので、カフとして機能性維持から規定されている量を
維持するのが必要です。ただし、カフと尿漏れの関係を正しく認識する必要があります。
★カフは膀胱内の「栓」ではありません。あくまで膀胱内から抜けないようにするための「固定」
として理解しておく必要があります。また、尿漏れの原因には、カフの水が抜けること以外にも
尿道括約筋が緩むなどが原因であることもあり、こちらはカフを膨らましても解決はできません。
膀胱の無抑制収縮がカテーテルによる粘膜刺激や尿路感染によるものであれば、それぞれ
消炎鎮痛薬・抗コリン薬を必要とする場合もあります。
→漏れるからカテーテルを太いものに変更しても原因がことなるとかえって逆効果になる危険
もあります。
尿漏れの予防は、適切な太さのカテーテルを用いる、親水性コーティングのカテーテルを用いる、
バルーン先端部の短いカテーテルを用いるなど刺激を低減する目的やランニングチューブの
屈曲・閉塞をなくすなども確認しましょう。

2.カテーテル交換時の膀胱洗浄と頻度について
いわゆる科学的根拠という面では、ルーチンに洗浄を行う必要はなく、閉塞などカテーテルの機能
性から必要時に行うのが妥当でしょう。
(以下はカテーテルの交換頻度という理解で回答します)
また頻度ですが、よく引用される米国CDCのガイドラインでは定期交換は不要と記載されています。
最終的には施設ごとにルールを決めて運用するのが大切ですが、感染防止以外にカテーテルの
機能性を維持した期間も考慮が必要となります。
米国において、30日以上も留置を継続するケースはガイドラインでも想定されていないと思われ、
カテーテルの耐久性も加味すべきと考えます。さらに、閉鎖式か開放式か(質問者さんは閉鎖式で
すが)で細菌尿になるまでの期間も異なることが報告されています。
期間に根拠を見出すことはおそらくできないと思いますので、以上を勘案した上で、ルールを作成
してはいかがでしょうか(当院は3週間以上留置の場合は、抜去を検討の上、継続が必要なら再挿入
しています)。

最後に、尿道留置カテーテルの適応をもう一度見直すことも強調したいと思います。
そのカテーテルは、だれのためのカテーテルか?医療上必要な根拠は?を考えると抜去可能な
方も(結構)出てきます。カテーテルの適応についてもガイドラインを確認し、正しい使用に留めることで
尿道留置カテーテルに関連した尿路感染を減らすことが期待できます。

【尿道留置カテーテルの適応】
以下に該当しなければ抜去できる可能性があります!
★尿道損傷などで治療目的である
★尿閉又は神経因性膀胱がある
★精密な尿量測定が必要である
★褥瘡・皮膚障害があり、失禁による汚染や悪化が考えられる
★終末期であり、排泄介助が安楽を妨げている

こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
職務に生かす場合は職場の上長や患者の主治医に必ず相談し許可を取ってから実践するようお願いいたします。
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