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看護研究の進め方

廣町佐智子先生の看護研究の進め方㉒ 論文の作成

投稿日:2012.10.24

研究計画書は、研究論文の前半部分に相当し、もう書き上がってしまっている部分です。

そこでここでは、後半部分の書き方について解説したいと思います。
Ⅰ.研究方法の記述

 研究方法は、研究計画段階では、まだ「計画」でしかありませんでしたが、研究が終わった今は、もう過去のことになっています。

そこで、「研究計画」を実際にどのように行ったのか過去形で書き直します。

Ⅱ.結果の記述

 まず一次集計で出した結果をここで紹介し、次に二次集計で出した結果を紹介します。
1 対象者の基本的属性と、データの概要の紹介
 一次集計で得た、対象者の数や、平均年齢、男女比、疾患名、検査時の治療内容などを紹介します。
 次に、メインとなるデータの単純集計結果(詳細は「データの分析;量的分析2」を参照)を記述します。
 図表を挿入し、図表を簡単に解説するといいでしょう。

2 研究目的に沿ったデータ分析結果の紹介 
 二次集計結果を紹介します。ここでも図表を効果的に用います。その上で注意すべきなのが、すべての結果を図表で表現しないことです。必要な図表を精選する必要があります。文章で簡単に説明できてしまうものは図表を起こす必要はありません。

 図表の解説ですが、図表のそばに解説の文章が来るようにします。そして、すべてを片っ端から解説するのではなく、「ここに注目して欲しい」というポイントに絞って簡潔に解説します。

検定結果や、有意確率の表示などもきちんと行いましょう。

Ⅲ.考察の記述

1 結果の解釈
 結果が研究者の予測していた通りになったかどうか。またどうしてそのような結果が出たと考えられるか,自分の考え・関連する他の研究結果を参考にしながら記述します。
 
そのときに注意が必要なのは以下の4点です。

 ・推測の推測でどんどん話を膨らませて考察しない。
 ・過度の一般化はしない(安易な断言はしない)。
 ・結果で記述していないことを考察で触れない。
 ・他者の意見と自分の意見を明確に区別する。

2 結果が看護にもたらす貢献度

 研究の結果、「乳房切除患者は術前にA,B,Cという負担があった」という結果が得られたとします。

その場合、単に「A,B,Cの負担を軽減していきたい」ではなく、あくまで看護実践としての具体的なレベルで何を援助していきたいかを記述します。抽象的なままにしないことが大切です。


3 結果から生じた問題点や今後の課題
 自分の行った研究方法の限界や課題について必ず触れます。

Ⅳ.結論の記述 研究のまとめの部分です。以下のような展開で記述します。大体4~5行程度です。
今回で看護研究に関する連載は終了となります。少しは皆さんのお役に立てたでしょうか。
たぶん、読んだだけではピンとこない部分も多いと思います。そうです、 研究はやりながら学んでいく面も大きいのです。
勇気をもってぜひ研究にチャレンジしてみて下さい。
応援しています。

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