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”触れる”を通して看護の原点を見つめ直す

「タクティールケア」第三回 足のタクティールケアが生んだ緩和ケア効果

第三回 足のタクティールケアが生んだ緩和ケア効果

企画・監修
木本 明恵 先生

株式会社アポロ・サンズHD看護部部長、
シルヴィアホーム認定インストラクター、看護師、
元日本赤十字看護大学認知症看護認定看護師 教育課程非常勤講師

近年、在宅医療の推進を図る日本で緩和ケアは重要視されています。緩和ケアとは、ただ薬を使用して痛みを緩和させることだけではありません。今回は足を中心に行ったタクティールケアが生んだ緩和ケア効果の実践例をご紹介していきます。 薬や医学的治療だけに頼らずタクティールケアで看護の原点を見つめ直し、心から寄り添えるケアを実践してみませんか?

タクティールケアとフットケアの違い

 フットケアと足のタクティールケアは異なります。フットケアは足病変の治療または救肢を目的としたものです。足のタクティールケアは、心地よさをもたらす緩和ケアであると同時に、むくみやだるさの軽減、冷え性の改善や拘縮予防などにも効果を発揮するケアです。フットケアという大きな領域の中にあるケアとしてみていただければわかりやすいと思います。

足のタクティールケアが生んだ信頼関係

事例
Aさん 女性 がん終末期
ADL:C1 ほぼ全介助
両下肢に重度のリンパ浮腫あり
 私が「手のちから」を実感した症例をご紹介させていただきます。 私はAさんの主治医の紹介でタクティールケアを行う機会を頂き、Aさんの希望で初回は足のタクティールケアを行いました。

 Aさんの足には、重度の浮腫があり心地よさを感じていただくことができるのだろうかと不安になるほどでした。 私の両手でも包み込むことができないほど浮腫んだ足に幾度も繰り返し触れました。すべてのケアが終わるとAさんは「気持ちよかった」と笑顔で一言。そして、翌朝の医師の回診で「先生、触って、私の足まだこんなに温かい。足が温かくて足の感覚が残っている」とうれしそうに話されていたと主治医より伺い、はじめの不安が喜びと安堵に変わりました。
 それからも、何度かAさんの足のタクティールケアをさせて頂きました。ある日、いつものようにAさんのもとへ向かうと「「今日は足に触れられるのは嫌だわ」と言いながら、 迷っている様子がありました。 そこで私は手へのケアを提案し行い始めると、いつもはすぐに眠りはじめるAさんですがこの日は目を開けて何か考えているような表情をしています。「どうかされましたか」と尋ねると、「触れている箇所は手なのに、いつものように足も温かく、気持ちよくなっている」と驚かれた様子でお話されました。

 タクティールケアは触れている部位だけではなく、 全身に心地よさが伝わり、それがよい結果をもたらします。 Aさんは心地よさと足の温かさを感じることができました。そして、その結果が私への信頼に繋がったのではないかと思います。
 私はタクティールケアをさせていただく際には、「穏やかなひと時を過ごして下さいね」と願いながら行います。 穏やかなひと時は、全人的痛みを和らげる可能性があります。 看護師の「看護」は「手と目で大切にまもる」という意味があると思います。患者と目線を合わせ、手の温もりが伝わるよう手や足、あるいは背中をゆっくりと丁寧に触れることで患者を大切に護っていることを伝えます。
 医療現場では、多くの業務に追われ、触れる時間すらないのかもしれません。しかし、触れることを大切にすることで信頼関係が増し、治療がよりスムーズに進む可能性性もあります。皆さんも「手のちから」を看護に活かしませんか。
タクティールケアについて詳しく知りたい方へ
株式会社日本スウェーデン福祉研究所(JSCI)

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