1. ホーム
  2. コラム
  3. 『ケアに活かせる栄養療法の豆知識』第23回 健康維持に欠かせないビタミン① ビタミンD
ナースマガジン vol.35

『ケアに活かせる栄養療法の豆知識』第23回 健康維持に欠かせないビタミン① ビタミンD

西山順博先生に訊きました『ケアに活かせる栄養療法の豆知識』第23回

健康維持に欠かせないビタミン① ビタミンD

今回取り上げるのはビタミンD。ビタミンDは骨や歯の成長に関与、骨粗鬆症とも関係します。

ビタミンDの働きや食品に含まれる量を把握し、バランスよく摂りましょう。
 脂溶性ビタミンの1種で、植物由来のものはエルゴカルシフェロール、動物由来のものはコレカルシフェロールと言われます。紫外線の照射によって、エルゴカルシフェロールは植物に存在するエルゴステロールから生成され、コレカルシフェロールは動物に存在する7-デヒドロコレステロール (7-DHC) から生成されます。

ビタミンDのはたらき

 カルシウムやリンなどのミネラルの代謝や恒常性の維持、骨の代謝に関係しており、不足すると子供ではくる病、成人では骨粗鬆症などが起こります。

 現在流行している新型コロナウイルス感染症とビタミンD血中濃度の研究がおこなわれています。これまで新型コロナウイルス感染症とビタミンDとの関係を調べた論文の約 8割で、ビタミンD不足が新型コロナウイルスの感染・重症化に関連していると結論づけています。また論文では、ビタミンDが不足している人では感染リスクが約1 . 5倍、軽症以上の入院リスクが1.8~2倍、重症化するリスクが2~2.6倍高まると報告され、ビタミンDの免疫系に対する効果を調べた研究から、ビタミンDには免疫系のウイルス反応性を高め、新型コロナウイルス感染症の重症化に関わるサイトカインストームを減少させるのではと考察しています。
①食品由来のビタミンDは、体内に吸収されるとカイロミクロンに取り込まれ、リンパ管を経て最終的には肝臓、腎臓で同様に代謝される。

②小腸や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進する。

③甲状腺から分泌される ペプチド ホ ル モ ン の カルシトニンと副甲状腺ホルモン (PTH) により、血液中のカルシウムやリン酸の恒常性を維持する。

④小腸で吸収されたカルシウムとリンは、骨にカルシウムを運び、骨への沈着も助けている。

⑤体内にあるカルシウムとビタミンDとホルモンが協働し、余分なカルシウムを骨に貯えたり、体外に排出する。逆に、血中カルシウム濃度が低くなると、骨からカルシウムを血液中に送り出し、濃度を一定にしてくれる。
 ナースマガジンVol.35ではここまでだったのですが、ナースの星では新型コロナウイルスとビタミンDとの関係を詳しく説明していきます。

新型コロナに対する免疫力を高める「ビタミンD」

 ビタミンのなかでも新型コロナ感染症に対する免疫力を高めるという観点において、注目されているのが「ビタミンD」。ビタミンDはカルシウムを骨に取り込むのを助け、骨粗鬆症などにも関わるので骨の健康に欠かせない栄養素と知られております。また、膵臓に作用し、インスリンの分泌を促進する働きがあることから糖尿病の予防に欠かせないので、がんやうつ病の発症にも関係しているとも言われています。さらに、ビタミンDは呼吸器疾患に対して抵抗力を高める作用があるほか、免疫力を強化し、ウイルスへの抵抗力を強めることがわかってきたのです。そして最新の研究により、新型コロナウイルスに対しても同様の効果が確認されています。

 新型コロナウイルスの感染患者にビタミンDを投与したところ、重症化する人が著しく減るという驚くべき結果がスペインから報告されました。新型コロナウイルスに対するビタミンDの治療効果を調べるために、50人の感染者にビタミンD代謝物(カルシフェジオール)を投与したところ、ICUへの入院を必要としたのは1人(2%)だけで、死亡した患者は1人もおらず、すべての患者が合併症もなく退院しています。一方、投与しなかった26人の患者では、13人(50%)がICUへの入院を必要として、2人が死亡し、残りの11人は退院しています。

運動習慣見直し、ビタミンDを活性化させよう

 食事から十分量のビタミンDを摂取するのは難しい場合は、サプリメントの服用も有効です。1日のサプリメントによるビタミンDの摂取目安は、10~25μgとされています。ただし、コロナ対策として科学者が推奨している摂取量は、1日100μgです。

 ビタミンDは日光浴によって皮膚でつくりだすこともできる栄養素です。夏であれば日焼け止めなしで日中に5分から10分、冬なら関東では20分から30分、北海道では1時間以上の日光浴が推奨されています。ただし、ガラス越しや日焼け止めを塗った場合は効果がなくなりますのでご注意ください。またこの目安の時間の2~3倍以上の紫外線を浴びてしまうと、シミやしわができやすくなり、発がんリスクが高まりますので、日焼け止めクリームを利用したり帽子を活用したりしましょう。

 食事やサプリメントによる摂取と併せ、生活習慣に適度な日光浴を取り込むようにしましょう。現在、不要不急の外出があまり推奨されない環境もあるかと思いますが、単独・家族との散歩やウォーキングの習慣を取り込むことで、太陽の光を十分に浴びながら、エネルギーを消費することもできるでしょう。

 昨年の11月中旬頃より、新型コロナの感染が急拡大した原因の一部は、冬場の紫外線減少や外出機会が少なくなったことによるビタミンD不足によるものかもしれません。
 ビタミンDはカルシウムとともに摂取することが重要です。サプリメントもありますが、まずは食品で上手に摂取しましょう。また生活習慣に適度な日光浴を取り込むようにしましょう。

このコンテンツをご覧いただくにはログインが必要です。

会員登録(無料)がお済みでない方は、新規会員登録をお願いします。



他の方が見ているコラム