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感染管理認定看護師が教える現場のノウハウ連載第2回

感染管理認定看護師が教える現場のノウハウ連載第2回

投稿日:2013.08.19

手袋から考える医療安全

 ~手袋着用のシーンとその理由~

看護臨床の現場で欠かせない手袋は、患者さんと医療従事者の安全に不可欠の役割を担っています。病棟の現場での手袋の使われ方、また着用がもたらす効果についてお二人に話をしていただきました。
瀬尾 病棟業務のなかで手袋を使われるのはどんな場面ですか?

塚田 基本的に血液や体液に触れるときですね。たとえば吸引や、排泄物を扱うときには手袋を着用します。また採血やドレーンを抜く際にも今は手袋を着けて行います。

瀬尾 手袋の素材としては、プラスチックやニトリル、ラテックス、ポリエチレンなど大きく分けて4種類程度ありますが、現場ではどのような使い分けをされていますか?

塚田 まずは着用する側である医療者本人にゴムアレルギーの有無を確認して、それがあればラテックス素材を避けてプラスチックやニトリルにします。また素材の選択で気をつけるのは強度ですね。
手袋へのテンションがかかる処置の場合は強度を重視して切れにくい素材、つまりゴム手袋やニトリル製を使うことが多くなります。

ただ最近では、ゴム手袋を長期に使うことでアレルギーを引き起こしてしまう医療従事者が増えているとも指摘され、ニトリルを推奨している病院が増えているようです。
反面、採血など手袋にあまり圧がかからない処置ではプラスチック手袋を多用しますね。

使用率を上げるための具体的な取り組み

瀬尾 処置の中のどのようなタイミングで手袋を換えていくのですか?

塚田 基本的には1つの手技ごとに換えていきます。手袋を外して手指衛生剤をかけたあと、次の手袋に換えて。
たとえばおむつ交換をして、次に吸入というときに交換するといった具合です。
患者さんは同じでも、保有する菌は体内の部位によって異なりますから、その伝播を遮断することが目的です。
また接触感染の患者さんの場合は多剤耐性菌による感染症の可能性があるので、常に手袋を着用することを奨励しています。
血圧測定や検温の際にも手袋やエプロン、ガウンを着用する。
ノロウィルスなどは環境に付着して伝播していきますから、たとえ患者さんに触れなくても手袋を着用することを対策として行っています。
その意味でも、手袋を着用するシーンやニーズは非常に増えていると思います。
瀬尾 手袋着用の重要性が広く認識されるようになってきたということですね。

塚田 着用すべき場面は米国のガイドラインで早くから示されていたのですが、日本でもようやく浸透してきたと思いますね。
最近では、手袋の出荷量を患者さんの数で割って使用率を算出し、それを比較検討する病院も出てきています。
各病棟で目標値を設けて細かく現場指導している施設もあると聞きますし、実際に手袋の使用率が上がっていくと、感染の伝播が確実に減っていく例は多いようですね。

「感染管理」から「感染予防」重視へ

瀬尾 病院側の取り組みへの意識も変わってきた面があるのでしょうか。

塚田 感染から患者や医療従事者を守るという目的のほかに、病院側の動機付けとして、コスト面での意識の変化も大きいと思いますね。
手袋購入への予算配分をためらって院内感染を起こしてしまうほうが、結果的に莫大なコストがかかります。
感染症のアウトブレイク等の問題がおこると病院に他者による疫学調査が入ることやアウトブレイクの終息をさせるために病院閉鎖をすることもある為、何か月も病院で手術ができない、また入院が応需できなくなるなどで多大な損失を被った話も聞きます。

それを考えると、手袋にコストをかけるなんて何でもないでしょう。
つまり、感染予防的な費用にどう積極的に目を向けられるかが大切で、以前の感染管理から、今は感染予防を重視する考え方に変化しています。
そのために欠かせないのが手袋の着用ですから、その意識をしっかりもつことが大切ですね。

瀬尾 そのあたり、メーカーとしても意識を強くもちながら、訴えかけていかないといけない部分ですね。 私たちももっと勉強していかないといけない。

塚田 看護師自身もまだまだ意識が低いという部分がありますね。教育も十分ではりません。
たとえば各病棟に、手指衛生や手袋の着脱のプロフェッショナルを配置するなどして、他のスタッフを教育してい ける体制を作ることも必要でしょう。
病棟全体の意識を高めていくことで、使用率ももっと上げていけると思います。


瀬尾 弊社もメーカーとして、多くの病院様に手袋の使用率を上げてもらうために、様々な情報を提供することでお役に立てれ ばと思っています。
今日はどうもありがとうございました。

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