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ナースマガジン vol.34

訪問看護ステーションレポート 看護師のICT活用

近年幅広い分野で機体されているICT(※Information and Communication Technology:情報通信技術)。

訪問看護の分野でICTを活用することによってどのようなメリットがあるのでしょうか?

今回はICTを積極的に活用し、プログレッシブな看護を展開している訪問看護ステーションリンク所長 小沢崇さんにお話しをお伺いしました。(2020年11月10日オンライン取材)

※ICT:通信技術を使ったコミュニケーションのこと
株式会社Spinner
訪問看護ステーションリンク
所長 小沢崇 さん

訪問看護ステーションの立上げとICT

 私が大学病院で勤務していた頃、最後は自宅で過ごしたいと希望されても、タイミングを逸して退院でいずに亡くなっていく方を多く看取ってきました。最後の希望を叶えられなかった無力感を感じ、医師や看護師が自宅での療養生活について十分に理解しているのか疑問を抱き、自分自身もわかっていないことに気づきました。そこで、自分自身が地域のフィールドに出て、どんな方でも自宅で過ごせるような支援をしたいと思い、訪問看護ステーションリンクを立上げました。起業以前より、病院での紙カルテの経験から、ICTを活用して訪問看護ステーションを運営していこうと考えました。

訪問看護ステーションにおけるICT活用

 当事業所では、電子カルテでの情報管理の他にクラウド型のビジネスチャットやストレージを利用しています。クラウド型のため、導入時の初期費用や継続的にかかる費用に関しても大きな負担には感じていません。利便性や効率性を考えるとメリットの方が大きいと思っています。

 クラウドストレージを利用することで、訪問先であっても必要な情報にアクセスできるため、より適切なアセスメントに繋げることができると考えています。また、チャットの利用により、リアルタイムで他の看護師と利用者の方の情報を共有できるため、アセスメントに迷った際は仲間と相談しながら看護を行えます。病院と異なり、一人で利用者宅へ出向く訪問看護ですが、ICTの活用により「離れていても仲間が隣にいる」環境を創り出すことができ、看護師の不安軽減に繋がるのではないでしょうか。

 ICTを取り入れる時に念頭に置くべきことは、チャットやWEBミーティングなど、ICTの大元(例:グーグル)やインターネット回線そのものに不具合が生じてしまうと、場合によっては使用できないことがあります。以前、事業所の光ファイバー回線が損傷したことでインターネットが使用できなくなることがありましたが、その時はモバイル回線につないだことで難を逃れたということがありました。このようなデメリットもありますが、それを上回るメリットがあると考えています。

地域ネットワークを支えるICT

 今興味があるのは、ウェアラブルクラウドカメラです。撮影した映像を遠隔からリアルタイムで確認できるもので、会話もできます。複数人での訪問が難しくなっている今、新卒や慣れない看護師の訪問時に使うことで利用者の方や看護師の安心感に繋がりますし、クラウド上に記録された映像を見返すことでケアの振り返りが行えるというメリットもあります。もちろんプライバシーに配慮する必要がありますが、可能性を秘めていると期待しています。

 ICTの活用が進み地域ネットワークが構築されることで、事業所間でもより密な連携に繋がり、きめ細やかなケアがチームで行えるのではないかと考えています。

 マンパワー不足をICTでカバーできれば、利用者の方へのケアを充実させ、本来の看護業務により力を注ぐことができるのではないかと期待しています。

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