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ナースマガジン vol.34

達人に訊く!オストメイトの遠出と入浴ここがポイント!

投稿日:2021.02.05

オストメイトの心配事で多いのが遠出と入浴。漏れへの対応や装具交換は、遠出してもできるかな? 家での入浴になれたら銭湯や温泉にも行ける ? 悩めるオストメイトを支援し続けているストーマ看護の達人にお訊きしました。

備えがあれば遠出も安心
「備え」といってもオストメイトになったばかりだと、想像のつかないことだらけだと思います。次の3つの備えを心掛け、忘れ物なく出かけられるようアドバイスをしましょう。
①装具をはじめ必要物品を使いやすい状態にして持ち歩く
装具はすぐ交換できるように事前に切っておくと良いでしょう。
②どこでも交換できるよう日ごろから物品の準備や練習をしておく
洗い流す設備がない場合は、ウエットティッシュや拭きとるだけで洗浄・保湿ができるクリームなども準備しておきます。
③目的地周辺のトイレ情報を把握する
装具交換しやすい、できるだけ広い障害者用のトイレやオストメイト用トイレ、ベビーベッドのあるトイレなど、店舗情報やオストメイトのためのアプリを使うと簡単に調べられます。(日本オストミー協会のHPに掲載)
 装具に関して体重の変化があった場合は腹壁も変化しているため、装具そのものを変更することも多々あります。装具にも平らなものから凸があるもの、凸の高さにも違いがあるので保護剤を使うこともあります。

 これらは随時新しい商品が出ているので情報を蓄えて、その時の患者の創部にあった装具を選択してあげましょう。

使用のポイント・特徴

剥離剤
▶基本シャワーをかけながら装具を外すと良いが、がん患者で化学療法を行っている患者や皮膚が脆弱な患者は使用した方が良い。
▶粘着が強い装具は剥離時の機械的刺激で皮膚障害をおこすことがある。面板剥離時に、皮膚と装具の間になじませるように使用する。
▶使用時には本人・家族に使用方法を必ず説明する。
剥離剤・被膜剤 共通
▶ワイプタイプ、スプレータイプ、スティックタイプ、ボトルタイプがあり、それぞれ使用方法が異なるため特長を理解して使用する。
例えば:逆さまにしても出やすく使いやすいスプレータイプなど。
被膜剤
▶皮膚に塗布すると短時間で乾き、排泄物の付着や粘着テープの粘着剤から膜を作り保護する。剥がす時の皮膚刺激を軽減したり、排液による皮膚障害も予防。
▶発赤やびらんができている状態では使用できない。
漏れを防いで入浴を楽しもう
 入浴時に漏れるのではないかなど、入浴時の漏れに対する、オストメイトの不安は多いです。皮膚の清潔保持や血液循環を促し、心身ともにリラックスできる入浴を楽しめるよう、個々の心配事に合わせた細やかなアドバイスを心がけましょう。無理だと思って行動しなければいつまでもそのまま。やってみることでイメージが変わったり、注意するべきところが明確になるので、本人の気持ちを見計らって「大丈夫」と後押ししてあげることが大切です。

 ストーマを造る方は2~3週間、早ければ10日くらいと退院も早いので、当院では入院中にシャワー浴の指導をしています。シャワーや入浴の時間のタイミングとして、食前または食後2時間は避けた方が好ましいでしょう。

指導のポイント

装具交換前のシャワー
▶装具を交換する前提なので、装具は外しても装着したままでも、そのままシャワーを浴びても良いが、途中で便が出てくる可能性があるのでキャッチできるものを用意しておく。全身を洗った最後にストーマ周囲を洗い、創部をきれいな状態にして交換する。
シャワーのみ
▶装具に注意しながら全身を洗う。装具の端がはがれても再び密着することなどを説明し、安心感を与える。
※面板が皮膚から剥がれないようにやさしく洗う指導をする
自宅での入浴
▶入浴の順番は、装具の交換がなければ1番風呂でも問題ない。
▶後に入浴する人がいる場合は、マナーとして装具をつけた方が望ましい。
冬場であれば、「寒いので湯に浸かった方が良いですよ」と伝えると良いかもしれません。
銭湯・温泉での入浴
▶必ず装具を装着して入浴するよう伝える。
▶もし装具の面板がはがれそうであれば防水性のあるサージカルテープを装具の面板の周囲に貼っておいて入浴後交換する。
▶脱臭フィルターのストーマ袋を使用している場合は、同封のフィルターシールを貼ってお湯が入らないようにする(装具によってフィルターがない場合もあるので事前に確認する)。
▶銭湯や温泉施設がオストメイトへの対応が可能か事前に確認するよう本人・家族に伝える。
▶周囲の目が気になる時はタオル(湯船にタオルはつけない)や入浴シートで創部を隠す。あるいは、ストーマ側が壁などで見えづらい
位置を選ぶ。
▶ストーマ袋の浮きが気になる時は、洗濯ばさみや輪ゴム、テープで袋をまとめるとよい。
▶ストーマ袋が目立つと気になる方はミニパウチの使用を勧める。
引用文献
1)ナーシング・プロフェッション・シリーズ ストーマケアの実践
  編著:松原康美 発行所:医歯薬出版株式会社 2007年
2)アルメディアWEB これで解決! 医療者のためのストーマケア・ナーシング 日常生活指導のポイント
https://www.almediaweb.jp/stomacare/medical/contents/point/

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