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専門家Q&A

じょくそうのケアについて

ご質問

一時期在宅で実施していたラップ療法は、現在はまだ主流でしょうか?
病院でじょくそうの患者に対してガーゼとユーパスタを使用していますが、ユーパスタはあまり有効でないと聞いたこともあります。手術するまでいかない患者でじょくそうの出来ている患者に対して効果的で主流となっているケアはなんですか?

専門家の見解

サランラップ等を利用して創部に湿潤環境を保つという、いわゆるラップ療法は、安価で材料が手に入りやすいなどの理由で、現在でも在宅で行われることの多い方法です。ただし、湿潤の程度をコントロールすることが難しく、感染のリスクが高まるというデメリットもあるため、特に深い褥瘡では注意が必要です。
 褥瘡の局所管理の基本は、まず第一に、創部の洗浄(水道水や生理食塩水)をすること、第二に、治癒過程に応じた創傷被覆材または外用薬を正しく使用することです。
 tomomiさんの病院で使われているユーパスタは、ポピドンヨード・シュガー製剤で制菌作用があるため、感染創または感染のリスクが高い時期に適した軟膏です。壊死組織が残存していたり、浸出液が多い場合にも用いられます。逆に、感染がなく浸出液も少ない創に漫然と使用していると、治りにくくなる場合があります。また、ガーゼは創面に固着しやすいので、できればポリウレタンフィルム材を併用して、創部が乾きすぎないようにするとよいでしょう。最近では固着しにくい吸収パッド(製品名:デルマエイド、メロリン、モイスキンパッド等)をガーゼの代わりに使う施設も増えてきています。
 そして感染のない創部では、今では創傷被覆材(閉鎖性ドレッシング材)を用いた治療が主流といえるでしょう。創部の深さや浸出液に応じた種類を選ぶことがポイントです。
創面は湿潤環境、創周囲の皮膚はさらっとしている状況が理想的なのですが、この環境を最も整えてくれるのがドレッシング材なのです。
創部のアセスメントは難しい・・と感じることも多いかもしれません。それでも、一人ひとりの患者さんの褥瘡を丁寧にケアしながら、創部を看る目を養っていきたいものですね。

<おすすめ参考文献>
1)「褥瘡予防・管理ガイドライン」日本褥瘡学会 編,照林社,2009.
2)『特集:褥瘡ケア~創の見方と適切なドレッシング材 』ナース専科2010.6月号
(回答者の共同執筆です)

こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
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