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専門家Q&A

褥瘡患者の対処方法について

ご質問

はじめて質問させていだきます。
大転子に褥瘡のある患者さんが転院してきました。その方は転院前の病院で、褥瘡治療のためにヨードホルムガーゼを使用したことによりヨード中毒になり、ヨード系の軟膏が使えない状態です。創の状態としては、ポケットが深く、一部腱が見えています。また、黄色壊死もみられており滲出液も増えてきています。入院時にはオルセノンを試してみたのですが、余計滲出液が増え、臭いもきつくなってしまったので、中止しました。ゲーベンは先輩ナースより腱に悪影響ではとの意見があり使用していません。
今は、いかに感染させないかというところに重点をおき、生食洗浄後、生食ガーゼとモイスキンパッドを使用した処置を1日2回行っています。
小さい病院なので、使用できる薬剤が限られていることもあり、中々いいケアができず困っています。
是非、処置の方法や薬剤などについてアドバイスをいただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

専門家の見解

大転子の褥瘡は、深くなりやすく、腱や骨が露出しやすいのでケアに難渋します。
ご質問の中にあるように、今の状態では、感染・炎症の制御を目標にケアをしていくことが重要です。
まず、必要なことは壊死組織の除去です。全身状態を評価し、外科的なデブリードマンが可能であれば速やかに除去していくことが必要です。もし、不可能であれば創の洗浄をしっかりと行ってください。創を十分洗浄することは感染制御のうえで重要なため、現在のケアを継続していかれると良いと思います。
薬剤の選択としては、褥瘡予防・管理ガイドラインでは、浸出液が多い時期にスルファジアジン銀(ゲーベンクリーム)を使用すると創面に浮腫を起こす場合があるので注意が必要となっています。感染制御としてエビデンスレベルⅥ・推奨度C1(行うことを考慮しても良いが十分な根拠がない)で硫酸フラジオマイシン・トリプシン(フランセチン・T・パウダー)の使用が可能とされています。私自身は使用した経験がないので、使用に際する留意点などは医師や薬剤師にご確認下さい。
ドレッシング材としては、推奨度C1(行うことを考慮しても良いが十分な根拠がない)で銀含有ハイドロファイバー(アクアセルAg)があげられています。
日本褥瘡学会よりでている「褥瘡予防・管理ガイドライン」に、貴院の薬剤、材料のなかで使用可能なものがでていると思います。どうぞご参考になさってみて下さい。
そのほか、除圧寝具の使用やポジショニング、栄養状態の管理も創の治癒に大きな影響を与えるのでみなさんのよりよいケアで、患者様が一日でも早く治癒されるよう祈念いたします。

専門家の見解

滲出液が多い褥瘡の場合や壊死組織が残存する場合は、ブロメライン軟膏は有効です。イソジンシュガーは感染創で滲出液が多い場合に有効です。感染の有無は不明ですが、薬剤選択としてはガイドラインに沿った選択の様に思います。
ただ、壊死を繰り返す場合には組織の虚血が起きている可能性がありますので体位変換やポジショニング時の体圧について評価を行ってみてはいかがでしょうか。虚血を起こす理由としては組織の圧迫やズレなどで血流が低下、もしくは虚血となり細胞の壊死へと至ります。(全身状態が悪く血圧が低い場合にも同様です)褥瘡の部位が不明ですが、体圧分散寝具や体位変換を行っていても局所の圧が除去できずにいる場合やズレが生じている場合もあります。簡易的に体圧を測る機械がありますので、自施設でもっていれば一度褥瘡部位の体圧を体位ごとに測定してみると問題点・改善点が出てくるかもしれません。簡易的な測定器がない場合でも褥瘡部位に自分の手(看護者の手)をあてたまま体位変換や保持を行うと、きちんと除圧できているか、ズレがないかを確認することができます。またエアーマットの底付きの可能性もありますので、エアーマットの下に手を入れ(上敷きタイプの場合はエアーマットと標準マットの間)褥瘡部位が底付きしていないか確認してみてください。そして、除圧が不十分な場合には完全側臥位やズレ防止のポジショニングなどで除圧・ズレ対策をとっていくとよいでしょう。

薬剤の使用に関してはガイドラインがありますので添付します。
このケースの場合には、N(壊死組織)とE(浸出液の量)に着目して薬剤を選択することが重要です。

慢性期の深い褥瘡(D)に対するDESIGNに準拠した局所治療および消毒、洗浄の選択
引用:(http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0036/1/0036_G0000181_0003.html)

こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
職務に生かす場合は職場の上長や患者の主治医に必ず相談し許可を取ってから実践するようお願いいたします。
専門家Q&Aを通じて得た知識を職務に活かす場合、患者のの心身の状態が悪化した場合でも、当社は一切責任を負いません。
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