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専門家Q&A

白湯と栄養剤投与の空ける時間

ご質問

PEGの半固形栄養ですが、白湯注入後30分空けて栄養剤を注入しています。しかし、30分空けなくても10分でもいいと聞いたことがあるんですが、実際はどうなんでしょうか?

専門家の見解

半固形栄養剤と通常の液体の経腸栄養剤では、当然注入速度や水分投与の仕方が異なります。液体なら、水分投与後30分で栄養剤開始が良いと思いますが、半固形なら、むしろもっと時間を離して(栄養剤の投与時間が短いのでお腹のあいている時間がもっとあると思います)追加水のみ食間投与というのが個人的にはお勧めです。
 ただ、看護師さんの作業上、白湯と栄養剤は朝は朝、昼は昼、夕は夕で投与したいということであれば、胃の中の水分がほぼない状態から投与を開始しないと水分の上に栄養剤が追加されることで胃のボリュームがオーバーして、嘔吐・逆流の原因になってしまいます。
 当院では、胃の内容量をエコーを用いて計測していた時期があります。胃酸の量の個人差がものすごく激しいので一概には言えませんが、水分摂取後完全に胃から無くなるのには少なくても15-20分かかります。これがOS-1だと、5-10分位では排出されていたのですが、白湯ですからふつう水道水ですよね?
 投与されている患者さんの消化吸収能力、胃の容量、1回に投与する半固形栄養剤の量及び追加水の量など種々の条件の検討した上で、10分あけで半固形栄養剤投与を安全にできるのは本当にごくごく一部の症例です。経腸栄養投与は、生理的で安全な投与法と言われていますが、方法によっては誤嚥性肺炎などの合併症を誘発する危険もあります。少なくても現在の方法を続けていただいた方が、より安全に投与できると思います。

Thanks.

ありがとうございました。患者さん個々によって胃容量などが違うので、エコーを用いるのもい一つの手ですね。参考になりました。

専門家の見解

患者さんによっては追加水もとろみをつけておられる方がいらっしゃいますが、質問されている施設はいかがでしょうか?
また、固形化は施設で薬剤のものを使い作られているのでしょうか?それとも固形化製剤を使われているのでしょうか?
もし固形化製剤を使われているのであれば、水分込のものを採用されればよいのではないでしょうか?

我々は追加水はほとんどの場合とろみをつけずにボーラス投与としています。
200㏄程度なら問題ないと考えています。ただすぐに固形化栄養を入れると、栄養剤の固形化の意味がないように思い、
追加水注入時にガナトンやガスモチンを投与し、30分はおいています。
200㏄以上になる方は、カームソリッドやF2ライトなどの水込の半固形化商品を検討します。


患者さんの数にもよりますが、我々の施設では、こんな方法も行っています(味の素の資材PEG CARE LETTER No2より)。
《メディエフプッシュケアにてイージークイック》
私の関わる長期療養型医療施設では、PEG患者さんを8人管理しています。夜間看護師が常務しない施設であり、夕方の注入時間が長引くことで看護師の残業がのびてしまうことが問題になっていましたが、メディエフRプッシュケアRの導入で解決しました。
注入は2名の看護師で行います。まず、A看護師が患者さんに声かけしながら体位(半座位)を整えていきます(約30分)。B看護師が薬と追加水を準備し、少し遅れて体位の整った患者さんから追加水をボーラス投与していきます(約40分)。すべての患者さんの体位を整えたA看護師が最初の患者さんにもどり、メディエフプッシュケアをボーラス投与していきます(約60分)。B看護師がメディエフプッシュケア投与後30分以上たっていることを確認しながら、体位を元に戻していきます(約40分)。
これにより、看護師の業務も流れよく進んでいき、準備するものも少なく、洗浄するものも少なく好評です。なによりも、患者さんの半座位の時間(食事時間)もほぼ100分程度になりますので、患者さんにもやさしいと考えています。
メディエフプッシュケアは水分量が少なく、追加水が200㏄以上になる方もいらっしゃいますが、この方法であれば最終的には看護業務も短縮でき、患者さんの半座位保持時間の短縮になります。

あくまでも、ケースバイケースですので患者さんの状態を配慮しながら行ってください。
経験論ばかりで、エビデンスを提示できていません。

Thanks.

ありがとうございました。 当施設では、白湯にはとろみをつけていません。固形化はとろみ粉を使用しています。 半固形の製品はコスト面から考えると難しいと思います。

専門家の見解

半固形化で有名な香川大学の合田先生は白湯の前注入であれば30分以上空けるようにおっしゃっています。
水が胃の中に多量に溜まっている状態で半固形化栄養剤を短時間で注入することは望ましくない。
胃内にに投与した300-500mLの水が30分で十二指腸に排泄されるためということです。
ただし、半固形化栄養剤の投与で胃の蠕動が亢進するので、量が多くなければ前注入ではなく、あと注入で問題ないとおっしゃっていました。
;合田文則、胃瘻からの半固形短時間摂取法ガイドブック、医歯薬出版、2006、P38-40、P50

クローバーホスピタルでは、症例によって変えています。
半固形化導入直後は栄養剤投与後に増粘剤でとろみをつけた水を注入していました。
しかし、とろみをつけた水が人工胃酸内で粘度がなくなってしまうという報告を見て、前注入に変えました。
;三鬼 達人、細いチューブでも検討できる半固形化栄養法 (最新ケアがまるごとわかる! アドバンスド・ナーシング)、エキスパートナース 25(9), 32-37, 2009-07、照林社

また、その頃は液体の経腸栄養剤でも栄養剤への混注→注入後の足し湯→前注入へと変更する途中でした。
その時に30分待って栄養剤を注入という部分にはこだわらず指導し、今もそうですが、
全体的に逆流や誤嚥による発熱や肺炎が減りました。

胃・食道逆流が厳しい症例では、半固形化+注入時から注入後1時間の30°~45°頭高位とし
以前は水先注入にしていましたが、業務上30分以上空けるのが難しいということで
食間投与(栄養は6時、11時、17時、水は9時、15時、20時)にしてはという
看護師からの提案があり、食間投与とする症例が増えています。

「30分空けなくても10分でもいい」症例もあると思いますし、西山先生がお書きになっていたように
ケースバイケースであり、それがいわゆるテーラーメード医療ですね。
チームで患者さん個々に合わせた栄養管理を行うというNSTの原点につながります。 

こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
職務に生かす場合は職場の上長や患者の主治医に必ず相談し許可を取ってから実践するようお願いいたします。
専門家Q&Aを通じて得た知識を職務に活かす場合、患者のの心身の状態が悪化した場合でも、当社は一切責任を負いません。
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