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専門家Q&A

注入中のギャッギアップ

ご質問

HIEの3歳児。
pegよりミルク注入中。
体位は30度ギャッギアップでと以前研修でおっしゃっていましたが、それ以上、それ以下の場合の危険因子臥何か・・・と注入時間の目安はありますか?うちの小児科では逆流るから45度で二時間注入しています。なた小児に酢ロックは必要ですか?

専門家の見解

注入の体位についてのご質問ですが、胃食道逆流のリスクが少ない30度以上が望ましいとされています。

褥瘡予防のため、お尻が滑りにくい30度が望ましく、45度程度になる場合は仙骨一点に圧がかかりにくくなるような配慮が必要です。

ご自分で動ける患者さんや寝返りの打てる方はもちろん座位(90度)での注入も問題なく、角度が上がるほど胃食道逆流のリスクが少ないといえます。

また、30度にはもう一つ理由があり、誤嚥しにくい角度ということもあります。

注入により唾液は増加します。これを飲み込もうとしたときに、一番むせの少ない角度は30度、可能であれば首も後屈するのではなく、顎を引き枕などで30度程度の前屈が望ましいとされています。

この際に、45度・60度となっていくと、唾液誤嚥のリスクをUPします。

我々の施設では、胃ろう造設1週間後に、胃ろうからの造影により、ベットの角度と身体の向きをより胃食道逆流しない患者さん各々の体位を設定します。

また、嚥下造影で首の角度や唾液誤嚥の可能性を検討し、注入体位を考えるようにしています。

ベットを45度・60度に設定しないと胃食道逆流がおこる方、唾液誤嚥があり30度の方ががよい方については、注入体位は30度とし(誤嚥予防を優先)、注入する栄養剤を固形化をにします。

残念ながら、我々の施設では、乳幼児の患者さんはごく少数であり、3歳という方の経験はありません。

ただ、小児の患者さんの多くは、側彎などの変形をきたされていることが多いことが多い印象であり、必ず胃ろう造影を行いその方にあった体位・注入食の形態を検討するようにしています。

PEG-Jにて小腸への投与を行う方も少なくありません。

ご質問に戻りますが、小児おいては唾液の流出がなければ、45度での注入は妥当であると考えますが、注入中に熱が出たり誤嚥を疑うことがあれば唾液誤嚥を考え、また、酢ロックはチューブ型バンパー型のカテーテル(チューブ)汚染に有効です。

患者さんのためにというよりもカテーテル汚染で困る方(大人でも子供でも)に対しては初期からの酢ロックをお勧めしています。

注入時間についてですが、一般的には200ml/時が一般的です。ただ、いきなり200ml/時に持っていくと下痢や嘔吐を起こされる方もあり、徐々に調整していきます。

小児の場合は高齢者に比べ消化管機能が保たれている方も多く、嘔吐さえ注意すれば成人より速く滴下しても問題ない方が多い印象です。

注入体位についても注入時間についても、45度2時間という設定は悪くないですが、様子を見ながら、個々に対応していただいた方がよいと思われます。

こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
職務に生かす場合は職場の上長や患者の主治医に必ず相談し許可を取ってから実践するようお願いいたします。
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