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専門家Q&A

皮膚保護剤の使い分けについて

ご質問

私の病棟ではゲーベンクリーム、ブロメラインを使用しています。
皮膚がどのような状態の時にこれらの皮膚保護剤を使い分けるかわかりません。
どうやって使い分けたらいいか教えていただきたいと思いますのでよろしくおねがいします。
ちなみに、ほとんどが寝たきり状態で経管栄養の方たちです。

専門家の見解

今、褥瘡がどの時期にあるのか、その時期にあった外用剤が使われていることが基本です。 その上で、施設でよくつかわれる軟膏の特徴を知りましょう
まずゲーベンクリームですが、これは薬効成分スルファシアジン銀を1%含有する乳剤性基材の軟膏です。抗菌作用があり、クリーム状で水分含有量が高いので、浸出液の少ない創の感染制御を目的に使われます。また、創面に補水的に働くので、黒色壊死組織や浸出液の少ない黄色壊死組織を軟らかくする作用もあります。なお浸出液の多い創に使用すると、湿潤過剰になり感染を増悪させるリスクがあるので注意が必要です。周囲皮膚の浸軟も起こしやすいので、スキンケアにも留意しましょう。
ブロメラインは、主成分が蛋白分解酵素のマクロゴール(水溶性基材)軟膏です。酵素の薬効作用により、壊死組織を分解して除去する効果があります。酵素の影響で周囲の健常皮膚に刺激痛や紅斑・びらんを起こすことがあるので、保護として撥水性クリームやワセリンなどを周囲に塗布してから使用することをお勧めします。抗菌作用はないので感染創には不向きです。

ところで、軟膏や創傷被覆材は種類が多くて、創の状態にあっているのか判断が難しいと感じる方が多いようです。
基本的な考え方として、まずは深い褥瘡の治癒過程を理解しておくことが大切です。発症⇒炎症期(壊死組織のある時期)⇒増殖期(肉芽が増殖し、表皮が形成される時期)⇒治癒、と向かいます。
今、褥瘡がどの時期にあるのか、その時期にあった外用剤が使われていることが基本です。
その上で、施設でよくつかわれる軟膏の特徴を知りましょう。ゲーベンクリームは抗菌剤で浸出液の少ない創に向いている、ブロメラインは壊死組織を除去したいときに使えるが感染には弱い、というように覚えておくと良いですね。
もっとよく知りたい!ということでしたら、参考書として昨年出版された「在宅褥瘡予防・治療ガイドブック」(昭林社)をお勧めします。日本褥瘡学会のガイドラインに準拠した内容で、基本をわかりやすく解説しています。在宅に限らず、褥瘡の基礎を学びたい方はぜひ参考になさってください。

こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
職務に生かす場合は職場の上長や患者の主治医に必ず相談し許可を取ってから実践するようお願いいたします。
専門家Q&Aを通じて得た知識を職務に活かす場合、患者のの心身の状態が悪化した場合でも、当社は一切責任を負いません。
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