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専門家Q&A

PEG 下痢の患者の対処法について

ご質問

経腸栄養開始直後より下痢が発生し、栄養剤の変更、注入速度を遅くする、整腸剤・止痢剤(GFOも使用)投与しても改善ないため、エレンタール注入しても改善しませんでした。
下痢が続く患者さんは、どのような対処法がありますか?
胃ろうからのENは中止し、TPNに変更するべきですか?

専門家の見解

TPNや絶食の期間が長かった方は、エレンタール(成分栄養剤)であっても急速に注入すると下痢になることはあり、50ml/時間でゆっくり始めることはありますが、白湯やGFOでも下痢をされるということは、注入する経腸栄養材の種類で下痢をされているのではないようですね!

下痢の原因として、感染症(細菌感染、薬剤起因性大腸炎(偽膜性大腸炎))等を一番に考えます。偽膜性大腸炎であれば、
また、下痢になる薬剤が投与されていないか? 甲状腺機能亢進症などの下痢を伴う病態はないのかの検索が必要です。

以前、胃に入っていると思っていた胃瘻が横行結腸に入っていたという報告を見たこともあります。胃ろう造影も一度ご検討ください。

難渋されて時間がかかっているのであれば、栄養学的に脂質等も足りていない状況です。まずは、TPNにて栄養管理をしっかりとしながら、原因検索してください!
原因が不明な場合でも腸に原因がなければせっかくであれば胃ろうは使いたいところです。流動食開始時は白湯とGFOでも下痢されるようであれば、まずはOS-1(浸透圧が実に考えられており下痢にならないようになっています)とGFOを50ml/時間から、ゆっくり開始し、エレンタールへ移行し、半固形状栄養流動食へ徐々に切り替えていければよいのですが・・・。

私の第3回のコラムでも下痢を取り上げていますので、ご覧下さい。
http://www.nurse-star.jp/colum/detail/37

専門家の見解

西山先生が回答されているので、コメント控えようかと思いましたが、、、
老婆心ながら…GFOで下痢をする症例も散見するので、私もOS-1かグルタミンFからの投与をお勧めしたいです。

専門家の見解

西山先生、高崎先生のご回答に少し追加させてください。
私もGFOでかえって下痢をする症例が多いという印象を持っています。
グルタミンFのほうが使いやすいです。
http://www.ai-do.jp/product/bedside-gF.html
あるいは、マーズレンSが1g中にL-グルタミンを0.99g含有しているので
長期間消化管を使用していない症例に経管栄養を始める前に
消化管の環境を整える目的で常用量(1.5-2g/日)を超えて4-6gを
整腸剤と併用して投与しています。

胃切除術後の残胃にPEGを留置しているということはないでしょうか。
その場合は、25mL/時間程度の低速度から開始する必要があり、
2-3日毎に速くして、最高でも150mL/時間が推奨されています。

アルブミン値が2g/dLを切っているような場合には消化管の浮腫から下痢をしやすくなっています。
超音波検査かCTで消化管の浮腫の状態を確認することも判断に役立ちます。
浮腫が強い場合には、やっぱりしばらくTPNでの管理が必要ですね。
CDトキシンは調べていらっしゃると思いますが、
しつこい下痢の場合には便の培養や便の虫卵検査を確認する必要もあります。

NSTの手伝いに行っている急性期病院では、経鼻経管栄養に大してですが、
エレンタールを0.5kcal/mLに調整して胃内50mL/時間、
幽門後25mL/時間で開始し漸増して効果的です。
キューピーのKLECも消化吸収機能が落ちている症例に有効なことが多く、
私が勤務している慢性期病院ではこれで解決することがほとんどです。

PPIが下痢の原因となることもあり、投与薬剤の見直しも重要です。
薬剤師さんに確認すると良いと思います。

メーカーの資料ですが、便性状の評価と下痢の原因検索のためのフローチャートを提示します。


また、追加情報なのですが、一般的に入院中の下痢に対しては便培養は行わず、CDトキシンの検査のみで対応しますが、
難治性の場合や強い炎症を伴って便潜血反応が陽性になるような場合には細菌検査が有効な場合もあります。

私も多発直腸潰瘍に緑膿菌感染(通常の便で見られる複数の菌の一部ではなくほとんど純粋培養)で、
抗菌剤の経験投与で改善した例を経験しました。

参考までに、感染症治療の下痢の項目で見つけた資料を添付します。

少し前に見つけたものなので、すみませんが出典は忘れました。

こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
職務に生かす場合は職場の上長や患者の主治医に必ず相談し許可を取ってから実践するようお願いいたします。
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