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専門家Q&A

中心静脈ラインとその周囲皮膚の清潔方法について

ご質問

鎖骨下等からの中心静脈ラインの刺入部は、週1回消毒後、半透過性フィルムを新しいものへ交換しています。しかし、患者さんは刺入部を含む周囲皮膚のかゆみを訴えたり、かゆみが原因と思われる自己抜去をする方もいます。清浄剤などで周囲皮膚を清拭したりして対応していますが、刺入部は消毒だけで皮脂などの汚れは取り除けているのでしょうか?水とせっけんで洗ったほうが皮膚常在菌を減らし、かゆみはもちろん、刺入部からの感染リスクを軽減させることができるのではと思い、院内のICTに聞いたのですが、「水イコール細菌の増殖だから、水をつけるのはダメ」とのことでした。確かにCDCガイドラインの日本語訳を見ると、水に浸してはいけないと書いてあります。浸すとは、一定時間水に沈めるという意味で、シャワーのように水で洗い流すこととは違うのではないかと思うのですが・・。一過性に流れる水に細菌が繁殖するとは思えず、納得がいきません。エビデンスがないと言われればそれまでですが、ここ3~4年くらいずっとこの点について疑問を感じています。どうか専門家の皆様のアドバイスをよろしくお願いいたします。

専門家の見解

CVC挿入部のケアは確かに、個々の皮膚状態によって管理方法を変更すべきことがありますが、洗浄のみでは不十分であると考えます。
石鹸+流水での洗浄も「消毒剤がその患者さんにとって有害でその他の代替法がない場合」には選択肢になるかもしれません。
院内にWOCの認定看護師がいるようでしたらご相談するのもありかと思います。
ただし、消毒をしていない皮膚ですので、カテーテル刺入部とのその周囲は常に皮膚常在菌が存在しており、感染リスクは高いものと考えるべきです。石鹸洗浄の場合の頻度も適切な根拠となる論文は見当たりません。

当院では、皮膚トラブル(発赤や掻痒感など)がある場合には、皮膚保護剤を積極的に使用し、皮膚トラブルが起こらないように注意しています。また、消毒剤も変更します。その際、トラブルの要因がその患者さんにとって何かを考えるようにしています。フィルムなのか、テープなのか、消毒剤なのかによって対応は異なります。それでも解決が困難な際には石鹸洗浄も考慮すべきかもしれません。

われわれ医療従事者の手には様々な病原体が付着している可能性がありますので、いずれの方法であっても手袋装着前の手指衛生、ドレッシング除去後に手袋を外して手指衛生が必要であることは共通しています。

こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
職務に生かす場合は職場の上長や患者の主治医に必ず相談し許可を取ってから実践するようお願いいたします。
専門家Q&Aを通じて得た知識を職務に活かす場合、患者のの心身の状態が悪化した場合でも、当社は一切責任を負いません。
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