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看護研究の進め方

廣町佐智子先生の看護研究の進め方⑫ データ収集:観察法①  

投稿日:2012.08.02

第12回:データ収集:観察法①

 対象者の行動(目に見える動作、発言、態度・表情・姿勢など)を観察・記録する方法を観察法といいます。

「看護は観察から始まる」と言われるくらい、観察から得られる情報は膨大です。

ぜひ研究に取り入れていきたいものです。ここでは、観察法の利点と弱点を開設します。

Ⅰ.観察法の利点と弱点
1)利点
1対象者の「自然な」行動や反応を調べるのに適している。
2対象者に与える負担が少ない。
3言語能力が未発達な乳幼児や、障害のある対象者などにも活用できる。

2)弱点
1観察内容の解釈に、観察者の先入観や気分・体調、その場の雰囲気などが影響しやすい。
2対象者の自然な行動や反応が起こるまで待たなければならない。
3対象者のプライベートな行動までは観察できない(倫理的に問題がある)。
弱点の①は、観察者の観察が「色眼鏡」で曇りやすいことを示しています。これは、観察法の最大の欠点で、この「色眼鏡」をできるだけ無色にしていくかが重要なポイントになります。

Ⅱ.観察法の種類

 次に観察法には、対象者との関わり方によって参加観察法と非参加観察法というのがあり、どんなデータを収集したいかによって使い分けています。


1)参加観察法(看護師としての役割を果たしながら観察する方法。)

1利点:対象の行動だけでなく、行動に伴う細やかな表情やニュアンスも観察できる。行動の背景にある文脈などもリアルに情報収集できる。
2弱点:看護師である観察者の存在が対象者に影響を及ぼす。反対に看護師である観察者が対象者から影響を受けるため、観察が「色眼鏡」によって曇りやすくなる。

2)非参加観察法(ビデオカメラなどを利用して、対象者が観察されていることを意識させないように注意しながら、対象者の普段どおりの行動を観察する方法。)

1利点:対象者の普段どおりの行動を観察できる。
2弱点:対象者のプライバシーを侵害する危険性がある。また、患者の急変時や看護援助が優先される場面では倫理的に問題である。

今回は、観察法の概要を学習しました。次回はいよいよ観察法の実際です。

◆看護研究の進め方◆

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