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ナースマガジン vol.38

ナース編集者が行ってみました‼原因がはっきりしない不調は改善する?

投稿日:2022.04.11

看護師は生活リズムが不調で、気が張りつめる場面の多い職業です。

検査値は正常でも心と体の不調に悩まされている人も多いのではないでしょうか。

東京女子医科大学付属東洋医学研究所の鍼灸師、蛯子慶三先生に不定愁訴に対する鍼治療の実際について伺いました。
蛯子慶三先生
蛯子慶三(えびこけいぞう)先生
東京女子医科大学付属
東洋医学研究所 鍼灸師

東洋医学では、心と体は一体(心身一如)と考える

体のだるさ、疲れがとれない、感情が不安定になるといった不調のサインが出ても、やり過ごしていませんか。西洋医学的に原因が不明確で、愁訴が多彩な困りごとは東洋医学的な考えが得意とする分野です。

東京医学の「臓腑経絡論」では、経絡中を流れる「気血」と呼ばれるエネルギーが滞りなくめぐっている状態を健康、どこかでこの流れが滞るとさまざまな不調が生じると考えます。治療にあたっては、自覚症状がとても大切な情報になるので、初診時に問診票(同施設HPに掲載)を持参。そこから得られる情報を問題解決の糸口にします。

たとえば、一見すると関連性がないような「筋肉のけいれん」「怒りやすい」「気分が落ち込む」「頭痛、のぼせ」「ひざ痛」「目の疲れ」「季助部痛」「背中がこる」といった不調は、「肝の病」から生じるものと考え、刺激する経穴(ツボ)を選択(図節1)。ツボへの鍼灸刺激でエネルギーの巡りを整えることで辛い症状が緩和されます。

西洋医学の肝臓病とは異なるもので、心と体の密接な関係を捉えていて興味深いです。

memo

東洋医学研究所鍼灸施設より
●初心患者2,345名(2014年4月~2019年3月)の主訴は、肩こりや腰痛などの運動器系の症状が1,019名。末梢性顔面神経麻痺、睡眠障害、挙児希望、冷え、倦怠感も目立つ。
●女性の割合が多く、患者の平均年齢は50歳第。

5回の施術をして効果測定

多くの看護師が従事する西洋医学と東洋医学は考え方も治療法も異なりますが、最近の鍼灸治療は「東西折衷の考え方」が一般的です。「東洋医学的な考え方」と「西洋医学的な考え方」を融合させ(図説2)、鍼の刺激が多くなり過ぎないように気をつけながら鍼灸治療を進めていくそうです。

鍼灸の作用機序は西洋医学的にもかなり説明ができるようになってきました。効き方は人によってさまざまなので、週1回~2週に1回の頻度で5回の施術をして効果判定をします。状況によっては漢方診療と併用したり、地域の鍼灸院と連携したりすることも。

「適切な治療の選択肢を示すことも鍼灸師の役割と考え、連携構築に力を入れています。各地で地域連携の輪が広がることを願っています」。

過度な緊張や疲れに気づいていない人が増えている

また、蛯子先生は「情報過多でストレス度の高いことに慣れてしまい、痛みや不調に気づいていない人もいます」と指摘。

患者さんの体に触れるとツボに圧痛反応があっても、必ずしも自覚しているとは限らないようです。鍼を浅く刺して10分程度そのまま置く治療で副交感神経働きが高まり、過度な緊張を抱えていたことにハッとする人もいるよう。

「気になる症状がなくても健康管理のために2週間から1ヵ月に1回の頻度で鍼灸治療を受けるのもおすすめです。さまざまな流派があるので、自分に合った鍼灸院を見つけてください」。

鍼灸院選びのポイントは

①ていねいに話を聞いてくれる
②「鍼灸安全対策ガイドライン2020」に則り衛生面や安全面に配慮している
③学会や職能団体に所属して研鑽を積んでいる

と教えてくれました。

心身のエネルギーを補うには食事と睡眠が基本。
補ったエネルギーを全身に巡らせる効果があるのが運動です。
感情のコントロールに役立つツボも教わったのでセルフケアも大切に(図説3)
※さらに詳しい情報は、蛯子先生らの監修
やさしい東洋医学」をご覧ください

出版社 ‏ : ‎ ナツメ社
発売日 ‏ : ‎ 2016/7/12
単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 256ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4816359966
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4816359965
寸法 ‏ : ‎ 21 x 14.8 x 2.5 cm


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