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薬剤コラム第1回

薬剤コラム第1回 おさえておきたい服薬管理と薬剤師との連携ポイント

皆さんこんにちは。株式会社うさぎ薬局薬剤師の加治です。
6回にわたり看護師の皆さんがおさえておきたい服薬管理と薬剤師との連携ポイントをアドバイスさせていただきます。

今回は看護師の皆さんから質問の多い疾患認知症、特に『アルツハイマー型認知症』についてです。

2012年厚生労働省の調査では認知症の高齢者数(65歳以上)は約462万人と推計され、抗認知症薬の位置づけは非常に高いものであるといえます。

現在わが国で使用可能な抗認知症薬はコリンエステラーゼ阻害薬3種類(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)とNMDA受容体拮抗薬1種類(メマンチン)の4種類です。
この薬は症状の進行抑制のために処方される薬でありますが、投与開始はどのタイミングがいいのでしょうか?
早期に治療を開始した患者さんは全般的機能・認知機能の悪化が少ないという報告から見ても、アルツハイマー型認知症の診断がなされた時からすぐに開始するのがベストでしょう。
認知症の初期でも、アルツハイマー型認知症の病理過程はかなり進行していますので、海馬や全脳の萎縮の進行遅延効果のあるコリンエステラーゼ阻害薬の服用はとても重要です。

しかしどんなに効果がある薬でも服用を忘れたり、自己判断で中止してしまっては効果はありません。
看護師の皆さんは抗認知症薬の服用の意義を医師・薬剤師と連携し、共通の意識をもって患者さんにアプローチをして欲しいと思います。
また抗認知症薬は風邪薬などと違い、目にみえて効果が現れないため非常に服薬中止率が高い薬でもあります。
ドネペジルを例にすると1年間の服薬継続率は約47.3%といわれ、私達薬剤師の中でも非常に頭の痛い問題です。

最近では自己中止等への対策としてさまざま手段が取られるようになってきていますが、私の薬局では図1を利用し、服薬中止で症状進行することによる将来の介護度への影響を家族に説明しています。
是非この表は外来・病棟等でも積極的に使用して、本人・家族がしっかりと納得した上で服用を続ける手助けをするようなアプローチをしてください。

~図1~
ここまではいかに服用を継続してもらうかを中心にお話しさせていただきましたが、最後に抗認知症薬を止める時期についても説明させていただきます。

抗認知症薬は前述したとおり、症状の進行抑制をすることによって生活の質をより良い方向に維持するものなので、生活の質が改善する可能性が低い状態の場合は中止を検討します。
しかし、実際は服薬の中止は家族からの提案であることがほとんどです。
この理由は経済的な問題、薬の効果への疑問などさまざまでありますが、副作用による中止以外は2〜3週間中止し様子を見てから、症状が悪化した場合はまた再投与も可能ですよと選択肢を増やしておくことも将来的な服薬コンプライアンスの向上につながりますので、是非ご家族が悩んでいるようなら一言アドバイスをしてあげてください。

次回は抗認知症薬の使い分け、独居患者や認知介護のケースでの服薬指導等について解説いたします。

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