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口腔ケア

口腔ケア 歯が無くても食事はできる?!

先日、60代の男性患者さんが来院されました。
主訴は「入れ歯を作りたい。」この方の口腔状況は非常に悪く、12本の歯が残根で、3本の歯には被せ物が入っていますが、今にも抜けそうなくらいグラグラしていました。
患者さんの要望は「今の歯を抜かないで入れ歯を作りたい」または「インプラントができないか」でした。

この方の口腔内では、全部抜歯しないことには、入れ歯もインプラントも何も治療はできません。
しかし、患者さんは、私の説明を受け入れようとはせず、一方的に要望を話してきます。
私が「食事は出来ますか?」と聞いても、「食べることに不自由はしてない」と言い切ります。

また、別の高齢者の方の話です。75歳男性です。
半年前に検診希望で来院され、毎月1回、クリーニングで来院されています。
この方の口腔内は、上顎は総義歯、下顎は部分義歯をいれていますが、上の義歯はゆるく、下の義歯は口を閉じるだけではずれてきます。この入れ歯は、もう十年以上も前に作ったそうです。
この間に病気をして、65キロの体重が45キロまで落ち、今は60キロまでに回復したとのことです。
このように体重の急激な変化があれば、当然義歯もあわなくなるのですが、この患者さんは「何でも食べられるし、困らない」と言われています。


私の母、81歳の口腔内も恥ずかしながら、下は義歯を入れることが出来ない状態で、長い間上だけの義歯で食事をしています。
母は「歯が悪いから、堅いモノが食べられない」と言いますが、リンゴは薄く切る以外は何でも食べているように見えます。

このように、長い時間をかけて少しずつ歯を失っていくケースでは、患者さん自身が、自分がどのくらい噛めているかが解らず、飲み込んで食べていることに気が付かないのです。
また、歯が無い状態で、例え患者さんが「食べられる」と主張しても、その方の体には、必ずSOSのサインが出ています。

例えば・・・

●お茶やお味噌汁を飲む時に、むせていませんか?
→飲み込み機能の低下や誤嚥の可能性があります。

●硬いおかずを残していませんか
→歯の治療や入れ歯の調整が必要な可能性があります。


こんな口腔内の患者さんには、どんなものをどのように食べているか、また、全身疾患はどのような状況であるかをよくヒヤリングしください。

そして、歯科受診を促してください。

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