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Topic とろみボタン付き自動調理機

投稿日:2020.07.29


身体機能や嚥下機能が衰えても、最後まで口から食事をとりたい、自分で好みのものを選びたい、と誰もが思うのではないでしょうか。
今回開発された「とろみボタン付き自動調理機」は、とろみを必要とする方にも必要でない方にも、「最高の一杯」をお届けできる自動調理機。

株式会社アペックス開発室商品開発室長の石原豊史さんに、開発者の思いを伺いました。

(企画協力:株式会社アペックス/ニュートリー株式会社)

とろみ付けが必要になる社会がくる

全国規模での自動販売機・自動調理機とそのオペレーターという企業資産を持っている株式会社アペックスと、嚥下補助食品・栄養補助食品の開発・製造・販売を行っているニュートリー株式会社のとろみ材とのコラボレーションで、嚥下機能の低下した人でも好きなものを選んで飲める、とろみボタン付き自動調理機が開発されました。 「嚥下機能に問題のある人が増える時代が来ることは想定内ですから、これからは飲み物にとろみをつけられることが一般的になってもいいのではないかと考えています。まずはその意識付けを意図し、開発する上でご相談に乗っていただいた日本歯科大学口腔リ八ビリテーション多摩クリニックに設置させていただきました」と、石原さん。
従来のものを含め、カップ式は無人の喫茶店営業にあたるため、1台ずつ喫茶店営業の許可を保健所に申請すると聞いてびっくり!オペレーターが定期的にメンテナンスに回り、自動調理機の品質管理・衛生管理を行っているそうです。

介護現場のニーズを具現化したらこうなった

「高齢者問題に対しては企業がお金をかけて役立つものを開発し、社会貢献と同時にビジネスとして成立させるという構図を作らないと解決になりません」と石原さんは言います。
一方、ニュートリー株式会社は、医療・介護現場での深刻な人手不足を解決するため、とろみ作りに人的労力を必要としない方法を模索していました。
「高齢者介護は”してあげる”ではなく、本人が自分の力で何とかしていこうとするのをサポートする、最後まで尊厳をもって自分のカで生きていけるようにすることこそが、アシストー寄り添うことではないかと。大切なのは高齢者を社会から切り離さないことですから、自分でお金を入れて好きなものを選ぶという行為を尊重する介護を象徴する自動調理機になりたいですね」(石原さん)。

課題があると開発者は燃える!

自分で買いに行きたくなるためには“最高の一杯”と言ってもらえる「おいしさ」が欠かせません。この調理機では、コーヒー豆は石原さんたちが現地に出向いて厳選し、味を損なわないとろみとして、日本摂食嚥下リ八ビリテーション学会の「嚥下調整食分類2013(とろみ)早見表」に基づき、三段階のとろみに調整がしやすいとろみ材として、ニュートリー株式会社の「ソフティアS」を採用しています。
日本初の自動調理機によるとろみ付けに対し、嚥下機能・全身状態・認知レベルなどによる利用者の適用があるのでは、という意見もあると思います。
「研究は始まったばかり。2021年までに2万台の設置を目指しているので、試飲された看護師の皆さんの視点から、ぜひ、ご意見・ご要望をお聞かせ下さい」と、石原さんの開発に向けた思いが燃えています。
ところで皆さん、患者さんに院内では売っていないコーヒーを頼まれたことはありませんか?
外まで買いに出たり、たて替えたことを言い出しづらかったり、忙しくて断ると「私にはやってくれないの?」と詰め寄られたり。そんな問題もこの自動調理機で解消できるかも?
ちょっと意外なメリットですね。
(2018年11月20日取材)

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