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看護・医療しゃべり場

看護・医療しゃべり場③ 鶴巻温泉病院NST座談会

投稿日:2013.05.24

垣根のない風土が生み出す 円滑なチーム医療

総合リハビリテーション病院として、回復期リハビリや神経難病リハビリ、緩和ケアや高齢者医療に取り 組む鶴巻温泉病院。
全国でも有数の規模を誇るケアミックス病院である。昭和54年の開設以来、同院で力を入れてきたのが多職種間の積極的な連携。NSTの取り組みのベースともなっている同院の「チーム医療」の形について話をうかがった。
★ご参加いただいた方々(左から)

樋島学さん :薬剤科科長・薬剤師・NST 専門療法士
岩川彰子さん:看護部・回復期リハビリテーション病棟科長・
       脳卒中リハビリテーション看護認定看護師
萑部明美さん:リハビリテーション部・言語聴覚士・日本摂食・
       嚥下リハビリテーション学会認定士
今西剛史さん:診療部・副院長・医師
清水幸子さん:栄養サポート室室長・管理栄養士・臨床栄養師・
       日本摂食・嚥下リハビリテーション学会認定士
切石友恵さん:栄養科科長・管理栄養士・臨床栄養師・
       TNT-D 認定栄養士
髙﨑美幸さん:栄養サポート室・管理栄養士・臨床栄養師・
       NST 専門療法士・TNT-D 認定管理栄養士・
        在宅訪問管理栄養士
高木大輔さん:薬剤科・薬剤師・NST 専門療法士

職種を超えて患者のために話し合う

――NSTの活動について教えてください。
清水 メンバーは全部で22名。全員がJSPENなどの厚労省認定の学会研修を受けたスタッフです。当院では2006年から栄養カンファレンスを全病棟で行っています。
そこで院内の全患者を対象にした困難事例がNSTにあがってきます。
NSTの活動内容としては週1回NSTラウンド・症例検討を行います。
経管栄養の内容や食事形態の検討・見直しなどは、病棟に配置されている管理栄養士と主治医が担当していますので、網羅的に治療や薬剤のことなども含めた診療の中身に関する話をすることが多いです。

高崎 栄養判定を行い、栄養療法の方向性を明確に示すことや、薬剤に関する同様の視点など、栄養管理について病棟で完結してもらえるような包括的な具体策を示すことがNSTの役割だと認識しています。
逆にいえば、病棟で対処できない困難事例をNSTで診ることで在宅復帰支援に繋げることが役割ともいえますね。

今西 一人の医師の視点だけでは診療において行き詰まることもありますので、NSTの意見を聞くことで違った視点での見方ができるようにもなります。
診療の領域にもNSTには積極的に介入してもらうようにしています。
樋島 薬剤師の立場から見ても、NSTのメンバーの方は薬の知識が豊富で非常によく勉強しておられると思います。
私たちとしては、とくに嚥下の部分に関しての薬剤チェックは気を使います。嚥下に影響がないかという薬剤の確認など、処方提案も当然ありますが、どちらかというと管理のほうを多く行っています。

萑部 私たち言語聴覚士(以下、ST)は、困難症例も多いなかで、経口摂取が難しい方には積極的に関わることが難しいのですが、一方で経口が可能な方に積極関与していくという状況があります。
また、病棟のSTが対応できない困難症例について、経口を目指す方に対してのサポートも行っていますね。

――看護師としてのNSTへの関わり方はいかがですか?
岩川 具体的には口腔ケアやSTの訓練を病棟で一緒に行うなど、患者さんの「食べる準備」に力を入れていきます。体も心も「食べられる」方向に向かってもらうためのケアをすることが看護師の役割だと認識して関わっています。
当院では多職種で話し合うカンファレンスがたくさんありますので、職種という垣根を越えて患者さんのためになることを話し合える風土があるのがとてもいいと思います。

切磋琢磨の意識がチーム医療を育む

――垣根を低くする仕組み作りがあるのですか?
今西 当院ではさまざまな職種のスタッフが病棟にいて、日々顔を合わせながら仕事をしていることで垣根がそもそも生まれないのです。
常に誰かが病棟にいて毎日おのずとコミュニケーションがとれる形になっています。これは病院の創設以来の風土でもあり、他の病院ではなかなかないのではないかと思います。

切石 私が当院に来て驚いたのは、ナースステーションのことを「チームステーション」と呼ぶことでした。病棟に看護師以外の職種のスタッフがたくさんいるのでそう呼ぶのですが、まさにチーム医療を重視している表れだと感銘を受けました。

高木 私もNSTの事務局を担当させてもらう中で、最初は医師に細かいことを聞くのが気の引けたこともあったのですが、当院では他者の提案を聞いてくれる気風が医師や看護科長の方々にあって、足りていないことは逆にアドバイスしてくれる環境があります。
チーム医療の精神はそういうところにも表れているのだなと感じます。
今西 院長が常に病棟の現場に出ていつもチーム医療の大切さについて話されており、チームで行うことの重要性をスタッフ全員が共有し、自然な風土として根付いていることが大きいでしょう。
チーム医療を皆が身近なものとして理解している。特別な仕組みや手段があるわけではないと思います。
岩川 学生さんが見学に来ても、「これほどチーム医療が浸透した環境に初めて出会いました」と言ってくれますね。
入職時から多職種でグループワークを行うなどチームとしての研修を行いますから、看護師として学べる環境がしっかりあると感じるようです。
当院では、専門のチームが個別に取り組むのではなく、全員が考え、委員会のメンバーにも多職種から常に参加しています。そこで立場に関係なく思ったことを提案できる雰囲気があります。
いつでも顔が見えて話ができる状況の中で、各スタッフの専門性にプライドがあれば意見がぶつかることもあるし、また下の立場の者が上に意見や提案をすることもあります。そうした土壌があるのが当院のいいところですし、その中からいいものが生まれるのがチーム医療だと思いますね。
清水 チーム医療は協力体制のことだけを言うのではありません。各セクションが自らの役割を十二分に果たした上で、他者を助ける余裕や力があることが重要です。
決してなれあいではなく、切磋琢磨してお互いにスキルアップしていく意識がなければチーム医療は成り立ちません。
職種間で意見がもっと活発にぶつかっていいと思いますし、今後は各々の専門性の視点の中で、自分の意見をしっかりと言えるスタッフを育てていきたいと思います。
チーム医療はまず、自分たちの専門分野でしっかりと力をつけることが大事。自身の確かな知識や技術があってこそ他者を支えられる。
そうした意識の中でお互いを高めあっていくことが目指すべきチーム医療の姿だと思います。
住所 神奈川県秦野市鶴巻北1-16-1

TEL  0463(78)1311 診療科 内科、リハビリテーション科、神経内科、歯科

病床数 一般・療養591床
取材・構成 = メディバンクス

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