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ナースマガジン

これこそ褥瘡ケアの最前線! ポータブルエコーを活用した最新褥瘡ケアを学ぶ

投稿日:2013.08.22

(平成25年5月18日 メディバンクス株式会社主催 特別セミナーより)

看護師にとって褥瘡は日々直面する大きなテーマ。
そこで今注目されているのが、エコーを使って効果的な処置を実現する最新の褥瘡ケアのノウハウです。
本誌ナースマガジンでは、平成25年5月18日にポータブルエコーを活用した最新褥瘡ケアを学ぶためのセミナーを実施。
実際にエコーを使った実技など、褥瘡に対する看護臨床の最前線を紹介しました。

見えない褥瘡をエコーで診る早期予防と早期治癒が可能に

よく「看護師でもエコー(超音波診断装置)を扱うことができるのですか?」と聞かれることがありますが、看護師でも、医師の指示にてエコーを使用することが可能です。
また観察目的であれば医師の指示がなくてもエコーを使用することができます。
聴診器は以前医師だけが使用するものでしたが、今では看護師はもとより、誤嚥の確認目的で栄養士もラウンドを行っています。

エコーも同様に、看護師が観察目的として使っていくことが進んでいくと考えています。
そして、観察目的以上に読影までスキルを高めたいと考える人は、超音波検査士の資格が必要で、これは看護師・准看護師ともに受験資格があります。
ぜひ積極的に取得してほしいと思います。

エコーによる褥瘡ケアが現場の意識を向上させた

褥瘡ケアは日常生活を整えることが必要で、それができれば予防も治療も可能です。
そのためには多職種によるチーム医療が必要。つまり個々の知識と技術に加えて、現場での調整力が不可欠なのです。
エコーがそれを加速させると実感した症例がありました。

ある患者さんの例で、左の大転子の褥瘡で、発赤がありました。
仙骨部と右の大転子部に感染した褥瘡があり、左については発赤程度で軽い褥瘡と判断していたのですが、エコーによる所見を見ると、黒く円盤状に抜けている組織部を確認することができたんですね。
当初は皮膚表面の発赤だけという判断が、それだけではなく、骨の直上の筋肉組織のところに限局的に組織の破損があるのではないかということが分かったのです。
それによって、病棟の看護師が圧をかけるポジショニングを調整しながら褥瘡をケアすることが可能になり、2週間後にはエコー上の深部組織損傷所見が改善されていました。

つまりエコー所見のおかげで、褥瘡治療に対する現場の看護師の意識が高まり、即座に状態の改善につながったです。
現場の看護師を巻き込むための客観的な指標になる意味でも、エコーの活用は非常に意義のあることだと感じましたね。

褥瘡対策にエコーを使用するメリットとは

エコーの使用は、見えない褥瘡を見る、つまりDTI(深部組織損傷)などを診ることができる点が大きなメリットです。
エコーの得意な点は、皮膚表面よりもっと深い部分の組織損傷診ることができる点。表面上の発赤からさらに進んで、DTIを見つけることができるわけです。
またDTIとは、組織の深部から組織破壊が進んで行って、それが皮膚表面に表れてくるということでないかということが示され始めています。そうであれば、エコーの所見はいっそう大事になってきますね。
そしてポケットの有無や範囲、さらに、損傷の深達度もエコーによって見ることが可能です。また自分たちが行ったケアが良好に推移している状態をエコー画像によって確認できれば、ケアが正しかったと評価することができます。
看護師は「五感で観察する」という主観重視での病状把握の手法を教えられてきましたが、エコーは客観的なデータを示してくれますから、スタッフ間で患者さんの状態を共有しやすくなるというメリットがありますね。
見えない褥瘡をエコーによって見ることで、早期予防と早期治癒が可能になります。
医療者、患者さん、そして医療経済の側面も含めてオールウィンの関係が築けると思います。
※富田先生によるエコー実技指導から
エコーを上手に使いこなせるようになるためには、良き指導者のもとで技術を習うこと。その上で、「習うより慣れろ」が大事です。
慣れていけば、必ずだれでも上達しますので、まずは回数をこなしながら練習を積んでいくことが一番大事です。

その上で患者さんにトライしていくことをおすすめします。

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