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【何ぞやシリーズ6】「透析患者ケアの心構え」って何ぞや?

【何ぞやシリーズ6】「透析患者ケアの心構え」って何ぞや?

投稿日:2015.09.16

透析治療を受けていた患者さんが、肺炎や心不全で混合病棟に入院されることがあります。
透析が必要となったCKD(慢性腎臓病)の病態や合併症を理解して、安心・安楽なケアを提供するために知っておきたい、あんなコト・こんなコト。
透析室以外での透析患者ケアの心構えって何ぞや?
腎臓病というと、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症などが思い浮かぶだろ?

C K D は、透析導入前の保存期から末期の腎不全も含め、慢性的に腎障害が持続する病態すべてを含む疾患概念なんだ。

慢性腎不全に至っていなくても水分やナトリウムの排泄機能が低下すると、循環血液量が増加したり血圧調整機能が低下したりするから、高血圧になりやすい。
高血圧は心疾患や脳血管疾患の発症リスクを高めるから、その原因となるC K D は「新たな国民病」とも言われているんだ。
そこで、警鐘を鳴らすために自覚症状が乏しい初期の腎障害も含めて広くとらえるようになったのが、C K D というわけ。

症状が現れた時点では腎臓病は進行しているから、C K D を正しく理解して、患者さんが積極的に生活習慣の改善や治療に取り組めるよう、透析室のナースだけでなく、みんなでサポートしていこう。
透析室のナースからの伝言です。
「高齢者や糖尿病の人は、動脈硬化の進行や低栄養にも注意して下さい。
シャント肢の感染予防は、皮膚やシャントの清潔はもちろん、消毒液やテープによるかぶれも見落とさないで」って。
腎臓の負担を軽くするために水分制限が必要なのはわかるけど、のどが渇くってすごく辛いわよね。
治療に影響しない範囲で、「うがいをする」「氷のかけらを口に含む」という対応も透析室でやっていたわ。

それに、透析中で水分制限といっても、排尿のある人は同量の水分は摂っていいのよね。
ただし、水分って飲みものだけじゃなくて、ゼリーやおかゆなど食べ物に多く含まれていることもあるから、その水分量も忘れずに計算にいれないと。
室温・湿度の上昇や運動によっても汗をかくから、それを考慮しない水分制限で脱水を起こさないために注意も必要だぞ。
脱水はシャントを閉塞させることもあるからね。
高齢になると、自分で水分を制限してしまったり、のどの渇きを感じなくなったり、意思表示ができない人もいるから、唇や皮膚、腋の下が乾燥していないか、よく観察してほしい。
それから食事療法で減塩やリン・カリウム制限が守られていても、必要栄養量が満たされていなければ低栄養になってしまう。
栄養状態が悪いと感染を悪化させやすいし、新たな感染を引き起こすリスクも高くなるから、喫食量だけじゃなくて栄養の質のチェックも忘れずにね。    (つづく)
■監修:井本千秋
 透析看護認定看護師・透析療法指導看護師
(近江八幡市立総合医療センター 腎臓センター)

■参考:飯田喜俊・秋葉隆 編
 「透析療法パーフェクトガイド 第4 版」医歯薬出版

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