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訪問看護ステーション訪問レポート第6回

第6回 訪問看護ステーション訪問レポート 社会医療法人社団カレスサッポロ 訪問看護ステーション時計台

投稿日:2015.12.01

訪問看護ステーション時計台(札幌市)は、特定医療法人社団カレスサッポロの一事業所として開設され、今年で23 年目を迎えた施設です。
札幌の象徴である時計台の近くに位置し、緊急時の相談、訪問には24時間・365日体制で応じています。
今回は所長の亀田谷瑞穂さんにお話をうかがいました。

看護を必要とする方の受け皿として

現在、札幌市内には140あまりの訪問看護ステーション( 以下ステーション) がありますが、「訪問看護ステーション時計台」は北海道内で4番目に開設され、市内ほぼ全域を対象に活動しています。
その中心となっているのが、所長の亀田谷瑞穂さんです。

「スタッフは看護師が常勤6名、非常勤7名、出向セラピスト6名で、現在は2歳から99歳まで110名ほどの方に利用していただいています」

亀田谷さんは北海道訪問看護ステーション連絡協議会の役員も務めていて、ステーション同士の連携を密にするための活動にも力を入れています。

「道内には比較的小規模なステーションがたくさんあり、お互いに助け合っています。人手不足の地域があれば補ったり、利用者さんが引っ越すときは引き継ぎ先をあたったり。
また、主治医やケアマネジャーさんとも頻繁に連絡を取り合い、スタッフ同士で細かいところまで共有するなど、連携や協働を大事にしています」

法人内はもとより、地域とのつながりを大切にしており、連携医療機関は54ケ所(主治医80名)、連携居宅介護支援事業所は34ケ所(ケアマネジャー47名)にものぼり、その8〜9割が法人外の医療機関・事業所であることも当ステーションの特徴です。

高齢者だけでなく、障害をもった方や0才からの小児の利用者にも対応しています。
「重度の障がいをもったお子さんの受け皿は少ないのが現状です。最初は自分たちにできるか不安もあり、小児専門のステーションに協力してもらいました。今は重度の心身障がいをもつ利用者さんが、2歳から30代まで10名ほどいらっしゃいます。
特に小さなお子さんのご両親は付きっきりで頑張りがちなので、ご両親の休息に対する配慮も必要です。
最初は『5分だけでも外の空気を吸ってきて』と促します。飲み物を買いに行ってくるだけで、少し表情が明るくなります。そのうち、ご両親お二人での外食、お子さんのショートステイ利用など、段階を踏んで、休息の時間をとっていってくれたケースもありました。
重度の疾患があっても、訪問サービスや施設を使って、在宅で安心して療養できることを知ってほしいですね」

訪問看護の喜び、面白さ

長く関わる利用者さんが多いため、成長を見守る喜びもあるという亀田谷さん。

「出生時から脊髄性筋萎縮症で話すことも難しかったお子さんは、わずかに動く指先でパソコンを使って『痰を取って』と伝えられるようになりました。
入退院を繰り返していたお子さんが共同生活の中で体調の自己管理ができるようになったり、ひとり暮らしをするようになったり、通所施設で働けるようになったり。
そういった変化や成長を見るのは嬉しいですね」

ときには、なかなか心を開いてくれない利用者さんもいますが、亀田谷さんは気長に待ちます。
「自宅に伺っても、ドアを開けてもらえずに引き返すこともあります。それでも何度も足を運んで新聞受けの隙間から話しかけたりします。
ある日ドア越しに『お米がないんや』と言われたことがあります。
チャンスですよね(笑)。
お米を届けて、『また来てもいいですか』とだけ伝えて訪問につなげたことも。利用者さんとの関係づくりは難しくも面白くもありますね」

スタッフも安心して働けるように

亀田谷さんが大切にしているのは、看護師である前に人としての「ふつう」の感覚。

「価値観の多様化とは言っても、挨拶をする・思いやりを持って接する・約束を守る、といった基本的なことは、スタッフもみな実践してくれています。生活の場に入ってゆくので、受け入れてもらうための気 遣いが必要です」
今年6月、本部ビル内にシミュレーションセンターが開設され、 現場に出る前に技術のトレーニングができるようになりました。その上で、訪問先の引き継ぎを慎重に行っているそうです。
「手順を書面で確認し、同行見学から少しずつ実践に入ります。自信がつくまでは元の担当者がフォローしてから引き継ぐ仕組みにしています。
以前は完全に受け持ち制でしたが、担当を決めてしまうとスタッフ が休めません。そこで現在は、何名かの利用者さんを担当しつつ複数でカバーできる、チーム制と受け持ち制の間くらいで落ち着いています。
毎回違う担当者が訪問すると、最初は利用者さん側にも戸惑いや遠慮があったかもしれませんが、最近では『違った視点での話が聞けていい』 と肯定的に捉えてくれています」
スタッフが毎年増えている当ステーション。働きやすい環境づくりにも、亀田谷さんは注力しています。

「みんなが訪問先から戻ってきたとき、お互いに報告し合って不安を解消したり、明日のエネルギーを充電したりできるよう、風通しのよいステーションでありたいですね」

今後は地域包括ケアを担う一員として、すべての方が生きがいを持って地域で安心して暮らせるような「まちづくり」に、訪問看護の立場 から取り組んでいきたいと語ってくれました。

社団医療法人カレスサッポロ
訪問看護ステーション時計台
〜ほっと安心、笑顔のはじまり〜

〒060-0031
札幌市中央区北1条東1丁目2番5号
カレスサッポロビル4階
TEL 011-251-1011
http://www.tokeidaihosp.or.jp/station/ 


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