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口腔ケア

口腔ケア 1日1回 健「口」(けんこう)体操をしましょう!

私が定期的に通って仕事をしている仕事場でもあるM歯科には、歯科衛生士の患者担当制はありません。
難症例や性格の難しい患者さんには、毎回同じスタッフが担当することはありますが、基本は全スタッフで順番に全ての患者さんを診ています。

今年に入り、私はTさん(79歳)のクリーニングをする機会がありました。
彼女は、10年近くM歯科に通っている患者さんでした。
インプラント治療もされ、歯が無い部分はありません。定期的にメンテナンスに通われているのですが、私がお会いした時は、重度の認知症でした。

Tさんは施設に入所されており、彼女の娘さんが、月に1回クリーニングを受けさせるために当院に連れてきていました。
そのTさんの口腔内を初めて診たとき、「本当に、月1回のクリーニングをしている口腔?」と目を疑いました。
Tさんは口を大きく開ける事ができませんでしたし、ほんの数秒間しか口を開けていられません。最大に口を開けても、奥歯は見えないのです。
この状態で全ての歯をクリーニングするのは、患者さんも苦痛ですが、術者にとっても至難の業です。

そこでまず私がTさんに指導したことは、お口の体操です(健口体操※例 参照)。
Tさんは、舌を出して伸ばすことも出来ません。何回か練習しても、数分後にはその記憶もありません。
それでも舌の体操や、イ・ウの発音で水戸黄門の主題歌を私と一緒に歌うTさんは、笑顔で楽しそうでした。
この健口体操をクリーニング前に始めるようにして3回目の先日、Tさんにお口を開いて頂くと、なんと奥歯までしっかり見えるではありませんか!
さらに驚いたことに、口輪筋や舌筋を使うことにより、数分間お口を開いていられるようにまでなったのです!

私たちは、ついつい口の中の汚れをとることを目的に考えがちですが、Tさんのようなケースでは、楽しみながら良好な人間関係を築くことも大切です。
楽しく一緒に健口体操を続け、お口を鍛え、生きる意欲や食べる楽しみを引き出すための口腔ケアにつなげていきましょう。

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