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東北から発信!A-CNDnet 第6回

東北から発信!A-CNDnet⑥

投稿日:2020.03.25

6回 急性期病院から住み慣れた地域まで 途切れない認知症ケアを

当法人は、秋田県で唯一の全日本民医連(全日本民主医療機関連合会)の事業所で、総合病院、リハビリテーション病院、在宅サービスや検診等の施設が連携し、保健・医療・福祉を総合的に提供しています。私たちが取り組んでいる認知症ケアが目指していることを紹介します。
企画:日本赤十字秋田看護大学 看護学科老年看護学教授 高田 由美 先生

退院をはばむ現状

当法人は創業当初から、「いつでも、どこでも、だれでも」患者さんの立場に立つ親切で信頼される医療を行い地域に貢献していくことを理念としています。
急性期医療〜リハビリテーション〜退院先での生活へのスムーズな移行と質の変わらぬ認知症ケアの継続のため、入院時から退院後を想定した退院支援も行っていかなければなりません。
しかし、入院をきっかけにせん妄や認知症が発症する事例や認知症症状が進行する事例などは、高齢者のみの世帯や独居の場合、ご本人が望む場所、住み慣れた場所への退院とはいかない現状があります。

全身状態と認知機能は認知症ケアの両輪

当総合病院は認知症ケア加算1、リハビリテーション病院では認知症ケア加算11を導入しています。私たち認知症看護認定看護師は、それぞれの場での活動を通して
①苦痛を訴えることが出来ない患者の身体的な変化に気付ける視点
②患者が混乱しないような環境作り
③患者を落ち着かせる看護師の対応方法
などを中心に助言を行っています。導入当初に比べると身体抑制を解除していこうとする働きかけや患者の視点に立った援助を行っていこうとする姿勢が感じられるようになりました。
安全かつスムーズに治療が受けられ、転倒などのトラブルなく療養できることを目指していますが、完全に身体抑制を解除するまでに時間がかかる事例が少なくないのも事実です。
しかし身体抑制は患者の精神的・社会的な側面に影響し、治療にも弊害が及ぶケースがあることを医療者は意識していかなければなりません。
もちろん、治療やリハビリテーションが適切に行わなければ在宅に移行できませんが、認知機能面においても悪化せず安定していなければ、やはり在宅療養は難しいといえます。
ケアによって行動・心理症状にも変化が現れることから、適切な認知症ケアが患者の退院時期や退院先を左右するものであることを、退院支援を通して痛感しています。

認知症ケアは途切れることなく

“患者さんの立場に立つ親切で信頼される看護”を提供していくためには、表情・目線・触れ方などの基本的な接し方を意識した毎日のケア、関わり方の継続が必要です。それらが認知症症状の悪化予防や患者の尊厳を守る行為にも繋がることを、多忙な業務の中でスタッフ一人ひとりが意識して行えているかが鍵となると思っています。
認知症の人の言動を、認知症だからどうすることもできないと諦めるのではなく、どのような思いがあってそのような言動に繋がっているのかを知ろうとする姿勢を、治療・リハビリテーション・地域での生活、どの場面でも保ちつづけることを、今後も自らの活動を通して伝えていきたいですね。
急性期医療~リハビリテーション~退院先での生活へのスムーズな移行のために

A-CNDnet連絡先 Email:acnd.net@gmail.com
次号は本シリーズ最終回。企画者の高田由美先生にご登場いただきます。(編集部)

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