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認定看護師さんインタビュー企画

認定看護師さんインタビュー企画~野村好美さん(皮膚・排泄ケア認定看護師)~

投稿日:2011.11.07

今回は日本医科大学武蔵小杉病院で、
皮膚・排泄ケア認定看護師としてご活躍されている野村さんにお話を伺いました。

■認定看護師になられたきっかけを教えて下さい

8年ほど前、入院中の患者様のストーマケアで難渋しているとき、いろいろな施設で活躍されているET(Enterostmal Therapist エンテロストーマセラピスト、ストーマ療法士)の方を紹介していただき、アドバイスを受けながら対応しました。そのおかげで問題解決ができ、「これは凄い人がいるぞ」と感じ、そのあたりからその人のレベルに近づけるようになりたいと思い始めました。

でも、問題が起きるたびに患者様につらい思いをさせていてはいけない、「誰かがやらなきゃ!!」と自分が認定看護師になる事を意識しました。

■受験時のエピソードなどありますか

とにかく勉強は大変でした。受験にあたり、先ずはセミナーや雑誌に飛びつきました。受講可能なセミナーはすべて受講し、先輩のETさんにどのような参考書がためになるかを相談したりしていました。その本を元に、休日はひたすら勉強をしていましたね。仕事がある日は疲れていて勉強どころではありませんでしたが。

臨床の場で分からない事がある時は、基本的には本で調べる事が多かったので、それも役に立ちました。思えば知識の源は「本」ですね。今みたいにネット上にあまり情報もなかったので。

■その後試験を受けられて思う事はありましたか。

正直、絶対に落ちると思っていたので、合格したとわかった時は本当に嬉しかったです。

実は私、認定の学校の受験を一度落ちていたんです。2回目は、自分の中では最後の挑戦だったので喜びもひとしおでした。当時は学校も少なかったので、落ちた時はさらに一年間待たなくてはいけなかったし、病院からの後押しもあった中での失敗だったので、二回目はプレッシャーもありました。

■その後の通学時の事も教えて下さい。

とても辛くもあり楽しくもありましたが、「あっという間に過ぎて行った」というのが今の感想です。

辛かったのは、看護師としてだけでなく、人としての性格などを含めてあからさまになり、究極の状態に追い込まれたことです。

座学からグループでの討論、もちろんレポート提出などもある。仲間同士で議論が白熱し、帰宅時間が夜遅くなることもありました。そんな時でも、レポートの提出期限は次から次と迫ってくるし、試験だって行われます。今思えば一人の人間として「裸」の状態になっていましたね。

楽しかった事は、同じ志をもった仲間がいたことですね。当時40人ほどがいましたが、みんなとてもモチベーションが高く、私も良い刺激を受けました。同期とは今でも交流があり、自分たちの取り組みなどについて議論し合い、仲間と同じ目標に向かって今でも歩んでいます。楽しかったことも辛かったことも含めて良い思い出ですね。

■認定看護師になって変わられた事はありますか。

何かに取り組む時や、問題が起きた時、仲間が耳を傾けてくれます。そしてそんな仲間に対し、自分もしっかりと理由を述べる事が出来るし、行動範囲も広がりました。

今までは病棟の中で活動してきましたが、褥瘡の管理者として新しい役割も頂き、院内全体とコミュニケーションをとる事が出来るようになりましたね。

あとは周りの仲間との関わりも大きく変わってきています。認定になりたての頃は中々相談をしに来てくれるスタッフもあまりいませんでしたが、今は声をかけてくれる人が増えてきたりとか。

■ご自身の変化もあるのでしょうか。

自分の中では資格を取得した事で目標がはっきりと明確になりました。今まではぼんやりと患者様に対して良いことをしたいという感じでしたが、今では目標を持ちしっかりと具体的に行動に移せるようになってきたのが違いですね。

■現在の取り組みについて教えて下さい。

院内の褥瘡の発生率を減少させるのはもちろん、現場の知識レベルも上げていきたいですね。

現在は褥瘡対策チームで勉強会と院内回診をしています。チームスタッフは院内の状況を実際の症例をみて勉強しています。回診中は積極的に質問をしたりして学びながら、今では私から離れて行き、どんどん頼りがいのあるスタッフに成長してきています。
どんどん人材が育ってきているので、こうした活動ももっと必要なんだと実感しています。このような活動は年単位でじっくりと取り組む必要があります。また、こういった活動に刺激を受けて褥瘡や創傷ケアに興味を持ち始めたスタッフも多いんですよ。

■何か個人として目標とかはあるのでしょうか。

もっと明確に問題意識をもち、自分たちが出来ることを根拠を持って行動し、結果を出す。

看護師の世界って「こうらしいよ」と曖昧に片付けてしまっている部分があるんです。先輩がそうしてたからとかそんな理由だと思うのですが、それって実は根拠がなかったりする事があったりで。だからもっと正しい事を正しい根拠をもって伝えていく事が必要だと思うんです。

起きた問題を分析できていなかったり、方法が偏っていたりするので、先ずは知識レベルのスタンダードを上げることが大事なので、先ずはここからだと思います。それに、自分の興味のある分野を見つけて深く知識を付けると仕事が楽しいですよね。

■認定看護師として活躍するなかで楽しい事、辛い事を教えて下さい。

辛いこともあるけれど楽しい事が多いです。目標がはっきりして、自分の活動が結果として反映されたり、新しい活動に積極的に行動できるんです。

辛い事は、具体的には創傷のケアなどで、患者さんの事を考えて自分が提案をしたことが、DRなどの判断でNOと言われたりすること。自分としては患者さんに対して自信をもって提案をしていつもりなので、そういった意見の相違はやっぱり辛いですね。

ただ、成功例を出す事で、DRも含め自分の意見を尊重してくれることが増えてきたりもしているので、もっと多くの成功事例を増やし、信頼を上げていきたいです。そういう意味では辛い事というよりも頑張るための試練ですね。

■頑張っている看護師にメッセージを下さい。

認定看護師になって視野がとても広がったと思います、仲間も増えました。それまでは所属部署内だけの関わりでしたが、認定看護師になり病院全体や他の施設の人達とも知り合いになれました。特に認定学校の仲間は全国から集まっていたので、ネットワークが全国レベルになりました。

人脈が広がり、たくさんの仲間と話をしていると、今まで自分が悩んでいた事が小さく思えたり、看護師としてだけでなく、人としての学びにもなりました。
受験や通学など大変なことも多いですが、周りの先輩などが必ずサポートしてくれると思います。何かをやり遂げるって素晴らしいですよね。認定看護師がその一つだと思うんです。

何かをやり遂げると仕事も楽しくなりますよ。頑張って下さい。

(胸をはって)看護師は楽しいです。
<野村さんがご活躍されている病院>
日本医科大学武蔵小杉病院

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