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認定看護師さんインタビュー企画

認定看護師さんインタビュー企画~山口葉月さん(緩和ケア認定看護師)~

投稿日:2011.12.05

認定看護師インタビュー、今回は、東京医科大学病院で緩和ケア認定看護師として活躍されている
山口 葉月さんにお話を伺いました。

■看護師になられたきっかけや理由を教えてください。

ずっと、将来にわたって役に立つ資格を持ちたいと考えていたことと、何か人に関わる仕事がしたいと思っていました。

特別にきっかけといった出来事などはなかったのですが、そうした思いがあったなかで、自然と看護師という仕事に進んでいったような気がしています。

■緩和ケア認定看護師を目指したきっかけを教えてください。

私は入職以来、ずっと血液関連の病棟にいて、たくさんの患者さんと接してきました。入院している患者さんは骨髄移植をされた方だったり、抗がん剤治療を行っている方が多くおられました。血液疾患の患者さんの中には、終末期の方も多くおられます。
院内での毎日の治療を通じて、我慢し切れないほどの強い痛みに苦しめられる患者さんの姿をずっと見てきたのです。 そんな多くの方の姿を見ていて、この患者さんの辛さに対して、自分には何が出来るのだろう、看護師として何かもっとできることはないのだろうか、という自問自答の日々を過ごしていました。

元より緩和ケアに興味があり、認定看護師の資格はいつかチャレンジしたいと思っていました。そんな悩みを、ある日上司に相談したところ、看護部に推選してくれるとサポートしてくれました。認定看護師を目指そうと思ったのは、それからです。

■認定看護師になる前は、この資格に対してどのようなイメージをもっていましたか。

漠然とですが、看護技術やスキルに対して長けた人、というイメージは持っていましたね。当院の中にも、他のジャンルでの認定看護師の方はおられたのですが、それまであまり接することもなく、私自身はあまり身近な存在としては感じていなかったのです。

自分自身、認定看護師を目指そうと思う前は、イメージということになると具体的なものはほとんど描いていませんでしたね。

■養成学校の受験については、苦労されましたか。

私は試験の半年くらい前から受験勉強を始めました。当時は夜勤をしながらの勉強でしたし、なかなか十分な時間を割けなかったこともありました。

その点、院内の緩和ケアの認定看護師の先輩方が親切にバックアップしてくださり、試験のことや勉強の方法なども相談に乗っていただけたので、とても心強かったですね。

1日の時間を有効に使って、工夫しながら勉強に励むことができました。がんの一般知識など、より深い勉強も必要になりますし、とにかく暇を見つけては、少しでも勉強に手をつける毎日だったように思います。

でも自分自身で選んだ道なので、辛いという気持ちはまったくありませんでしたね。

■学生時代の様子について教えてください。

とにかく忙しい毎日だったという思い出が残っています。課題やレポート提出に追われる毎日で、土日もそれでつぶれてしまうこともかなりありました。思い返すと、ただひたすらに勉強をしていた思い出が蘇ってきますね(笑)。

でも、大変だったそんな毎日の一方で、学校を通じて得られたかけがえのないものもあります。それは、同じ志をもった仲間と出会えたことですね。同じ苦しみや悩みを共有している仲間でしたので、話をしていても常に何かが通じ合える間柄だったのです。

当時の仲間たちとは今でも繋がっていて、ときどき仕事の情報交換などもしています。

■試験に受かった時の喜びはいかがでしたか。

もちろん嬉しかったですが、それまでの間に、学費の援助や通学中の給与支給など、病院には多くの支援をいただいていましたから、必ず合格してきちんと還元をしていかなければいけないという気持ちが大きかったんです。

試験に受かって認定看護師になれたと知った時は、ただただ良かったなと安心しました。ホッとしたという方が大きかったように思いますね。

■認定看護師として現在取り組まれていることを教えてください。

緩和ケア支援室に所属して、院内の緩和ケアに関する取り組みを専門で行っています。入院されている患者さんで、痛みや精神的な不安などで苦しんでいる方々のサポートをしていくのが主な役割です。そのために、緩和ケアチームの中でドクターや薬剤師などの他職種の方々と一緒に、院内の回診を毎日行っています。

また院内での勉強会についても、1年間を通じて積極的な取り組みを実施しています。病棟ごとに開催の要望があれば、それに応じていつでも勉強会を開いています。そうした役割を通じて、病院には知識やノウハウの還元をこれからもしていきたいと思っています。

■認定看護師として心掛けていることなどはありますか。

具体的な業務の中身も大切ですが、私自身がまず大切だと思っているのは、きちんとした挨拶をすることですね。

認定看護師を取得して、仕事での活動の幅は必然的に広がることになりましたので、接するスタッフの数も増えました。コミュニケーションの重要性は今まで以上に感じています。それを円滑に進めることがまずは大事ですから、挨拶をきちんとすることは毎日心がけていますね。

他のスタッフから声をかけてもらいやすい雰囲気づくりを、自分のほうからしていくことが大切だと思っています。その意味で、いつも笑顔で接することは忘れないようにしているつもりです。また、緩和ケアに関するアドバイスを求められた際には、より具体的な内容で説明をするように心がけていますね。

■これからの目標を教えて下さい。

院内に、緩和ケアの考え方をもっと広げていきたいと考えています。それは、看護師をはじめとしたスタッフが緩和ケア、つまり患者さんの痛みや苦しみに気づき、その辛さに寄り添って、それを和らげてあげるという意識を常に高いレベルで持つことです。

これはどの病院にも言えることですが、看護という仕事の領域の中で、その部分の意識はまだまだ低い面があります。そのために今、勉強会の実施や資料を配布することなどで、少しずつ浸透をはかっているところです。

これからも皆で力を合わせて、地に足の着いた地道な活動をしていきたいと考えています。

■認定看護師になって良かったと思うことはどんな点ですか。

知識やノウハウの幅が広がったことで、看護という役割の中で、今までは気付けなかったことにあらためて気付けるようになったことですね。患者さんに対する看護業務の中で、一つひとつの行為にどのような意味があるのかをしっかりと理解できるようになりました。

それが看護臨床での処置の応用にもつながりますし、明らかに現場での対応力に幅ができたと感じます。まだまだ歩みはゆっくりですが、確実に自分が成長出来ていることを実感しています。

■ご自身の目標の人などはおられるのでしょうか。

私の先輩で、同様に緩和ケア認定看護師を取得した方がおられます。その先輩は緩和ケアのパイオニア的な看護師で、理論と行動がしっかりと結びついていて、いつも論理的な思考が出来る人なのです。経験も豊富で、私が今も大きく影響を受けている看護師ですね。

思えば、病院の支援体制もそうですし、目標にできる先輩の存在もあり、私は成長できる環境に恵まれているなと感謝しています。

■同じようじ認定看護師を目指す方にメッセージをお願いいたします。

認定看護師を目指してみたい、と思ったら、何よりもまずは行動を起こしてみるといいのではないでしょうか。師長に相談してみる、また先輩に話を聞いてもらってみる、または自分なりに資料を探して読んでみることでもいいかもしれません。実際に行動を起こすことで、自分の意識も含めて、新しい何かが開けてくると思います。

私自身も、相談した師長からいただいた言葉がきっかけになって、認定看護師を目指すことになりましたから。上司や先輩のアドバイスにまずはきちんと耳を傾けることが大切だと思います。ぜひ、未来の自分を信じて頑張ってください。私もいっそう頑張りたいと思っています。
<山口さんがご活躍されている病院>
東京医科大学病院
〒160-0023
東京都新宿区西新宿6-7-1
TEL:03-3342-6111
>> http://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/kango/

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