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ナースの星WEBセミナー編集部レポート

宇都宮宏子先生 WEB退院支援塾 第5回 外来で始める在宅療養支援

一歩先を見据えた看護を

 在宅療養患者は、生活しながら病院に外来受診され、病気への不安や生活の困りごとを抱えています。外来受診時に患者自身や環境の変化に気付き、一歩先を予測するのが外来の看護師です。

「退院支援をしていく中で医療や今後の療養方法をどのようにしていくかの選択、食べることや排泄のこと、住まい(自宅)をどうするかという日常生活の問題だけでなく、治らない病気や慢性疾患、生きづらさを抱えながらこれからの人生をどう生きていくかということを、ご本人とご本人を支える家族や支援者と一緒に考え、「退院支援は人生の再構築をすること」に気付いて動く必要があります。患者が病院に搬送されてくる時には本人の意思表明や想いが聞けない状況が往々にしてあります。ここは地域全体で、特に地域の看護職が伴走し続けながら想いをつないでいくことが重要になります。外来受診された際に、ちょっと先を予測しケアをプランニングするなどです。我々は医療職ですから、その人が持っている疾患や状況から、一歩先を予測して、これからの人生を考えていく。そのための対話の場として、アドバンス・ケア・プランニングが重要だと思います」

と宇都宮先生が話されていました。
 
 私も保健師として働いている時に病棟カンファレンスに参加したことがあるのですが、疾患や外来受診時の様子が聞けたり、サマリーに書かれていたりすると、地域に戻るためのサポートをする上でとても助かっていました。「在宅に戻って生活するためには○○のようなサポートが必要かも…」「訪問看護だけでなくディサービスや訪問リハビリも考えても良いかもしれない…」と必要になるサービスも予測することができました。

 外来の短時間で様々なアセスメントや情報収集をすることは難しいかもしれません。しかし、どのような気付きでも在宅に戻るときに必要な情報かもしれません。この情報は関係ないから聞かなくていい、記録にも残さないでもいいではなく、一歩踏み込んで関わってみてはいかがでしょうか?

地域と社会をつなぐ

 在宅療養は、安定して継続するための備えを在宅チームで協議し、地域の社会資源を活用しながら患者の想いを紡いでいきます。宇都宮先生が

「一人暮らしや高齢世帯は増えてくるので、いわゆる本人の自助部分も大事ですが、互助と言われる地域の横のつながり、友人やご近所さんとのつながりももう一度取り戻していかないと、住み慣れた地域での生活は難しくなっていきます。」

とおっしゃっていましたが、地域包括支援センターで働いているとき、まさに横のつながりや地域の支えはこんな大きな力になるんだと実感しました。

 定期的にボランティアの方から「最近○○さんは病院に顔出さなくなったから何かあったのかもしれない。見に行ってもらえる?」「○○さんが癌って聞いたわ…。何か私たちでサポートできることないかしら?」などと気にかけてくれたり、地域でもボランティアの方や自治会の方が高齢者の見守りや独居の方を外に連れ出すイベントを定期的に行ってくれていたので、私としても、様々な課題の早期発見に努めることができました。

 病院チーム、在宅チームが共同していくことで望まぬ入院を防ぎaging in place (地域で暮らし続ける)をかなえられる地域にしていきましょう。

(編集部ナース:熊杏里)

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