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ニュートリション・ジャーナル NUTRITION JOURNAL第21回

ニュートリション・ジャーナル NUTRITION JOURNAL ” 理解なき支援が「溝」を生む” Vol.05_その3

投稿日:2020.02.17

栄養ケアの視点に基づくサポートを

有限会社ヒロ薬品 大西 由夏 管理栄養士

病院勤務時代から栄養管理の重要性を周囲に呼びかけていますが、3年前からは在宅訪問栄養指導にも力を入れ活動しています。経管栄養・経口摂取のどちらでも、病院で指導された栄養管理の内容が自宅でも正しく継続できているのか、必要な栄養量が確保されているのか、不足している栄養素は何か、経管栄養に伴う困りごとはないか、そういう視点を持って訪問しています。
食べること(食事)は、生きるための栄養補給と生活の質(QOL)の向上という大切な面を持つからこそ、本人・家族の意向を最優先に、自宅でどのような生活を送りたいのかを聞き取り、その想いに添った支援を行うことが重要です。
栄養スクリーニング、アセスメントから抽出された問題点を多職種連携で解決し、栄養量の調整、栄養状態の改善、食事療法による疾病の改善を目的に、多彩な栄養ケアを行うのが訪問管理栄養土の役割です。また、その専門性から、不足している栄養素をどのようにして食事や間食(おやつ)として摂取できるかを考え、本人の生活状況に合わせ、効率的に栄養を摂取できる食品や調理方法などを勧め、栄養状態の悪化を防ぐことができます。
まだまだ地域での管理栄養士の稼働状況には格差があるため、管理栄養士に直接相談できない場合は、まずケアマネジャーや訪問看護師に相談を、と患者家族に伝えています。栄養ケアという視点を在宅スタッフ全員が持ち、さらに地域に管理栄養士が増えることが必要だと思います。

最適なケアの実現を目指して

横山歯科医院 恋ケ窪 認定栄養ケア・ステーション 彦坂 陽子 管理栄養士

当認定栄養ケア・ステーションは歯科医院付属のため、嚥下障害があり胃瘻栄養と経口摂取の併用の方も多くおられます。経管栄養のケースでも、ご本人の希望に沿った最適なケアの実現を目指して訪問栄養サポートを行っています。 その他、腎不全の方から、食品として購入する病態別栄養剤と処方の栄養剤、どちらが良いのか、経済面も含めた相談を受けたこともあります。
「栄養剤の相談をしたいけれど、主治医に何をどう聞いたらよいか分からない」「主治医に直接聞きにくい」という時、「ちょっと栄養士さんに聞いてみよう」というような相談もあり、主治医との仲介役になることもあります。患者側の希望を踏まえた栄養剤の提案をし、主治医の承諾を得られれば変更となります。
訪問時に受けた相談とサポート内容は、主治医・ケアマネジャーに報告し、異なる事業所であっても関わるスタッフ全員で情報共有しています。

専門家同士の連携で在宅栄養ケアを支える

急性期病院から療養型の医療機関へ移動する理由の多くが、静脈経腸栄養の管理があることでしたが、介護施設や在宅療養の現場で管理するケースは増えています。経管栄養はカテーテルの部位やサイズによってさまざまな器具を使い、いろいろな名称がつけられています。
比較的多くみる方法は受け入れが良いのですが、見慣れない方法は敬遠されがちです。しかし、特殊な形状の機器が選択された理由は、合併症の予防やご本人のストレス回避など在宅で経管栄養を行うための工夫であることが多いので、是非、勇気をもって携わってほしいものです。
太くて短いカテーテルは投与する食事のバリエーションが広く、管理もしやすいことが多いのですが、細くて長いカテーテルに通すことができるのは液体で詰まりにくい組成の流動食です。これは患者さんの病態に合わせた組成も考慮し、健常人にとってはバランスの悪い献立を考えなければならないこともあります。
これまでその大事なポイントは栄養士に変わって看護師が穴埋めてしてきました。薬剤と比べて顕著な弊害は見えにくいのですが、ゆっくりと影響が及び、まるで加齢変化のように顕著になってきます。この緩徐さが切迫した必要性を生まなかったのですが、この10年間、薬剤師との連携でかつての「お薬調べ」から看護師が解放されたように、栄養のことは管理栄養士や栄養士にリードしてもらうのが自然ですね。
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Mail:info@medi-benx.com

ニュートリション・ジャーナル
理解なき支援が「溝」を生むVol.05
【在宅での経管栄養「栄養療法」を見直す】
その3『私たちにご相談ください!』『鷲澤尚宏先生に聞く』

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