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専門家Q&A

PEGを進める時期

ご質問

食事摂取量が徐々に減ってきており,このままでは低栄養の状態になってしまいます。PEGを進めるのはどの時期にしたら良いのでしょうか?何か目安となる指標ございましたらお教えください。
またそれまでに心みることはどのようなことでしょうか?

専門家の見解

回答致します。
当院では、チーム医療をはじめた当初行き当たった課題が、非経口栄養の使い方でした。
経口摂取はできるけれども、摂取量が少なく、必要量の半分以下しか食べられない症例では、栄養を補給しないと確実に低体重、低栄養の蟻地獄にはまりこんでしまいます。
ただ、いきなりおなかに穴をあけるというのはどうでしょうか?
末梢栄養も悪くはありませんが、やっぱり経腸栄養だと思うのです。
可能であれば、経腸栄養剤をジュース代わりに飲んでもらう方法が、QOLとしては一番良いと思います。
意外とおいしいと毎食1本(以上)を飲める方がいらっしゃいます。1日3本飲めれば、600kcal以上の補給が可能です。
経口的に難しいけれど、腸の使える症例には、期間限定の経鼻胃管栄養を行います。添付のpptのStage2です。
実際当院では、早めの非経口栄養を期間限定で行うことで、胃瘻になることなく、経口移行できている患者さんを多数経験しています。
患者さんやご家族にもいきなりPEGのお話ではなく、摂取量が少なく、このままでは必要量が十分に摂れないため、早く元気に自分で食事が食べられるようにするために、2週間だけ鼻から栄養を入れさせて欲しいのだと交渉します。
その間、私たち管理栄養士は、少しでも栄養状態が回復できるような栄養処方を考え、提案し、実行します。
2週間経過時点で、栄養状態の評価を行い、①EDチューブ抜去し100%経口へ、②もう1週間延長して経過をみる、③PEGへの移行を考える。
という選択を行います。
PEGは、内視鏡的な手術の一種ですから、栄養状態があまり悪くなってからでは、術後の経過が期待できにくくなります。
一般的には、Alb2.5g/dl以下なら禁忌でも良いのではないかと思います。
要は、PEGをやる前にPEGをやるための栄養補給(改善)が必要となってしまいます。
食事量が徐々に減っているとアセスメントできた時点で、素早くどうやって栄養補給を行うかを考えるべきだと思います。
方法はPEGだけではありません。PEGを進める前に、まずできることをやって、その上でどうしても必要量確保を経口が望めない場合に進めるものだと思います。できることは、症例の嗜好・性格等もありますので、一概には言えませんが、上記の経口での補食→点滴、経鼻胃管など、短期間の非経口(+食事)栄養→胃瘻もしくはTPNのような長期の非経口という流れになると思います。
あくまで、栄養管理は先手必勝!!
気づいた時が開始時です。早いことはありません(むしろ、もしかすると遅いかもです)。低栄養になる前に通常の状態に戻してあげることが必要ですね。患者さんのために是非頑張って下さい。

こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
職務に生かす場合は職場の上長や患者の主治医に必ず相談し許可を取ってから実践するようお願いいたします。
専門家Q&Aを通じて得た知識を職務に活かす場合、患者のの心身の状態が悪化した場合でも、当社は一切責任を負いません。
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