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患者・同僚・管理者に好かれる デキるナースになるシリーズ第10回

その他投稿日時-(2020-05-11)ナースマガジン

     経管栄養患者における
       排便コントロールの重要性

経管栄養患者は便秘や下痢などの消化器系合併症を発生することがあります。とくに下痢においては赤みや感染を起こす要因になり、患者の身体的負担はもちろん、QOLが低下する可能性もあります。
さらに、病棟の看護師業務の負担増に繋がることも見逃せません。
「業務改善」という視点で患者の排便コントロールの独自調査を行った看護師の野村直樹先生(愛知県 医療法人清水会相生山病院)にお話を伺いました。

「また今日も着替えなきゃ」
  という一言がきっかけに


相生山病院は、「高齢者のご家族の介護負担を減らしたい」という思いで始まった地域密着型の病院です。ここで言う高齢者とは療養が長期化し、行き場に困っている方々です。
私が担当する療養病床はADL区分では2~3のレベルで、医療必要度の高い患者が多いことが特徴です。療養病床52床のうち、経管栄養の患者は平均48%(季節や時期によっても異なる)で、2人に1人の割合です。
そもそもこの調査を始めたきっかけは、ある患者に向けられた介護職の「また今日も着替えなきゃ」という一言でした。「おむつで多少の対策はしているのだけれど、それを上回るほどの下痢の量なのです」との訴えでした。

下痢患者に要するコストや人件費を把握

この調査は2017年5月から2018年1月まで行い、まずは病棟全体における経管栄養患者608名の便性状の割合を調べました。
その結果、普通便は約41%、便秘は約46%、下痢は約13%でした(感染症の下痢は除外)(図1)。

今回の調査における「下痢」の定義としては、「便性状がブリストルスケール(図2)の6番もしくは7番」の排便が「1日のおむつ交換で2度以上」あり、かつ「3日以上持続している」としました。
下痢患者のおむつ使用量は、普通便患者に比べ週平均で尿パッド(インナー)が5.61枚、紙おむつ(アウター)は0.82枚多い結果になりました。さらに、病衣・ラバーシーツの交換回数は下痢患者が普通便患者に対し、週平均約0.8回多い結果となりました。
一方、人件費の側面からみると、下痢時のおむつ交換時間は4分40秒(20回の調査平均)で、厚生労働省が発表したデータを基にした愛知県内の看護職員の平均給与を基に時給換算すると、1回につき約133.6円になりました。
さらに、下痢患者の病衣・シーツ交換時間は平均17分30秒(20回の調査平均)で、1回の交換にかかる人件費は約1,002.1円(看護師2名で実施した際の合計)でした。
また、陰部・肛門周辺に軟膏塗布処置を行った際の平均処置時間は約3分であり、1日2回(朝・夕)処置をおこなった際の人件費、薬剤費用の合計は、「プロスタンディン軟膏」の場合は1日につき390.8円、「亜鉛華軟膏」の場合は195.9円でした。

参照=厚生労働省 H29年賃金構造統計調査
  日本看護協会 2017年版看護職の給与データ
  愛知県統計課 労働力基本集計

便秘患者に要する
労力と栄養剤への期待


経管栄養患者に多い排便トラブルが便秘です。当院では便秘を「1日3食分摂取できていてなおかつ2日間排泄がない状態」と定義しています。
普通便でおむつを装着している患者の場合、平均3〜4回、おむつの交換をしていますが、やはり便秘になると看護業務は増えます。
便秘が発生した患者の対応として、当院では毎食内服薬で調整を行い、それで便が出ない場合は毎晩(ポイントで使うこともある)緩下剤を投入します。さらに夜中に一度おむつの確認をし、その際に排便があった場合にはその場で対応します。翌朝、再度確認をしますが、その際に大量に出ている場合は、清潔保持という観点とケアの効率面から清拭を回避して入浴にご案内することもあります。これで便が出ない場合には、摘便をするという流れになります(図3)。
このように便秘の患者への対応は現在のところ薬剤を用いて対応していますが、栄養剤の選択により改善が望めれば理想的です。

調査対象患者に便性状の変化が
認められ、時間・経費も削減


調査のきっかけは「また今日も着替えなきゃ」という介護職の一言だったことは先にお伝えしましたが、下痢対策に問題意識を持ち始めていたこの時期に私がNSTチームのメンバーに加わることになりました。
こうした経緯から半固形栄養剤等について情報を集め始めたのです。使用した栄養剤は「pHが低下することでペクチンが作用し、液体からゲル状に流動性が変化する特徴」があります。
投与時は急速投与し、10分程度で終了しても問題はないとの見解もありますが、この調査では急速投与は行っていません。体位は30度上げた状態で、投与が終了してからも2時間は30度の高さをキープするよう配慮しました。
今回の調査では8名の患者のうち、7名の患者で便性状に変化が見られました(プリストルスケール6〜7番➝4〜5番へ移行)。便がゲル化することでこのような結果になったと考えられます(図2参照)。
しかし、PPI(胃酸分泌抑制薬)を使用していたこともあってか、1名の患者は改善が見られず、乳酸菌飲料を併用したところ、便性状が変化しました。
軟膏塗布を行っていた患者4名に対し、4名全員に皮膚状態が改善し、処置を終了できました。
今回、栄養剤を変更したことによる金銭的負担の変化と、処置・介助にかかる時間をシミュレーション比較した結果、処置・介助時間は週2時間20分程度の削減となることが確認できました。病院でも在宅医療の現場でも、下痢や便秘に悩む経管栄養患者は多くいます。今回の調査が、介助をする専門職や家族の負担軽減につながることを期待しています。

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