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ナースマガジン vol.36

達人に訊く!慢性腎臓病(CKD)患者の痒みケア ここがポイント!

痒みケアの達人 浦田克美先生 医療法人財団松圓会 東葛クリニック病院 特定看護師 皮膚・排泄ケア認定看護師・オムツフィッター 3級

腎臓は体内の老廃物や血液を尿として排出しています。腎臓の機能が悪化し、慢性腎臓病(以下 CKD)にまでなると血液や老廃物の蓄積によって痒みが生じます。今号では痒みケアの達人に、看護師が気を付けて いかなければならないポイントや観察ポイントをお訊きしました。

CKD患者の痒みは様々な原因が考えられますが、主な原因として、❶腎機能低下によるもの、❷ドライスキン、この2つが挙げられます
❶腎機能低下によるもの
 腎機能低下によりビタミンDが低下し、真皮の肥満細胞の脱顆粒化現象で痒みメディエーターのヒスタミンが増え、痒みを感じやすくなります。その他の痒みを誘発する物質も体外に排泄されず、蓄積していきます。さらに維持透析が必要な患者においては、血液中のリンやカルシウムの調整がうまくいかず(二次性副甲状腺機能亢進症皮下にリン酸カルシウムが沈着し、難治性の痒みを生じやすくなります。
❷ドライスキン
 CKD患者は代謝低下や発汗のコントロール不良などの影響で、ドライスキンになりやすいです。さらに加齢に伴いターンオーバーの延長、皮野の平坦化により保湿維持困難となります。角質水分量の低下は痒みを脳まで伝達するC繊維を表皮表層まで延長させるため、外部からの痒み刺激を感じやすく、痒みの悪循環に陥ってしまいます。
 CKDの痒みは、ドライスキン以外にも原因があるため、医師と相談し内服や外用薬も組み合わせてコントロールしていく必要があります。また、痒みが発生する時間と薬剤の作用時間が合致しているかどうかも確認しましょう。スキンケアに関しては看護師だからできる技です。

 痒みケアにおいて保湿剤の目的は、角質水分量を維持することでC繊維の表皮表層までの延長を予防する、皮膚表面をシーリングすることで外部からの刺激を受けにくくするなどがあります。よって、入浴やシャワー浴をしない日も、保湿剤だけは毎日何回でも痒くなりやすい部位に塗ることが重要です。
 痛みの評価と同様に、痒みの評価も必ず行うことが大切です。評価は看護師も患者も行います。患者が痒みを訴えた時、看護師は医師に処方を依頼したり、保湿ケアの指導を行う、患者も処方薬を自分で塗布してみるなど何かしら痒みに対して対処するかと思います。

 処方薬や指導したケア方法が適切だったか、指導したケア方法を患者自身が行ったことで痒みが改善したか可視化して評価しなければ漠然とケアを継続していることになり、適切な対応だとは言えないと思います。評価は下記の白取重症度分類やVASスケールで行います。
 軟膏や保湿剤に正しい塗り方があるのを知っていますか?皮膚外用薬の医療用医薬品添付文書には、用法の欄に「患部に塗布する」 「患部に塗擦する」などの記載があります。

 「塗布」と「塗擦」の違いとして、 「塗布」は皮膚に塗り広げる、 「塗擦」は皮膚に擦り込むように塗るという違いがあります。ただしどちらも擦りすぎないように医師の指示に基づいて塗っていきましょう。
引用文献
公益社団法人 日本皮膚科学会 HP参照〈https://www.dermatol.or.jp/qa/qa39/q06.html

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