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医療現場の未来を変えるアイテムシリーズ

ケアマネジャー用 床ずれ危険度チェック表🄬

在宅では病院と違い、限られた資源やマンパワーの中で、いかに多職種と連携を取りながら褥瘡発生予防に向けた取り組みができるのかが重要となります。
この度、在宅ケアの要であるケアマネジャーから褥瘡予防の意識を変えて、在宅全体の質の向上を目指すため、各専門分野のエキスパートが集結。的確かつ容易に褥瘡予防ができるアセスメントツール「床ずれ危険度チェック表」が開発されました。その開発経緯や活用法、今後の展開についてお話を伺いました。

ケアマネジャー向けの褥瘡リスクアセスメントツールを開発

 褥瘡は 一 度発生すると治療、 治癒が困難な疾患です。 治療よりも発生しないための予防が何より重要です。 しかし、在宅では限られた条件の中で褥瘡予防を達成するために、 医師や看護師だけで対応することはできません。 日常的にケアを行う介護職や家族などの協力が不可欠であり、 なおかつ在宅ケアの要であるケアマネジャーの役割が大きいと考えます。 しかし、 褥瘡発生の危険性をある程度予測しないと、 予防のための介入計画や行動を起こすことができません。 何より、 在宅ケアを実施するには、ケアプランを立てないと進めることができないため、 ケアマネジャーの存在が欠かせないのです。

 例えば、 褥瘡ができてしまった場合、多職種が関わり、 ケアプランを立てて治療を行いますが、 何もない状態ではケアプランの中に入れることができないため、 予防することが難しいと言います。

 褥瘡発生の危険性を正しく予測するためには「褥瘡予防におけるアセスメント」 の視点が必要です。 臨床で用いられているリスクアセスメントツールとしては、 ブレーデンスケールやOHスケール、 K式スケールなどが勧められていますが、 在宅においては広く普及しているとは言いがたい状況にあります。

 そして予防という観点では、 在宅ケアの要であるケアマネジャーが使うことができない、 あるいは躊躇してしまうようなアセスメントツールではなく、 ケアマネジャーが初回の訪問時から簡便にかつ的確に判断できるアセスメントツールが必要であることから「床ずれ危険度チェ ック表」 が開発されました。2019年には日本褥瘡学会で研究論文が大浦賞を受賞し、 実際の現場で使用できるアセスメントツールとして注目を浴びました。

ケアマネジ ャーが活用しやすい「床ずれ危険度チェ ック表」

 床ずれ危険度チ ェ ック表は全8項目、 「基本的動作能力」 「病的骨突出」 「関節拘縮」「栄養低下」 「皮膚湿潤(多汗) 」 「皮膚湿潤簡(便失禁) 」 「浮腫」 「ずれ」 についての質問から構成されています。 誰もが答えやすい簡潔な表現にするため、 何度も話し合われました。 実際にケアマネジャーが用語の意図や意味を正しく理解できること、 迷わずに判断できるかを検討した結果、 次の4点に留意しチ ェ ック表が作成されました。
【留意したポイント】
①本邦の褥瘡危険因子を反映させる
② 「はい」 か 「いいえ」 で答えられる
③専門用語は使わない
④項目数が多くならないよう注意
 開発だけでなく、 リスクアセスメントツールとして使用可能であるのかを科学的に証明するため、 ケアマネジャー83名と患者96名を対象にして床ずれ危険度チェック表が褥瘡リスク評価に使用できるかも研究されました。 統計学的に誰がチェックしても専門家と同様の判断ができることから、ブレーデンスケールやOHスケールの評価精度と同等であることが分かりました。 実際にケアマネジャーの定期訪問時に使用していただくことを想定し作成されています。

 今後は、 さらなる目標として 「床ずれ危険度チェ ック表の普及 ・ 社会実装」 を達成するために教育、 啓発を含めて様々な取り組みを計画しています。 どんなに良いアセスメントツールであったとしても、周知されない限り活用していただくことにはつながりません。 最終的には褥瘡を治療して減らすのではなく、 予防して減らすことを目指しているそうです。

ケア ・ チーム連携につなげる「共通言語」

 多職種連携を進めるためには、 相互の情報伝達と共有が重要です。 だからこそ 「共通言語」 の1つとして統 一 できるアセスメントツールがあることで、 褥瘡発生リスクの早期評価を行うことができます。 大切なのはその評価をどう予防につなげていくのか。 例えば、 問題点として食事量の低下があった場合、 解決するためにどの職種に相談すればいいのか、 連携すればいいのか、 というように他職種と協働する際のツールとしても活用できるよう 「床ずれ予防プログラム」 として書籍にまとめられました。

 このようにケアマネジャーから床ずれ危険度が投げかけられるようになると、 在宅ケアが変わってくると考えます。 とくに褥瘡予防は皮膚に何もない状態から介入していくことが必要であるため、 気づくことが大切であり、 次につなげるためのきっかけとして活用が期待されます。

治療から予防へ、在宅ケアの未来に期待

高岡駅南クリニック院長
塚田 邦夫 先生
在宅ケアの要であるケアマネジャーが褥瘡予防の視点を身につけることで、 ケアプランが変わっていくことを期待しています。 褥瘡が予防によって減っていくことはもちろん、褥瘡だけでなく、 様々な連携にもつながることができると思うので、 今回のアセスメントツールをきっかけに在宅ケアの未来も変わっていくのではないでしょうか。
桐生厚生総合病院 副院長 皮膚科診療部長
岡田 克之 先生
褥瘡になりやすい人はあっという間に発生してしまいます。 何もない状態のうちから予防するためには、いかに気づくことができるか、 連携できるかがカギとなります。 そのためのアクションとして床ずれ危険度チェック表がきっかけになればと思っています。
藤田医科大学 研究推進本部 イノベーション推進部門
社会実装看護創成研究 センター講師
光田 益士 先生
 疾患は 「治療」 よりも 「予防」 が何より重要です。 床ずれ危険度チェック表を用いることで、 多職種連携による効果的な褥瘡予防になることを期待し、 より働きやすい環境整備に少しでも貢献できればと思います。
在宅WOCセンター センター長
皮膚・排泄ケア認定看護師
熊谷 英子 先生
 これまでは、 ケアマネジャー教育の中に褥瘡予防が含まれていませんでたが、 この床ずれ危険度チェ ック表が在宅に浸透することで、 在宅での褥瘡発生が著しく減少することが期待されます。 看護師も床ずれ危険度チェ ック表によるアセスメントを習得し、 共通のツールを用いて、 病院と在宅の連携、 多職種連携を深めていくことで、 患者さんにより良いケアが提供できるようになると思います。 一緒に頑張って行きましょう。
プレーゲ船橋
居宅介護支援事業所 主任介護支援専門員
助川 未枝保 先生
在宅はチームでケアをしていくことが大切です。 だからこそ多専門職とつながりを持つことが重要になってきます。 今回その道筋がしっかり理解できるチェ ック表と本を制作しました。 褥瘡は仕方のないことではなく、作らないためにどのように予防していくのか。 その目を育てていきたいと思っています。

2022年7月に床ずれ危険度チェック表を分かりやすく解説した「赤い本」こと「床ずれ予防プログラム」と題した書籍が発刊。
教科書的なことだけではなく、経験に基づいた生きた内容として現場の声や理解してほしいことが詰まった1冊となっています。
価格:880円(本体800円+税)
判型:A4判
ページ:64頁 オールカラー
ISBN987-4-915698-20-0
問い合わせ先:株式会社春恒社 営業部
〒169-0072東京都新宿区大久保2丁目4番地12号
新宿ラムダックスビル
TEL:03-6273-8312(直通) FAX:03-5291-2176
https://www.shunkosha.com/books/
E-Mail:shoseki@shunkosha.com
協力:アルケア株式会社

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